クロスバイクはスポーツバイクの中では安価な部類ですが、自転車全体で考えれば決して安いとは言えません。
また、メーカーによっても価格が違いますが、今アメリカではクロスバイクブームとも聞きますので、アメリカを代表するメーカーの一つスペシャライズドはどうでしょうか?
今回はそんなスペシャライズドのクロスバイクの価格について考えていきます。
クロスバイクが広く普及している理由と価格の相場
スペシャライズドの本拠地アメリカは、肥満が社会問題になっており、ダイエットにクロスバイクが活躍していると聞きます。
自転車はダイエットに有効とされる有酸素運動であり、近年は日本でもスポーツバイクが注目されています。
中でもクロスバイクはロードバイクのように、ピチッとしたユニフォームを着て、ヘルメットを着用するまでの装備はいらない身軽さがあります。
それでも、多少は前傾姿勢になって支える腕の力が必要ですし、ペダルが軽く脚をよく回すことになりますので、効率のよい全身運動になります。
また、MTBほど車体が重くないので、扱いやすく街中では小回りが効きますし、ママチャリよりはスピードが出るので距離を稼げるようにもなります。
このようにクロスバイクは手軽に乗れて運動にもなる、さらには普段使いの街乗りから、長い距離のサイクリングも可能ということで、幅広く活躍できる自転車です。
そうなるとあとは価格ということになりますが、一般的な相場では5万円~8万円あたりに売れ筋が集中していると考えてください。
ただし、今回のテーマでもあるスペシャライズドなどは、30万円に迫るような機種もあります。
現在はクロスバイクも多機能になり、以前に比べ価格が総じて高めになってきたと言えます。
自転車の種類別の価格
前項でクロスバイクの価格は、一般的に5~8万円が売れ筋の価格帯とお伝えしました。
ところが、同じスポーツバイクでもロードバイクはそうはいきません。
ロードバイクで5~8万円の価格帯のものは一流メーカーなら極めて少ないですし、醍醐味を味わえない可能性も高いので、筆者個人的にもおすすめしません。
ロードバイクは10万円というのが最低線と考えられており、その前後に最廉価モデルがくるイメージです。
スペシャライズドのロードバイクを例に取りますと、10万円以下で購入できるのは2種類のみです。
ロードバイクはそれこそピンきりなので、売れ筋の価格帯を平均するのは難しいですが、強いて言うならば、20~30万円台が好調と言えるでしょう。
そして、もう一つのスポーツバイクの代表格であるMTBですが、ピンきりなのはロードバイクと同じですが、割と安いモデルも多いです。
スペシャライズドには、クロスバイクよりも安価なMTBが数機種ありますが、それが機能的に大きく劣るかと言えばそんなことはありません。
MTBにも100万円を軽く超えるものがありますので、全体的に安価というイメージではありませんが、ロードバイクよりは価格のハードルが若干低めです。
ちなみに、ママチャリは安いものなら1万円、また3万円も出せば性能がよく、長持ちするものが手に入ります。
このことから、クロスバイクの価格はスポーツバイクの中ではかなり安価な方だが、ママチャリから比べれば2,3倍は高いということになります。
スペシャライズドのクロスバイクの価格が上がった要因【高い技術の投入】
冒頭で近年のクロスバイクバイクは少し価格が上がった旨をお伝えしましたが、これには二つの大きな理由があります。
一つ目は、クロスバイクにも惜しみなく高い技術力を投入するメーカーが増えたこと。
もう一つはディスクブレーキの搭載です。
悪く言うわけではありませんが、以前のクロスバイクはママチャリからカゴを取って、タイヤを細くしたくらいのイメージのものでした。
そのため、安価だから性能には目をつぶろう的な風潮でしたが、今のクロスバイクは性能が高いものが増えています。
キャリアや泥除けが標準装備されているような機能性重視の機種にしても、走行性能が犠牲になっていることはありません。
また、スペシャライズドもそうですが、カーボンフレームのクロスバイクも見られるようになってきているのも大きな特徴の一つです。
スペシャライズドの【Men’s Sirrus Pro Carbon】などはレースにこそ参戦しないまでも、ほとんどロードバイクに遜色ない機能を持ち合わせています。
カーボン素材はロードバイクのミドルグレード車と同じものですし、一部のロードにしか搭載されていない「Future Shock」という衝撃吸収システムも採用されています。
これは少し極端な例ですが、最近はこのくらいの高レベルの技術が投入されていることも珍しくはありません。
スペシャライズドのクロスバイクの価格が上がった要因②【ディスクブレーキ】
近年クロスバイクの価格が上がってきたもう一つの要因は、ディスクブレーキの存在です。
スペシャライズドのクロスバイクは2018年モデルで、全7機種中5機種がディスクブレーキ仕様です。
リムブレーキに比べ強い制動力と路面状況に左右されないというメリットがあるので、MTBでは既に完全な主流となっています。
クロスバイクは、MTBほど本格的な悪路を走行するのは想定されていませんし、タイヤがそこまで太くないのでリムブレーキが採用されてきました。
しかし、用途も多様化して、天候や路面状況に関係なく乗る必要がある通勤・通学に使われることも多くなったので、ディスクブレーキの需要が高まっています。
ただし、ディスクブレーキは動かすためのパーツが多いですし、機構が複雑なのでリムブレーキよりもコストは嵩みます。
そのために、クロスバイクの価格も高騰したというわけです。
スペシャライズドのクロスバイクは平均よりもやや価格が高い
スペシャライズドでは、2018年モデルよりクロスバイクが「Sirrus (シラス)」シリーズのみに集約されました。
全7機種による展開で、最低価格は【Men’s Sirrus Alloy – V-Brake】とその女性モデルが59,400円。
一方、最高価格は先ほどご紹介した【Men’s Sirrus Pro Carbon】の294,000円です。
これは飛び抜けているので例外なのですが、平均しても少し高い部類に入ります。
しかも、廉価モデルはリムブレーキ(Vブレーキ)仕様なので、ディスクブレーキを希望する場合は82,080円が最低ラインになります。
これは【Men’s Sirrus Sport】と【Women’s Sirrus Sport】ですが、筆者個人的には少しコスパ面で疑問が残るところです。
試乗したことはありませんので走行感は分かりませんが、スペックを見る限りでは他メーカーにもっと安く購入できる同グレードのモデルがあると思われます。
ただし、スペシャライズドは決してコスパが低いメーカーではありませんので、あくまでもこの機種に関してということです。
スペシャライズドのクロスバイクでコスパが高いのはこれ!
スペシャライズドのクロスバイクで筆者が個人的におすすめしたいのは、前項で紹介したリムブレーキ(Vブレーキ)仕様の【Sirrus Alloy – V-Brake】です。(男女両方のモデルあり)
価格が下がる分、上位グレードよりも落ちる部分は当然ありますが、クロスバイクとしての性能は申し分ありません。
上位グレードはフロントフォークがカーボン製ですが、こちらはスチール製です。
カーボンの方が衝撃吸収性が高いので、ハンドルに伝わってくる地面からの振動は多少スチールの方がキツめではあります。
しかし、よほどのでこぼこ道でもなければ、それほど気になるほどの差ではありません。
そして、ブレーキですが、Vブレーキもリムブレーキの中ではかなり制動力が強い方です。
天候や路面状況に左右されるのは確かですが、筆者の個人的な体験では、雨の日や濡れた路面でVブレーキの制動に不安を感じたことは一度もありません。
個人が出すスピードの違いや路面の荒れさ加減次第では、ディスクブレーキ必須という状況があるかもしれません。
しかし、少なくとも舗装路がメインで、それこそ泥田のような極端な悪路を通ることがないのなら、Vブレーキでも危険性は低いです。
こういった点を踏まえれば、「Sirrus Alloy – V-Brake」は、コスパ的にも十分に他メーカーの同グレード車と戦えます。
高性能であるがゆえの高価格は将来的には厳しくなるかもしれない
今回はスペシャライズドのクロスバイクは、なぜ少し高価なのかという話をしてきました。
結論は「高性能」であることに尽きますが、今後はコスパ面との折り合いがカギになるのかと感じました。
まして、近い将来に全てがディスクブレーキモデルになることも考えられるので、そこでいかに市場価格と見合うかを注目したいところです。