現在市販されているロードバイク用ホイールは、全てリア11速対応になっています。
しかし、2018年現在ロードのコンポが11速化されてから、まだわずかの期間しか経っておらず、8速や9速用のホイールも多く残っています。
そこで今回は、カスタマイズする際に何かと問題になるホイールとコンポの互換性を考えていきます。
ロードバイクの変速とホイールの関係性
まず、なぜホイールも変速段数を考えなくてはならないのか、というところから説明させていただきます。
ロードバイクの変速は、フロントがクランクに付属している「チェーンリング」、リアがホイールに取り付けてある「スプロケット」を通じて行います。
名称は違いますがこれらは「歯車」であり、そこにチェーンを掛け替えていくことでギアチェンジを行います。
変速段数は歯車の枚数分ですので、例えばフロント3速リア8速というと、チェーンリングが3枚、スプロケットが8枚付いていることになります。
スプロケットは、後輪のハブの「フリーボディ」というパーツに取り付けられます。
このフリーボディの幅(長さ)で、取り付けられる歯車の枚数が決まります。
ですから、リア11速対応というのは、ハブのフリーボディに11枚のスプロケットを装備できるホイールという意味になります。
11速用のフリーボディが一番幅が広いので、11速用のホイールであれば8速、9速、10速のスプロケットも装着出来ます。
後述しますが、その際は隙間を埋めるためのスペーサーが必要になります。
しかし、反対に8~10速用のホイールに11速のスプロケットを装着することは、通常の方法ではできません。
裏ワザがないわけではありませんが、費用も手間もかかるので、あまりおすすめではありません。
ロードバイクのホイールは変速段数に対応しなければならない
冒頭でもお話しましたが、現在は市販されているホイールも完成車付属のものも、ロードバイク用はほぼリア11速対応です。
そのため、これからロードバイクを購入しようとする人には、参考外の話になるかもしれません。
私も経験がありますが、ホイールとコンポの互換性を考えるのは変速段数を上げたいときです。
エントリーモデルと呼ばれる初心者向けの完成車は、リアが8速、9速のことが多いです。
これを10速、11速に段数を上げていく際に、ホイールが対応していないことが問題となるのです。
現存するホイールには11速対応、8・9・10速用、10速専用があります。
先述した通り、11速対応のホイールには全ての変速数のスプロケットが装着可能です。
8・9・10速用は文字通りで、11速のスプロケットは原則として装着出来ません。
非常にレアですが、10速専用のホイールもあります。
これも文字通り10速専用なので、他の段数のスプロケットは装着出来ません。
11速対応のホイールに8速用のスプロケットを装着する方法
それでは、ロードバイクのホイールにスプロケットを取り付ける際の注意事項を説明していきます。
まず11速対応のホイールに、他の変速数のスプロケット(以下スプロケ)を取り付ける場合です。
これは、ホイールは新しいものに交換したが、コンポが追いつかず8速や9速のまま運用するということで、割と良くあるシチュエーションです。
この場合は、ハブのフリーボディの方がスプロケの幅よりも広いので、スペーサーを使用して隙間を埋めます。
8速と9速のスプロケは、ほぼ同じ幅で11速よりも1.85mm狭い(短い)ので、1.85mmをスペーサーで埋めます。
スペーサーはホイールに付属していますが、ない場合は通販で200~300円で購入できます。
10速のスプロケットは8・9速よりもさらに1mm狭いので、11速対応のホイールには1.85mmと1mm、2枚のスペーサーを使用します。
なお、スペーサーを入れ忘れると、まともに走れませんし、フリーボディに無数の傷が付いて使いものにならなくなりますので注意してください。
8速用のホイールにスプロケットを装置する方法
次は8速から10速までに対応するロードバイクホイールに、スプロケを装着する際の注意事項になります。
まず、8速と9速のスプロケはそのままで装着出来ます。
ここで忘れがちなのが、10速のスプロケを取り付ける際のスペーサーです。
先述通り、10速のスプロケは8速、9速よりも1mm狭いです。
8~10速用のホイールは8速と9速の幅に合わせてあるので、10速のスプロケには1mmのスペーサーが必要になります。
これを忘れると、前項でお話したように悲惨な結末が待っています。
そしてこれも既にお話していますが、11速のスプロケは原則として装着は不可能です。
ただし、裏ワザがないわけではありませんので、次項で紹介します。
また、私もその存在を知らないのですが、10速専用のホイールも現存します。
ここまでの話でお分かりかと思いますが、10速用のスプロケが最も幅が狭いので、専用のフリーボディには他のスプロケを装着することは不可能です。
ロードバイクは8速用のホイールでも11速化が可能だが…
ロードバイクのパーツの中でもホイールは、かなり高価な部類に入ります。
そのため、リア11速化を図りたいと思っても、ホイールが8速用の場合は二の足を踏むことが多くなります。
そこに目を付けたメーカーが販売しているのが、11速用を改造して8速用のフリーボディにも対応できるようにした「加工スプロケット」です。
台湾の自転車パーツメーカー【TOKEN(トーケン)】が販売している、8速・9速・10速用のフリーボディに対応するスプロケです。
ローギア側を内側にオフセットすることでフレームとの干渉を回避して、装着を可能にしています。
しかし、問題なのは約3万円もする価格です。
シマノの最上級グレードである「デュラエース」のスプロケよりも高価になりますので、正直おすすめとは言い兼ねます。
3万円なら、海外の通販サイトでそれなりのグレードのホイールが手に入ります。
また、あと1万円ほど頑張れば、カンパニョーロの【ゾンダ】やフルクラムの【レーシング3】といった、超人気のホイールに手が届きます。
いわゆる、ホイールごと交換してしまった方が良いということになります。
格安の加工スプロケで11速化を図る
トーケンの加工スプロケは、コスト的に少し現実味に乏しい気がします。
それならば、既存の11速用スプロケットを、8速用のフリーボディ対応に加工してくれるショップをおすすめします。
相場はスプロケの定価+工賃5,000円といったところですので、大分格安になります。
様々なホイールやフレームがあるので、ショップ側ですら互換性が確信できていないのですが、私の周囲を見る限りは、ほぼ問題なく使用出来ています。
気になる方は、「パックスサイクル・加工スプロケット」で検索してみてください。
2018年1月第2週現在では、シマノの「105」と「アルテグラ」のスプロケを加工・販売しています。
アルテグラなどは2017年にリニューアルされたばかりの「R8000」ですから、お得感があります。
ロードバイクのホイールは長く乗っているとフレームと共に愛着がわいてくるものですから、交換する事無く11速化を図れるなら悪くない選択ですね。
変速数を上げるならホイールの交換も視野に
今回は8・9・10速用のホイールを使用して、ロードバイクの変速段数を上げていく方法。
そして、11速用のホイールで変速数の違うスプロケを運用する方法について考えてみました。
11速対応のホイールはスペーサーさえあれば何とでもなりますが、11速用以外のホイールは11速化に少し工夫がいります。
場合によっては新しいホイールを購入した方が良くなりますので、じっくりと検討してから行ってください。