自転車のニップルを交換したい、と思う理由は、皆さんそれぞれありますよね。
錆びがひどくなっていたり、ニップルの色を車輪に合わせたかったり、単純に軽量化したい、などなど人それぞれだと思います。
ただ、そのニップル交換において、ニップルのサイズなどについて詳しいことが分からないという方もいらっしゃるかもしれません。
ですので、今回はニップルについて、またホイール組みについてもご説明します。
自転車のニップルについて知っておこう!
自転車のニップルのサイズを知る前に、ニップルはそもそもどんな機能を果たしているのかをおさらいしておきましょう。
ニップルの基本的な機能は、スポークを止めるための部品です。
しかし、ただそれだけではありません。
ニップルは、車輪を真っ直ぐに回すために必要な部品なのです。
例えば、ニップルが緩んでいたとします。
すると、まずホイール組みがうまくいきません。
一箇所が緩んでいると、スポークが全て張った状態になりませんので、ホイール組みをしてもバラバラに崩れてしまう可能性があります。
また、もしくは仮にスポークが緩んだ状態でホイールが組めても、真っ直ぐ走らないでしょう。
それどころか、ホイールが歪む可能性があります。
これらの問題は、ニップルをしっかり締めることで、対処出来るようになっております。
ですので、ニップルはしっかりと締めるようにしましょう。
それから、ニップルはしっかりと締めたとしても、スポークが張らない状態があります。
これは、ニップルの問題ではなくスポークの問題です。
ホイールに対して、スポークが長すぎることで起きてしまっているのですね。
この場合はスポークを替える必要があります。
ホイールを組む際は、スポークも適切な長さのものを、必ずご用意ください。
スポークの適切な長さを測るためには、専用の物差しを使えば長さを測れます。
その専用の物差しは、スポークスケールという名前で販売されております。
また、ホイールの組み方の問題の可能性もありますが、こちらは後述します。
では、次にニップルの種類についてご説明します。
自転車のニップルのサイズ以外のそれぞれの特徴!
自転車のニップルには四つの種類があります。
鉄・アルミ・真鍮・ステンレスです。
鉄は一般的な自転車に使用されていて、アルミと真鍮はmtb(マウンテンバイク)やロードバイクなどのスポーツタイプに多く使用されています。
実際のところ、スポーツタイプの自転車はほとんどアルミ製のニップルです。
また、ステンレスに関しては、電動自転車に多く使用されております。
この四つのうち、それぞれがサイズに関係なく、一長一短の特徴を持っています。
それぞれに特徴を持っておりますので、その特徴をご理解の上、ご使用ください。
そこで、まずはそれぞれの特徴についてご説明します。
◯鉄
鉄のニップルは、頑丈で衝撃にとても強いです。
また、一般的な自転車や少し安めのスポーツタイプに使用されております。
ですので、一般的な自転車を購入すると、まずこちらのニップルが付いているとお考えください。
ニップルとしては、錆が出るのがデメリットです。
雨ざらしの場所においておくと、ニップルが錆びてしまいますので、そこだけが注意点です。
また、メリットとしては安いということが挙げられます。
◯アルミ
アルミのニップルはスポーツタイプの自転車に使用されています。
こちらも、スポーツタイプを購入すると、付いているとお考えください。
メリットとしては、アルミはまず錆びません。
さらに軽いため、少しでも軽量化したいという場合に役に立ちます。
また、アルミのニップルには、赤や黒といった色付きのニップルが多く、流通が溢れているのが特徴です。
そのため、車輪のデザインに合わせたい場合は、色付きのニップルを使用することが出来ます。
しかし、デメリットとして衝撃に弱いことが挙げられます。
ニップルそのもの直接何かに当たることはあまりないですが、強くないということは理解しておきましょう。
また、アルミのニップルはホイール組みなどを行うときに、角が舐めやすいというのもデメリットになります。
正直なところ、アルミのニップルは上級者向けという感じが否めません。
ですので、ホイール組みなどを行う自信がないときは、プロに任せたほうがよいかもしれません。
◯真鍮
こちらは、一般的な自転車に付いていることもあります。
ただし、あまり多くはないです。
比較的高価な部類の一般的な自転車についています。
メリットとしては、真鍮のニップルは錆びにくいということです。
鉄ほどハッキリと錆びが出てくることがないので、見栄えを気にする場合は非常によいでしょう。
ただ、水分に弱いので、状況によっては錆びますし、少し黒ずんでくることもあります。
また、アルミほど軽くはないので、アルミほど衝撃に弱いということはないです。
ただ、鉄ほど頑丈ではありません。
鉄とアルミの中間のようなニップルですね。
◯ステンレス
ステンレスのニップルは、電動自転車に非常によく使用されています。
メリットとしては、ステンレスはまず錆びないということです。
光沢のある状態を維持してくれます。
また、電動自転車に使用されているだけあった、非常に頑丈です。
これとといったデメリットがないですが、あまり軽くないことや、少しばかり高めというくらいですね。
実際のところ、ステンレスのニップルが一番おすすめです。
自転車のニップルのサイズを知ろう!
自転車のニップルにはサイズがあります。
このサイズがスポークに合わなければ、ホイール組みがまず出来ません。
ですので、必ずニップルのサイズは調べてください。
12mm、14mm、15mm、16mmあたりが流通しています。
ただ、自分の自転車のニップルのサイズが分からないという場合があります。
その場合は、シマノのニップル回しをご利用ください。
シマノのニップル回しは、スポークを組む際や、振れ取りをする際に必要な道具です。
ほとんどの自転車は、このニップル回しでスポークの張りを調整します。
その中でも、シマノのニップル回しはある程度どんなニップルにも対応出来るように作られています。
シマノのニップル回しは、回す窪みの部分が幾つかあり、それぞれ違うサイズになっています。
さらに、サイズはニップル回しの窪みの裏に表記されています。
ですので、ニップルを交換する前に、自分の自転車のニップルに、どの窪みが適切なのかを確認してください。
実際に、ニップルをニップル回しの窪みにいれてみるのが、一番測りやすいです。
それから、スポークとニップルのサイズが違っていても、ネジが合う場合があります。
つまり、ニップルの穴の大きさが、スポークに適している状態ですね。
この場合でも、そのままの使用はしないでください。
まず、ホイールが少し緩くなってしまいます。
さらに、ニップルの裏側にスポークが僅かに突き出てしまい、それがパンクの原因にもなるのです。
ですので、必ずニップルはサイズのは、合ったものを選んでください。
また、ニップルの穴ですが、2.0㎜や1.8㎜と表記されたものが販売されています。
これは穴のサイズです。
基本的にはノギスでニップルの穴を測りますが、不安な場合は近くの自転車屋さんに現在使っているニップル自体を持っていきましょう。
元も子もないですが、そこで正確なニップルをご購入ください。
ニップルのサイズが分かったら自転車のホイール組み!道具編
自転車のニップルを交換する際、その交換方法はホイール組みとほとんど同じ手順になります。
というより、ホイール組みのやり方を知っておかなければ、ニップル交換は出来ないといっても過言ではないでしょう。
ですので、まずホイール組みに焦点を当てます。
その上で、ニップル交換についてご説明します。
しかし、その前に、専門の道具が必要になってきますので、まずニップル組みの道具をご紹介します。
まず一つ目は、サイズのところでご紹介したニップル回しです。
これを何かで代用しようとするのはやめてください。
次に、マイナスドライバーと、ニップルのサイズを測るときに使用したノギスです。
ノギスがなければ、最悪30㎝物差しでも構いません。
それから、振れ取り台とセンターゲージです。
振れ取り台とセンターゲージは、自転車の振れや、スポークの張りを調整するために必要な道具です。
特にスポーツタイプの自転車を乗る方にとっては、必須の道具ともいえます。
本格的に乗る方はご購入ください。
スポーツタイプ以外の方も、もちろん使用すべきです。
しかし、少し対処療法的な面が否めませんが、なくても振れ取りと、スポークの張りの調整をすることは可能です。
この理由は後述します。
また、必ずサインペンと糸はご用意ください。
こちらがホイール組みをする際、とても大切な道具になります。
ニップルのサイズが分かったら自転車のホイール組み!組み方編
ホイール組みをする際、まず必要なのはハブのセンターを出しておくことです。
ハブのセンターを出すにはノギスか、なければ最悪、物差しをご使用ください。
定規と物差しについては、どちらを使用しても構いません。
(定規⇒端に少し余白があり、その余白終了後、長さを測れる。物差し⇒端に余白はなく、端から長さを測れる)
どちらかといえば、若干ではありますが、物差しのほうが使いやすいです。
その理由は、端から長さを測れるからです。
この端から測れるメリットは、後ほどご紹介します。
ハブのセンターを出す方法は、単純にノギスか物差しを使用し、ハブの長さを測って、そのちょうど中心を見つけるという方法になります
その中心がセンターになります。
このセンターを出した後、必ずサインペンで少しだけセンターを黒く塗ってください。
このとき、黒い丸で印をしていただければよいのですが、あまり大きくしないことがポイントです。
大きく印を付けてしまうと後に測る際、センターにズレが出る可能性があります。
また、センターゲージをお持ちでない方は、必ず四方向からセンターを出しましょう。
上、左右、下という具合で構いません。
これで、ハブのセンターがとれました。
ニップルの交換をする方は、振れ取り台があれば、台に載せてください。
なければ、地面の上に垂直にホイールが立っている状態を維持させてください。
その際、ホイールが斜めになっていてはいけません。
足で挟むなどして、必ず固定してください。
ホイールが地面と垂直になった後、まず糸を使用します。
ホイールの、スポークが張られている面(側面)から見て、左側の表面(リムの部分)から糸を引っ張り、ハブの真上を通るように斜めに糸を通します。
右側の裏面(リムの部分)まで一直線に糸を引き、ホイールを上部から見下ろすと、糸とハブの交差する点が見えてきます。
そこで、ハブのセンターを必ず出しておきましょう。
ただ、このやり方ですと、元々のホイールのセンターがズレていますと、ズレた状態のホイールが出来上がります。
ですので、ニップルの交換をする場合は、安全面を考えて、一度完全に分解するか、センターゲージをお持ちの方のみが対象になります。
それから、ホイールの分解方法は、まずニップルをニップル回しで完全に緩めて取りはずします。
その後、ハブに引っ掛かっているスポークを一つ一つ外していきます。
ニップル交換の場合は、各ニップルを緩め、交換該当箇所のニップルのみを取りハズしてください。
その際も、全ニップルを緩める必要があります。
でなければ、交換該当箇所の新しいニップルがスポークに取りつけられません。
そして、ここからがホイール組みになります。
一番手っ取り早いのは、自転車の作業しているもう片方のホイールの組み方を参考にスポークをつけていってください。
クロスしている部分などがありますが、全く同じにしていただくと緩みません。
特殊な組み方等はあるのですが、基本的には同じようにしてもらうと一番安全で無難です。
また、スポークは自転車の種類によって組み方が違う場合があります。
※基本的にはニップル回しで、ニップルを締めていくのですが、緩いうちはマイナスドライバーで後ろから締めていくのが、効率的です。
スポークが組み終わると、もう一度センターを測ります。
そのため、振れ取り台に乗せてください。
そして、次は糸をご利用ください。
先程と同じやり方でセンターを出しますが、大抵の場合はセンターの黒い丸と糸の交差点がズレています。
ですので、糸とサインペンでつけた印が合うように、ニップル回しでニップルを調整します。
この時、ニップル回しは必ずニップルのサイズに合っているもので回してください。
もし、ニップルより大きなサイズで回すと角が舐める可能性があります。
また、調整の仕方ですが、ニップルを満遍なくどれも徐々に締めていってください。
どこかを極端に締めてしめてしまうと、車輪が動かなくなってしまいます。
また、キツく張る必要ありません。
少しスポークの張りに余裕のあるくらいで、止めてください。
あまりに閉めすぎると、スポークが折れてしまいます。
最後は、振れ取りとスポークの張りの調整を行う必要があります。
次は、振れ取りとスポークの張りの調整について、ご説明します。
自転車の振れ取りとスポークの張りの調整!
振れ取りには、振れ取り台が必要になります。
この振れ取り台はどんなサイズのホイールにも適応出来るのがほとんどで、非常に使いやすい道具です。
ですので、スポーツタイプの自転車を本格的に乗っている方は必ず購入しましょう。
振れ取り台があれば、振れの発見はとても簡単です。
振れ取り台に載せて、リムと左右のセンサーとの隙間が、1㎜くらいになるようにノブを回して調整します。
そのままホイールを回すと、左右のセンサーがリムに当たって音が出ます。
そこが、振れのある箇所になります。
このとき、右のセンサーにリムが触れている場合は、反対側の左スポークを緩めます。
逆もまた然りです。
それで振れをとっていきます。
しかし、振れ取り台がなくても、振れ取りを行うことは出来ます。
ただ、これはあくまでの方法ですので、スポーツタイプの自転車には絶対に使用しないでください。
スポーツタイプの自転車は1㎜単位の狂いが、大きなズレになります。
ですので、使用するのは一般的な自転車か、小型の自転車だけです。
この場合、少しだけ手間はかかります。
ですが、振れの確認出来ますので、ぜひお試しください。
ご用意するのは、先ほどのニップル回しと、物差しで構いません。
まず、自転車を裏返した状態にします。
そこで、前輪で振れ取りをする方法をご説明します。
前輪をまず車体にはめ込みます。
その後、前輪ブレーキを、ブレーキシューのどちらか一方がリムに少し当たるように調整してください。
あくまで、少し当たる程度で構いません。
回転が止まってしまうくらいにブレーキシューに当てる必要はありません。
逆に強く当てると、振れ取りが出来なくなってしまいます。
僅かにブレーキシューに当たるこの状態で、ホイールを回すと、当然ながらリムが必ずブレーキシューに当たるようになっています。
しかし、振れがある場合、リムのどこかがブレーキシューから離れて当たらないか、ブレーキシューがリムに当たりすぎて、ホイールの回転が止まってしまいます。
つまり、その回転の中で、左右どちらかに揺れている箇所が、振れのある箇所です。
ここを元の回転軌道に直さなければなりません。
この場合、振れている箇所の付近のニップル2~3個を締めたり緩めたりしながら調整してください。
仮に振れが大きい場合は、2~3個のニップルでは済まないかもしれません。
5個や6個回す可能性もあります。
もし、あまりに調整箇所が多い場合は、ホイール自体を替えてください。
強引に調整するのは、危険です。
次に後輪の場合です。
後輪もまず車体にはめ込みます。
しかし、一般の自転車には、後輪にはブレーキがないタイプもあります。
その場合は、クランクの後ろの辺りの車体を使います。
ここでは、車体とリムの間隔が目印になります。
後輪を回すと、クランクの後ろの辺りの車体とリムの部分がどのくらい離れたり近づいたりするのかを目視してください。
この際、目視で振れが分かりくい場合がありますので、物差しの端をリムに当てながら後輪を回します。
状態としては、車体と物差しは直角に交わっている状態になります。
物差しがあることで、リムの振れの箇所が、通常と何ミリ違いがあるのかが分かります。
その振れのある箇所を振れ取りしてください。
振れがとれましたら、最後にスポークの張り調整をしなければなりません。
スポークの張りの調整は、ハブをセンターにすることが必要になります。
ですので、センターゲージを使用する必要があります。
その際は、ホイールを地面に寝かせてください。
センターが取れ、振れがない場合に、センターゲージを寝かしているタイヤの上の置きます。
左右のリムとハブの部分が、ピタリとセンターゲージの突起と合えば、それでホイール組みが終了です。
このとき、左右どちらかが浮いてしまった場合は、リムのその面の張りが弱くなっていることを指します。
また、中心点が浮く場合は、スポークの張りが強すぎることになります。
どちらも、調整が必要ですので、ニップルを回して調整してください。
ちなみに、センターゲージのない方は、一番初めにつけた四箇所の黒い丸がセンターに合っているかどうかをご確認ください。
合っていなければ調整してください。
これで完全なセンターがとれる訳ではないですが、センターにより近くなります。
このようなセンターゲージを使用しない方法は、あくまでの処置です。
そのため、あまり過信はしないでください。
また、スポーツタイプの自転車では使用しないほうが無難です。
スポーツタイプの自転車は確実にセンターを出すために、必ずセンターゲージをご使用ください。
ニップル交換は意外と難しい!
どうでしたでしょうか?
ニップル交換はサイズや、ホイール組みの知識が必要で意外と難しかったかもしれません。
特にホイール組みは、慣れていない人では半日以上かかることもあります。
ただ、回数をこなせば時間は短くなるので、ご参考にホイール組みを行ってください。
また、近くの自転車屋さんにお願いする方が確実な方法です。
難しいと感じた方は、出来るだけプロにお任せするようにしましょう。
もしかたら、ホイール自体を交換したほうがよい場合もありますよ。