ロードバイクのタイヤは細い?太い?用途で見る適正な太さ

ロードバイクに初めて乗った人が、まず驚くのは、タイヤが細いことです。

ママチャリなどに比べると、15mm程度細くなりますので、相当細いと感じるはずです。

しかし、自転車全体で見れば、細いタイヤを履いているロードバイクですが、現在は太いほうにシフトしています。

そこで今回は、ロードバイクの現在のタイヤ事情を確認してみます。

ロードバイクのタイヤは太さだけ変えられる

ロードバイクに採用されているタイヤは、スポーツ自転車の中でも、かなり口径の大きい部類になります。

現在は、ほぼ「700c」という規格に統一されています。

これはタイヤの外径が700mmで、タイヤがはまるホイールのリムの規格が「c」という意味です。

リムの規格については難しく考えずに、ロードバイクは「c」と暗記してしまって構いません。

そのため、ロードバイクのタイヤは700cのホイールに適合するものであり、ホイールを交換しない限り、大きさを変えることはできません。

タイヤのサイズには、もうひとつ「太さ(幅)」が大きく関係してきます。

タイヤの太さは、リムの幅やフレームとのクリアランスの問題さえクリアできれば、自由に選択することができます。

理屈上はそうでも、実際には制約が大きく、太いタイヤはフレームに入らない可能性が高いです。

しかし、現在、ロードバイクのタイヤは25c(25mm相当)が主流になっており、太いほうにシフトしてきています。

ロードバイクのタイヤが太いほうにシフトしている理由

ロードバイクは市販されているので、我々エンドユーザーにも届いていますが、元来はロードレースの機材です。

そのため、ロードレースでプロが採用したものがトレンドとなり、その後、市場に出回るのが流通の形です。

タイヤにおいても、プロがこれまで使用していた23c(23mm)から25cにシフトしたことで、一般市場も25cが主流になったわけです。

タイヤの太さはスピードに密接に関わると言われ、細いほうが地面との摩擦が少ないので、スピードが出るとされていました。

しかし近年、23cと25cを同じ空気圧で比較した場合、25cのほうが変形率が低く、パワーロスが少ないことが分かってきました。

プロレーサーの脚力でパワーロスしないことは、とても重要なので、25cが重用されるようになったと聞いています。

しかし、同じ空気圧での実験結果という点に、意義を唱える人もいます。

空気圧は細いタイヤほど高くなり、太いタイヤほど低くなりますので、同じ空気圧で実験した場合、どちらかに有利状況になってしまうということです。

いずれにせよ、現在は完成車のほとんど25cが標準装備になっており、トレンドであることは間違いありません。

ロードバイクでは細いタイヤにもメリットがある!

現在のロードバイクのタイヤは、25cにシフトしてきましたが、23cやそれより細いものが、消えたわけではありません。

細いタイヤは単純に軽いですから、プロでも山岳ステージなどでは、23cを使う選手もいます。

ホビーライダーにおいても、漕ぎ出しの軽さ、坂の上りでの楽さは細いタイヤのほうが勝りますので、23cを重用しているという人もいます。

普通の脚力の人が、23cと25cのパワーロスの差を、どこまで感じ取ることができるかと言えば、かなり微妙でしょう。

何が言いたいのかと言えば、細いタイヤにもまだまだ有用性があり、用途によっては23cのほうが適している場合もあるということです。

実際にフレームメーカーも、太いタイヤを履けるクリアランスを確保し始めたのは、最近のことです。

現在、市場に出回っている多くのロードバイクは、20~25cまでのタイヤに適した形状です。
そのため、急激に太いほうへ傾くことは、当面ないとみて良いはずです。

太いタイヤのメリット

ここまでの話の中で「用途」という言葉を多く用いていますが、タイヤの太さはロードバイクにどう乗るかによって決まってくるものです。

太いタイヤは中に入る空気が多くなりますので、空気圧が下がり、クッション性が増します。
その分、衝撃吸収性が高くなり、乗り心地が良くなります。

地面からの振動は、ボクシングのボディブローのように、後からジワジワ効いてきます。
それだけに、距離を乗るロングライドには、少し太いタイヤのほうが適していることになります。

また、細いタイヤに比べれば、前に進むことに対する抵抗力(転がり抵抗)が減りますので、巡航性が上がります。

漕ぎ出しが重く、スピードに乗るまでに時間が掛かりますが、落ちるのにも時間が掛かるので、スピードが維持しやすいです。

あまり太過ぎると別の問題が出てきますが、少なくとも25cは23c以下に比べて、巡航では優位というデータは立証されています。

そのため、平地がメインで、信号のない一本道を高速で走るような乗り方なら、25cが適しています。

ロードバイクに28cのタイヤは太い?

ロードバイクのタイヤが25cにシフトしてきているのは、お伝えしている通りですが、最近の完成車には28c以上のタイヤを履ける形状のものも増えてきました。

特にヨーロッパの石畳レースを走ることを想定され、衝撃吸収性を高くしている「エンデュランスモデル」に、その傾向があります。

また、28cは街乗りのクロスバイクの主流の太さです。

ロードバイクも用途が多様化しているので、街乗りにも用いられるようになっています。

28cのタイヤ使用者の声を聞くと、乗り心地の変化は当然ですが、安定感を推す声が多いです。
冒頭でも話をしましたが、28cといっても、ママチャリに比べれば、まだ約10mmは細いです。

そのため、ロードバイクのスポーツライクな部分を殺してしまうことはありません。

ネットには、「ロードバイクで太いタイヤを履く意味はない」「クロスバイクにしておけ」のような辛辣な意見もあります。

しかし、細いタイヤで我慢して走っているくらいなら、周りを気にせず、太いタイヤにしても良いのです。

自分がどう走りたいかを優先して考えれば、おのずと答えは出るはずです。

同じ太さでもタイヤの性質を変える工夫

先述した通り、ロードバイクのタイヤは太いほうだと、フレームとのクリアランスの問題で、入らない可能性があります。

そこで、28cにしたいけどフレームの問題で断念している場合は、少し考え方を変えて、空気圧を調整する方法があります。

タイヤには適性の空気圧があり、タイヤの表面に印字、または刻印されています。
適正空気圧は、高低を明示して、幅を持たせているものが多いです。

うがった見方をすれば、適正空気圧内であれば、何かトラブルがあったときに保障の対象になります的なことです。

それを逆手に取るわけではありませんが、クッション性を持たせるのであれば、低めの空気圧にしてみましょう。

逆もまた然りで、とにかくパワーロスをせずガンガン走りたいなら、適正空気圧の上限で乗ってみれば良いです。

あとは、買い替えるときに、タイヤの性質(コンパウンド)に注目するのも大切です。

耐パンク性を高めているものや、転がり抵抗の軽減に力を注ぐものなど、タイヤの性質に注目してみると、色々な種類があることが分かります。

タイヤは、同じ太さでも性質を変えることで、走りの質も変えられるということですね。

タイヤの太さは用途で決めるものです

今回は、ロードバイクのタイヤの太さについて考えてみました。

太いほうにシフトしているのは確かですが、細いタイヤの需要が、まだあることも事実です。

タイヤの太さはトレンドに流される必要はありませんので、自分の用途最優先で考えてください。

また、同じ太さでも、空気圧や性質で走りを変えることも可能ですので、試してみてください。