シマノのロードバイク用コンポの最高峰であるデュラエースは、現在R9100番まで進化を遂げています。
同時にホイールも発売されており、ハブも手組み用ではありますが9000番が販売されています。
手組みホイール用のハブにデュラエースまで必要なのかは、何とも言えません。
しかし、11速のホイールを自分で組むのは、かなり難しいとの声も良く聞かれます。
そこで今回は、デュラエースのハブについて手組みなども考えて検証していきます。
デュラエース9000は一世代前のシリーズ
デュラエースといえば、コンポでは私の様にレースを目指さないホビーライダーには少し贅沢かなと思います。
しかし、ホイールは高価ですが、他のメーカーのハイエンドモデルと比較しても性能は申し分ありません。
特に【WH-R9100-C24】は、アルミリム(カーボンラミネート)としては最軽量レベルの1400g切りです。
9000シリーズよりも更にワイドリム化されての事なので、この重量はかなりの高評価を得ています。
シマノは全体的に若干剛性が低めで柔らかい乗り心地です。
しかし、デュラエースの9100に関しては、リムの設計を見直していますので、剛性の強化と応力の伝達面が向上しています。
したがって、立ち漕ぎなどでトルクを掛けてもホイールにたわみが無く、ヒルクライムなどにも向くホイールになっています。
一方、ハブに関しての評価は特に目立たないというのが本当のところです。
これは何もデュラエースに限った事ではないですが、ハブの性能はスピードにあまり関わらないので体感しずらいのです。
レベルが上がれば耐久性はアップしますが、走りに与える影響はホビーライダーで分かるかと言われれば微妙なんですね。
ハブの性能がもたらすもの
ハブは漕ぎだしに与える影響も少ないとされています。
漕ぎ出しの軽さに関わるのは、リムやタイヤであり、その重量がポイントになります。
ハブやスポークでいくら軽量の物にしたところで、リムに重量があれば走りに軽さは求められません。
さらに言えば、ハブには「ベアリング」という軸をスムーズに回転させる為のパーツが内蔵されています。
このベアリングの精度の高低が、ホイールの価格差の一因になっている事は確かです。
しかし、これも精度が高いからといって、劇的にスピードが出る様なものでもありません。
デュラエースは、このベアリングにステンレスを使用しています。
一方、デュラエース以外のハブのベアリングはスチール製です。
ステンレスの方が硬度が高い分耐久性に優れていますし、変形しない分真円度の高さでも上回ります。
これだけ見ればやはりデュラエースのハブは、優れていると言って良いです。
ちなみにですが、現在デュラエースの市販されているハブは先述通り手組み用の9000番台のみです。
参考価格は、前後セットで約4万円です。
デュラエース9000のハブは特別なのか?
シマノにはデュラエースに次ぐグレードに「RS81」というホイールがあります。
これは、デュラエースのアルミクリンチャーホイールのハブだけを交換し、リムは同じ物だと言われています。
それでいて価格が約3万円違います。
という事は、この価格差はハブの影響が大きい事になります。
どちらもハブ単体では市販されていないので価格は分かりませんが、その3万円の価格差ほどハブの性能に違いがあるかが問題ですね。
同じ自転車で乗り比べられれば違いも分かるはずです。
筆者は、体験したことがあります。
前モデルの9000番台とRS80での乗り比べでしたが、結論から言うとはっきりした違いが分かりませんでした。
僅かにデュラエースの方が坂の登りで軽さを感じましたが、これも誤差の範囲程度かもしれません。
実際に重量はデュラエースの方が100gほど軽いのは確かなんですが…。
ですから、この100g差を感じられる脚力やペダリングの技術があれば、3万円余計に出す価値があると言えるかもしれません。
デュラエース9000のハブで手組みホイールを組む意味があるか?
個人的にデュラエースのハブの性能の良さにはあまり気付けませんでしたが、完組みホイールとしての完成度は素晴らしいと思います。
先述の通り、アルミリムながらその重量と9000からのグレードアップで剛性が高くなっているので、ヒルクライムのホビーレースでも使用できるレベルでしょう。
ですから、少しネガティブな事を並べたのはあくまでもハブの事であり、ホイールそのものは十分に費用対効果の高いものである事を強調しておきます。
さて、ここからはデュラエースのハブを使用して手組みホイールを作成することを考えていきます。
ここまでの話からもうお分かりかもしれませんが、個人的にはおすすめしないと言わざるを得ません。
まず、シマノはリムのみの販売はしていませんので、デュラエースと同じ位のコスパの高いリムを見つける事が困難です。
もちろんお金に糸目をつけないなら、いくらでも選択肢は広がるでしょうが、コスパを考えると難しいです。
では、発想をガラリと変えて安価なリムで組むとしたら、今度はデュラレベルのハブが必要なのか?という疑問が出てきます。
筆者の体験からも多くの方の体験談からも、安いリムに合わせるならアルテグラや105で十分だと思えるからです。
手組みホイールと完組みホイールは全くの別物
さらにデュラエースの市販されている9000番のハブを見て頂ければ分かりますが、リア用のハブでスポーク本数が24本以上になっています。
しかし、デュラの完組みホイールのリアのスポーク本数は20本です。(フロントは16本)
なぜ完組みが少ないスポークの本数でも組めるかというと、スポーク、リム、ハブがそれぞれ連動して設計されているからです。
完組みホイールはオリジナルですから汎用性や互換性は関係ありません。
したがって、スポークの本数が少なければ、その分企画から外れても太くして剛性を保てば良い事になります。
しかし、手組み用のパーツは当然汎用性を考えるので、ある程度決まった規格のものしかありません。
このように規格の決まった細いスポークでは、本数を多くするしか剛性が保てなくなります。
しかし、本数が増えればいくら細いといっても重量はかさみます。
また、スポークの組み方にもよりますが、本数が多くなれば僅かですが空気抵抗が増えます。
デュラエース9000のハブで手組みする際はショップに相談が賢明
もう一つ手組ホイールに立ちはだかる大きな壁は、オフセットリムの問題です。
後輪の左右のスポークテンションを揃える為に、スポークの穴がリムの中心よりも左にずれて開けられているリムの事です。
なぜ、そうしなくてはいけないのかというと、後輪の右側にはカセットスプロケットが装着されています。
その関係でハブのフランジ(スポークを取り付ける部分)が左側に寄ってしまいます。
そうなると、必然的に左側のスポークは右側のスポークより長くなるので、アンバランスになります。
これを少しでも解消させるためにスポーク穴をずらして(オフセットして)、長さを近づける用にしているのがオフセットリムという訳です。
今の完組みホイールはほぼオフセットリムです。
したがって、仮にリムを現行のままハブだけデュラエースの9000に交換するのならこの問題はクリアです。
もちろん一から手組みホイールを作成するにも、リムはオフセットの物を使用するのがベストです。
今回の話のまとめとしては1度ショップに出向き、「デュラエースのハブで手組みホイールを作りたい」と言ってみることです。
あとはショップの判断とあなたの決断次第で、手組みホイールになるか完組みが良いのかが決まる事になるでしょう。
手組でホイールを組む難しさを痛感!
今回はデュラエースのハブを見てきました。
今更かもしれませんが、ホイールの性能はリム、スポーク、ハブが連動して初めて決まるものであり、単体では中々評価が難しいと感じます。
また、手組みホイールは色々と考慮する部分があり、一筋縄ではいきません。
しかし、自転車を趣味としてそのレベルを上げていくには、自分でホイールを組んでみるのも良いですね。