「ラレー」は自転車の歴史を作ってきたと言ってっも過言ではない、イギリスの老舗ブランドです。
日本では、ホイールのリムで有名な「アラヤ工業」が企画・製造を行っています。
ラレーの伝統と格式を重んじながら、日本人に合った物作りをしています。
今回テーマに上げる「カールトン」はラレーの全ロードバイクに付いている冠で、ヴィンテージは2014年まで販売されていましたので確認してみましょう。
ラレー・カールトンヴィンテージは「アラヤ工業」の企画!
ラレーのロードバイクのカールトンシリーズは、全てクロモリなどのスチール素材であり、アルミやカーボンは使用されていません。
クロモリなどのスチールは重いので、フレームのチューブとして使用する際は細くする必要があります。
それが、あの独特の細身でクラシカルな雰囲気を醸し出します。
また、クロモリは非常に丈夫で耐久性に優れており、各メーカ共に20年は乗り続けられるフレームと謳っています。
日本で展開されているラレーの自転車も、細身のチューブでクラシカルな雰囲気があり、恐らくこれがラレーの伝統なんだろうと思わせます。
ただし、日本でのラレーブランドは、完全にアラヤ工業の企画・製造なので本国ラレーは全く関わっていません
現在イギリス本国のラレーは、アラヤ工業が製造しているクロモリロードのようなクラシックな雰囲気なバイクはほぼ扱っていません。
ですから、むしろラレーの伝統は、現在アラヤ工業が守っているとも言えます。
カールトンに「ヴィンテージ」という名前まで付けて復刻版を販売したのが、その証拠でしょう。
ラレー・カールトンは完全ホリゾンタルスタイル
「カールトン」はレース車専門のワークスショップでしたが、1960年代にラレーグループに買収されました。
これは推測ですが、今でもロードバイクの冠名になっているほどですから、よほど優秀なフレームビルダーだったのでしょう。
前項でお話したように、現在もこだわっているのは、日本でのライセンスを持つアラヤですが、ラレーのロードバイクの伝統はカールトンが築いたものです。
クロモリ素材のロードバイクは、今では完全に趣味の域と言って良いでしょう。
重量や剛性の関係から、レース機材としては採用されにくいですからね。
また、フレームが頑丈で長持ちするので、ひとつの機種がロングセラーになります。
さらに、固定ファンが付いていますので、今でも主流はトップチューブが地面と平行に真っ直ぐ取り付けられている、ホリゾンタルスタイルです。
ラレーのカールトンシリーズも全てホリゾンタルスタイルであり、昔ながらのダイヤモンドフレームです。
2014年までラインナップされていたカールトンヴィンテージなども、本当にきれいな前三角の形が特徴です。
ラレーのロードバイクの特徴
ラレーのカールトンシリーズは2018年モデルでは、完成車6種類、フレームセット2種の展開になります。
フレームは全てイギリスの老舗鋼管メーカーである、「レイノルズ」のチューブを使用しています。
レイノルズのチューブを使用したロードバイクは、ツール・ド・フランスで25勝以上もしている素晴らしい実績の持ち主です。
日本製ラレーのもうひとつの大きな特徴は、ホイールです。
アラヤは国内最大手の「リム」製造メーカーでもありますので、ラレーの完成車には全てアラヤのリムが使用されています。
ハブやスポークは他メーカー製のものを使っていますので、アラヤの手組みホイールということになります。
また、コンポに「シマノ」、ハンドルに「日東」、タイヤの「パナレーサー」など、国産メーカーのパーツを組み合わせています。
これがアラヤの「メイド・イン・ジャパン」へのこだわりと言われています。
後述しますが、こういったパーツの組み合わせにも一石を投じたのが「カールトン・ヴィンテージ」でした。
ラレー・カールトンヴィンテージを振り返る
ここで2014年まで販売されていた、「カールトンヴィンテージ」を振り返ってみます。
フレームはレイノルズの「631」番のチューブで、現在もミドル~ハイグレードに採用されています。
サイズは480(mm)、520、560で、従来のものと比べると小さいサイズがカットされています。
ジオメトリは今もラインナップされている「カールトン・F」と全く同じで、特に偏りなくバランスを重視したものになっています。
最大のセールスポイントは「BROOKS(ブルックス)」の本革サドルと、バーテープを使用しているところです。
ラレーよりも歴史の古い革サドルのメーカーで、現在も製造を続けている希少なメーカーです。
以前から多くのサイクリストに愛用されてきた、スポーツモデルのサドルが採用されています。
サドルは他のメーカーのロードバイクでもたまに見かけますが、バーテープまでブルックスの本革製は非常に珍しいです。
サドルとハンドルに統一性が出て、デザイン的にもクラシカルなイメージを演出しています。
カールトンヴィンテージはコスパが高かった
ラレーの「カールトンヴィンテージ」を振り返っていますが、コスパの高さが印象的です。
先述したように、フレームは現在のカールトンFと同じですし、カールトン・Fが16.2万円、ヴィンテージが16万円ですから価格も同じようなものです
そこで、両者を組み合わせたパーツで比較してみます。
コンポは両者ともにシマノ「105」のフルセットですが、105のリア11速化は2014年6月です。
そのため、ヴィンテージの最終年である2014年モデルはリア10速で、Fはもちろん11速です。
ホイールのリムは同じものを使用しており、ハブがわずかにカールトン・Fの方が上級です。
しかし、タイヤは同じパナレーサー製でも、ヴィンテージは上位グレード、Fはミドルグレードです。
そのため、11速化されたこととハブではFが優位ですが、タイヤで行って来いだとすると、サドルとバーテープの分ヴィンテージの方がコスパが高いと判断できます。
カールトン・Fのサドルは市販品ではないので価格は比較できませんが、本革製というプレミアム感を考えればヴィンテージが優位ということになります。
ラレーカールトンシリーズのハイエンドモデル
カールトンヴィンテージは製造が終了していますので、今となっては入手が困難な状態です。
そこで最後に、私がおすすめしたいラレーのロードバイクをご紹介します。
【Carlton-R(カールトン・R)】参考価格:¥295,000
こちらは、カールトンシリーズのハイエンドモデルになります。
フレームはヴィンテージと同じレイノルズの「631」を使用しています。
フロントフォークは、これも世界的なチューブメーカーである「コロンバス」製のフルカーボンフォークを使用しています。
2017年にモデルチェンジされたシマノ「アルテグラR8000」のフルコンポに、こちらも評判の良いシマノのホイール「WH-RS500」を採用しています。
ワイヤーをチューブに内蔵する仕様にしたり、ヘッドチューブを剛性の高いインテグラルヘッドにしています。
クラシカルな見た目はそのままに、現在のロードバイクのトレンドを適度に取り込んだ、面白みのある1台に仕上がっています。
ラレーのロードバイクは進化している
今回は、日本で販売されているラレーのロードバイクを紹介しました。
カールトンヴィンテージの生産終了は残念ですが、その他のバイクも着実に進化しています。
従来のクロモリファンの方はもちろん、スチールフレームに興味のある方は、ぜひ選択肢に入れていただきたいメーカーです。