ママチャリに乗っていて「ペダルが重いな」とか、反対に「軽すぎて漕いでも漕いでも進まない」などと感じることがあると思います。
こんなときは、ギア比を見直してみると改善することがあります。
ギア比って何?と思う方もいらっしゃると思いますので、今回はギア比の基本から、順を追って確認していきましょう。
ママチャリのギア比とは
まず、自転車のギアから簡単におさらいしてみましょう。
自転車はペダルを回すことによって動力が歯車に伝わり、チェーンを動かすことで、車輪が回転する仕組みになっています。
この中で、動力が伝わる歯車がギアのことです。
ギアは前後にあり、クランクの先についている「チェーンリング」が前側、後輪に付いている「スプロケット」が後ろ側のギアになります。
この2つの歯車にチェーンを掛けていることで、自転車は動いているのです。
また、歯車は付いている歯の数で大きさが違い、前後の歯車の組み合わせによって、自転車の出せるスピードが変わります。
この前後の歯車の組み合わせのことを「ギア比」と言います。
ギア比は、クランクを1回転させたときに後輪が何回転するかを表す数値です。
そして、ギア比は「前側のギアの歯数÷後側の歯数」で計算されます。
例えば、一般的なママチャリは、前ギアの歯数が32、後ギアが14ですので、ギア比は2.285となります。
ギア比が小さいと車輪があまり回転しないので、ペダルを軽い力で漕げますが、その分スピードは出ません。
反対に、ギア比が大きいと車輪の回転数が上がるので、強い力でペダルを漕ぐ必要がありますが、その分スピードが上がります。
ママチャリの変速の仕組み
自転車のギアは前後1枚だけとは限りませんので、ギアの枚数分だけギア比が存在します。
ロードバイクなどは前側に2枚、後ろに8~11枚の歯車が付いているので、16~22個のギア比が存在します。
それだけ細かく、スピードのコントロールが可能ということですが、ママチャリはそこまで細かくなっていません。
ママチャリには、変速の仕組みが2種類あります。
前後の歯車の組み合わせによって変速する「外装式」と、後輪のハブという部分に、ギアが内蔵されている「内装式」があります。
ママチャリは、後側に6枚のギアが付いている(前は1枚)「外装6段」です。
前後のギアは1枚ずつですが、ハブの内部で3段に変速させる「内装3段」のどちらかが多いです。
後ほど詳しくお話しますが、最少と最大のギア比はあまり変わらず、ギア数が多い分、外装6段のほうが細かく変速できるといったところです。
ママチャリのギア比計算方法①内装式
ママチャリのギア比についてお話していますが、内装式と外装式について、もう少し詳しく説明しておきます。
内装式のギア比は、[ハブに内蔵された変速システムのギア比]×[ギアの組み合わせのギア比]で計算されます。
内装式は、前後ともに歯車は1枚ずつなので、その自転車が持つギア比は、おのずと1つに限定されます。
それを内部の変速システムで、何段階かに分けていると考えてください。
ママチャリは内装3段が基本なので、ベースのギアが2速、1速が軽いほう、3速が重いほうになります。
シマノ製のハブのギア比を例に取ってみると、1速は0.733、2速は1.000、3速が1.360となっています。
これに、チェーンリング(前ギア)とスプロケット(後ギア)の歯数で、内装3段式のギア比が決まります。
内装3段のママチャリのチェーンリングの歯数は32個、スプロケットは14個が一般的です。
そのため、ベースのギア比は2.285となります。
これに、内装のギア比を掛けると、1速は1.675、2速はベースなので2.285、3速は3.108となります。
1速と2速の差が約0.6、2速と3速の差が0.8以上ありますので、変速のイメージとしては「ガクン、ガクン」と落差の激しいものになります。
また、このギア比だと1速では軽すぎて、3速では重すぎるとなる可能性が高いです。
ママチャリのギア比計算方法②外装式
一方、外装式は主に、スポーツ自転車によく見られる変速方法です。
後ろギアのスプロケットが複数枚装着されており、そこをディレイラーと呼ばれる変速機が、チェーンを保持したまま移動して、変速する仕組みです。
ママチャリは6段が一般的で、前は1段しかありません。
6段のスプロケットは選択肢が少なく、ほとんどが最少14、最大28の歯数構成のものです。
1速から(軽いほう)順に、28・24・21・18・16・14の組み合わせです。
そのため、外装式のギア比のカギを握っているのは、前ギアの歯数ということになります。
自転車屋さんでママチャリを購入するときに、「内装3式と外装6式は最少と最大のギア比がほぼ同じ」と言われることが多いです。
それを元に考えてみると、外装6段のママチャリのチェーンリングの歯数は、44~46が一般的ということになります。
仮に45だったとすると、最大のギア比は3.214、最少のギア比は1.607なので、おおむね同等と判断できます。
ギア比の変更方法①内装式
内装式でも外装式でも、ギア比の変更を考えるとすれば、「坂の上りや漕ぎ始めにもう少し軽さが欲しい」か、「もっと速く走りたい」この2つが大きなテーマになりそうです。
この場合は、内装式なら8段に変更するという手があります。
シマノ製のハブで8速になると、1速が0.527、8速が1.615なります。
軽いほうにも、重いほうにも広範囲にカバーしていますので、上記の希望は両方とも叶えられることになります。
しかし、内装8式は5万円を超えるような、高級ママチャリにしか搭載されていません。
また、今のママチャリを内装8段へカスタマイズするのであれば、そこそこの新車が買えるくらいの費用が掛かると思ってください。
それは費用的に厳しいということになると、内装式の場合は、前後のギアを交換することになります。
ママチャリのチェーンリングはクランク一体型が主流なので、交換となるとクランクごとになりますから、コスト的にも厳しいです。
まして、ギアを今より軽くすることを考えると、32以下のチェーンリングは中々ありません。
そのため、後輪のスプロケットの歯数を替えます。
一般的なのは14とお伝えしましたが、ギアを軽くするなら歯数を増やし、重くするなら減らしてください。
シマノ製なら1枚3,000円前後、ノンブランドなら1,000円前後で手に入ります。
作業には後輪を外す必要があったり、特殊な工具も要るので、不安なら自転車屋さんにやってもらいましょう。
お店によって違いますが、1,000円前後(工賃のみ)でやってくれると思います。
ギア比の変更方法②外装式
一方、外装式のママチャリのギア比の変更はどうでしょうか?
外装式の場合は、後ろギアであるスプロケットの歯数構成を変えるのが一般的です。
ただ、外装式の変速は先述したように、ディレイラーが行います。
ディレイラーは動ける範囲が決まっているので、スプロケットの歯数構成を変えてしまうと、届かない可能性があります。
特に、ギアを軽くしたいと考えて歯数の多いものにすると、スプロケットが大きくなるので、今のディレイラーでは対応できない可能性が高くなります。
となると、ディレイラーまで交換することになりますが、6速用で大きなギアに対応できるディレイラーは、極めて少ないです。
かろうじて見つけましたので、ご紹介します。
【SHIMANO(シマノ):RD-TY500 7/6S 逆爪ブラケット ERDTY500B】参考価格:¥1,400
これならば、スプロケットの歯数が最大34まで対応可能ですので、かなり軽いギアを持てることになります。
【SHIMANO(シマノ):MF-TZ30 6S 14-34T 468144 EMFTZ306434T】参考価格:¥1,400
先ほどご紹介した14-28の歯数構成を持つスプロケットの、最大歯数28が34になったタイプです。
チェーンを長くする必要などもありますので、これも不安なら自転車屋さんにお願いしましょう。
内装式と外装式は自転車に対する考え方の違いが出る
今回はママチャリのギア比について考えてみました。
個人的な考えですが、ママチャリで細かいギア比まで考えなくて良いという人は、内装式がおすすめです。(メンテナンスも楽)
一方で、今後色々とギア比を考えていきたい人は、外装式の方が後々のカスタマイズがしやすいです。
また、外装式を選ぶのであれば、同時にスポーツ自転車まで視野に入れても良いのではないでしょうか。