ロードバイクのメンテナンスの中で、「ホイールバランス」の調整があります。
円形のリムは、必ずしも等しい重量で、バランスが取れているわけではないので、重量のバランスを均等にするという作業です。
では、バランスが崩れていると、走りに影響するのでしょうか?
また、調整することで、どんな効果が得られるのか、検証してみましょう。
ロードバイクのホイールバランスが崩れる理由
ロードバイクのホイールは、タイヤをはめる部分である「リム」、骨組みである「スポーク」。
スポークをリムに支持する「ニップル」、真ん中でスポークの受けになる「ハブ」で構成されています。
精密機械ではないので、リムも1周全てが同じ厚みというわけにもいきませんし、スポークも1本1本、微妙に重量が違います。
さらには、空気を入れるバルブ口や、ホイールのつなぎ目などでも重さが違ってきます。
これらが、ホイールバランスが崩れる、主な原因です。
バランスが崩れていると、ホイールは縦に振動しますので、特に高速域で走るとかなりガタガタします。
ホイールバランスの調整というのは、外周の重量を均等にするという意味です。
当たり前ですが、重量を減らすことはできないので、均等にするためには、軽くなっている部分に加重するということになります。
重量にこだわるロードバイク乗りにとって、わずかな加重も気に入らず、敬遠されがちなメンテナンスと聞いたことがあります。
しかし、そのデメリットを大きく上回る効果が得られるというのが、ホイールバランスの調整を肯定する人の意見です。
ロードバイクのホイールバランスが崩れるとどうなる?
ホイールバランスが崩れてしまうと、なぜロードバイクのホイールは振動してしまうのかを説明します。
ホイールの重心は本来ならば、中心点であるハブの軸になっているはずです。
しかし、先述した通り、不均等な重量の問題で重心が中心点と一致することは、ほぼあり得ません。
そのため、ホイールは本来描かなければならない軌道から、ズレて回転するので、振動が起こるということになります。
さらに、速度が上がると遠心力の影響が強くなるので、高速域になると振動が大きくなります。
平均的な25km/h程度で巡航している分には、さほど気にならないと思われます。
しかし、坂の下りなどで50km/h~60km/hまで速度が上がってくると、車体が大きく振動するようになります。
特にディープリムホイールなどは、バルブ軸が長いので、20gほどバルブ側が重くなります。
また、つなぎ目でも10gは違ってきます。
ここまで重量に偏りが出ると、さすがにホイールバランスの調整効果がデメリットを上回るという話は、理解できる気がします。
ホイールバランス調整の効果を確かめるために必要なこと
ロードバイクのホイールは、円形のリムとハブに、左右に分かれて支持されているスポークが引っ張り合うことで、テンションを維持し真円状態を保っています。
このテンションが走行中の衝撃などで、自然と崩れていきますが、その崩れた状態のことを「振れ」と言います。
この振れが発生している状態でも、ホイールは縦に振動します。
そのため、ホイールバランスを確かめる場合は、まず振れを取ってからにしなければ、正確には分からないことになります。
振れの調整は、1記事書けるくらいの重要性があり、調整の効果が歴然と出るメンテナンスです。
そのため、とても今回、併用してお伝えできるものではないので、別記事を参照してください。
また、車輪はホイールだけで成り立っているわけではないので、ホイールバランスはもちろん、タイヤやチューブにも関係します。
タイヤやチューブも、ゴムの厚さや溝の切り方で、重さが不均等になっているのは明らかです。
そのため、タイヤやチューブを交換した場合も、ホイールバランスを見直す必要があるということです。
効果を実感するためにホイールバランスを調整する
ここから、ロードバイクのホイールバランスの調整について、お伝えしていきます。
今回は、体感してみなければ効果が分からないということで、まず自力で行うことを考えてみます。
まず、ホイールバランスの確認ですが、ロードバイクを逆さまにします。
その状態で、クランクをありったけの力で回してみてください。
手で回しているうちは、フレームも勢いで振動します。
しかし、クランクから手を離しても、まだ振動するようなら、バランスが崩れている可能性があります。
この後は、どこが重くなっているのかを確認し、その反対側に加重することで、バランスを調整していきます。
用意するのは、1円玉(10枚くらい)・セロテープ・ゴルフクラブ用の鉛シートです。
鉛シートはゴルフショップじゃなくても、通販で購入できます。
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何でも構いませんが、こちらは5g・2.5g・1gとセットになっているので、切る手間が省けます。
本来の目的であるゴルフよりも、ホイールバランスの調整に使用している人が多くいます。
ロードバイクのホイールバランス調整方法
それでは、まずフロントからホイールバランスを確認してみます。
ロードバイクは、逆さまにしたままで行います。
その際に、サイコンのセンサーなどが付いていても、外さずにそのまま行います。
なるべく走行時と同条件にしないと、調整後の効果が、はっきり分からなくなるからです。
回転に抵抗が掛からない状態にするために、まずはブレーキとホイールのクイックリリースレバーを解放します。
この時点で、もしバランスが崩れているようであれば、ホイールは自然と回転し、静止します。
そのため、勝手に回転し始めないのであれば、ホイールバランスは正常ということになります。
ホイールが回転した後に静止した場合は、重い箇所が一番下にきています。
そのため、加重する必要があるのは、その反対側、一番上にある箇所ということになります。
位置が分かったら、そこに何gほど加重するかを、1円玉を使って調べます。
1円玉は1枚1gなので、後から何gの鉛ウェイトを加重するか分かりやすいですね。
何枚か重ねて、セロテープでリムに貼りつけてみて、ホイール適当なところで止めます。
バランスが取れているとすれば、ホイールをどの位置に持ってきても、そこで静止します。
あとは、何枚の1円玉でバランスが取れたのかを確認して、鉛ウェイトを貼りつけてください。
後輪はフレームから外して、バイクスタンドに立て掛けて行ってください。
ロードバイクのホイールバランス調整の効果
私も先人たちにならい以前、上記の方法でロードバイクのホイールバランスの調整を行いました。
調整後に効果を確かめるために、少しロングライドをしてみましたが、30~35km/hほどの巡航では、ほぼ何も変わった感じはしませんでした。
その後、ヒルクライム的なこともしてみましたが、坂の下りで、わずかに振動が少なくなっているのかと感じました。
しかし、これはあくまでも「感じた」程度のレベルで、劇的な変化ではありませんでした。
私は20g加重したのですが、加重のデメリットも感じませんでしたので、残念ながら、ほぼ何も変化なしという結果でした。
今でも、とりあえず鉛ウェイトは付けたままですが、バランスのチェックは行っていません。
今回お伝えしたように、しっかりとした科学的根拠もありますし、高速域では効果を実感できる人もいると思います。
費用もさほど掛かりませんし、作業も難しくありませんので、気になる人はやってみて、自分で効果を確かめるのが一番です。
高速で走ることが多い人にはおすすめ
今回は、ロードバイクのホイールバランスについて考えてみました。
高速域で走ることが多いロードバイクでは、行ってみて損はないメンテナンスという印象です。
自力で行うなら、コスパを意識するほどの費用も掛かりませんので、特に否定するようなこともありません。
ロードバイクは、何でもいじってみるのが基本ですから、楽しみながら作業してみてください。