自転車に長く乗っていると、色々と不具合が出てくるものです。
「タイヤがすり減る」「ブレーキの効きが悪くなる」「サドルの皮が破けてくる」など様々です。
また、発進時に気になる音がしたり、ブレーキから甲高い音がしたりもします。
そこで今回は、自転車にまつわる異音について考えてみましょう。
自転車発進時の異音には様々な原因がある
自転車からする異音については原因が様々で、なかなか特定するのが難しいです。
一番分かりやすいのは、ブレーキや変速機関係からの異音で、操作をしたときのみ音が鳴れば、原因の特定がしやすいです。
特に、ママチャリの後輪に使用されていることの多い「バンドブレーキ」は、音が鳴ってしまうものと割り切らなければなりません。
独特の「キーィ」という甲高い音は、好まれるような音ではないですからね…。
あまり酷い音がするようなら、別の種類に交換ですね。
変速機からの異音は、多段化されているスポーツ自転車に多い悩みのタネになります。
多段化されている自転車には、「脱線する」という意味のディレイラーが付いています。
このディレイラーが、チェーンを保持したまま、ギア間を行き来することで、変速が行われています。
ですから、異音は、ディレイラーの不具合・チェーンの劣化・スプロケット(ギアの歯車)の劣化などが考えられます。
また、外装式の変速機は、車輪が回っているときにしか変速ができません。
そのため、停車する際に変速が完了していないと、発進時に変速して「ガシャッ」という音がします。
しかし、ディレイラーの調整不足と分からないうちは、発進するたびに音が鳴るので故障かと疑うわけです。
しかし、これもほんの一例に過ぎず、別の理由も考えられます。
自転車発進時の異音で多いのは?
「自転車 異音」と検索すると、かなりの高確率で「BB(ボトムブラケット)」と「クランク」がヒットします。
発進時や坂の上りなどで力を込めてペダルを漕ぐと、「パキパキ」や「カラカラ」などの異音がすることがあります。
この場合は、まずBBやクランクを疑います。
BBはクランクをフレームに支持するパーツで、クランクを回すたびに大きな負荷が掛かる部分です。
BBはクランクの軸受けなので、ベアリングが内蔵されています。
ベアリングは、グリスという粘度の高い潤滑油で精度を保っていますが、これが飛び散ったり抜けたりすると、異音の原因になります。
そのため、クランクを回したときに異音がする場合は、一度クランクを外して、BBも含めて清掃とグリスの充填を行ってみてください。
それでも音が鳴りやまなかったり、一時的に小さくなって、また鳴る場合は、構造上の問題なので交換するしかありません。
検索すれば、すぐに分かることなので、書かせていただきますが、「BB30」には要注意です。
自転車の異音の原因は回転体に多い
クランクやBBの異音は、グリス抜けの可能性があると言いましたが、自転車には他にも回転体があります。
ホイールの中央に付いているハブ・ペダル・ハンドルなどがそうです。
ペダルは、クランクやBBと一緒に点検すると良いでしょう。
ペダルは、ロードバイクのビンディングペダルなどを除くと、比較的リーズナブルなものが使用されています。
また、常に足で踏みつけているので、劣化の早い箇所でもあります。
発進時に「がりがり」音がしたりすれば、ペダルが腐食して錆びている可能性があります。
そして、ペダルにも小さいですが、ベアリングが内蔵されているので、グリスアップも忘れないでください。
次にハンドル周りですが、ここは異音と共に「ガタガタ」してきたら要注意です。
フロントフォークのステアリングコラムにも、ベアリングが装着されているので、これも清掃してグリスアップが必要です。
また、ベアリングの当たり具合の調整が必要なので、ガタガタするようなら、ステムの上部のボルトを締めて調整してください。
発進直後の異音はどこから?
自転車の異音を考えていますが、発進してすぐに鳴り始める音だと、もっと単純な理由も考えられます。
まず、何かが擦れているような「シュッシュッ」という音がしたら、ブレーキシューとホイールのリムが常に接触している状態かもしれません。
ママチャリの前輪や、スポーツ自転車の多くに採用されているのは「リムブレーキ」です。
ブレーキシューというゴム製のパッドを、ホイールのリムに押し当てることで回転を止める方式です。
そのシューが、ホイールの歪みなどによって常にリムと接触している状態なので、擦れて音がするわけですね。
その場合は、左右のシューの真ん中にホイールが来ているかを確認して、リムの歪みなどがあれば調整をします。
長くなり過ぎるので割愛しますが、「ホイール振れ取り」や「ブレーキのトーイン」と検索するとヒントが出てきます。
また、これも実に単純ですが、夜間の視認性を高めるために、ホイールに反射板が付いている場合があります。
これがズレたり外れかかったりして、スポークに干渉して音が鳴っている場合があります。
特に後輪では、後述する「ラチェット音」と区別できないので、勘違いすることもあります。
スピードメーターのセンサーなども干渉しやすいので、走行前にホイールを回転させて点検してみましょう。
自転車には故障や不具合ではない音もある!
自転車に関する音でポピュラーなものの1つに、「ラチェット音」があります。
一部のシングルスピード車を除いて自転車は、クランクを正方向に回したときにしか、車輪に動力が伝わらないようになっています。
これによって、坂の下りや押し歩きなど、惰性で動いている際にペダルが回らなくて済むようになっています。
この仕組みをラチェット機構と言いますが、この機構が働くと構造上、音が鳴ります。
発進時や走行時には鳴りませんが、坂の下りなどでは結構大きな音がします。
ホイールメーカーによって音の大きさが違いますが、これは故障ではありません。
この機構はホイールのハブに内蔵されています。
ハブを分解し、ラチェットの爪をグリスアップすれば、多少小さくはなりますが、構造上の問題なので根本的な解決にはなりません。
ネットの動画などを参考に、ラチェット音を確認して、好きな音じゃない場合は、音が小さいと言われているメーカーのものを選ぶべきでしょう。
ロードバイク用の有名どころでは、カンパニョーロとフルクラムは大きめ、シマノは小さめです。
異音が止まないときはここも確かめる
ここまでは、比較的オーソドックスな自転車の異音についてお話してきました。
最後は、私が個人的に体験したことをお話しておきます。
まず、私が以前体験したことですが、発進時に後輪の方から「ペキィ」という何かが割れるような音が頻発するようになりました。
フレームにヒビが入ったのかと思われるほどの音でしたので、点検してみるとフレーム自体に問題はありませんでした。
ここから、今回ご紹介したようなことを全て試したのですが、音は一向に鳴りやみません。
そんなときに、リアエンドの固定ボルトが怪しい、という記事を見付けました。
リアエンドのボルトは、ディレイラーをフレームに固定しているボルトで、ここが緩んでいると異音がするとのことでした。
また、スプロケットを固定している、ロックリングの緩みも関係しているかもしれないということで、どちらも締め直してみました。
その結果、異音は見事に消えました。
両方とも、締めてから試走したので、どちらが原因だったかははっきり分かりませんが、いずれにしても異音は解消されました。
異音がしても焦らない
今回は、自転車の発進時の異音について確認しました。
原因の特定は難しいので、とにかく色々と試してみるしかありません。
また、グリスアップやディレイラーの調整など、日頃のメンテナンスで防止出来ることもあります。
できることはやっておく、というスタンスは大事ですが、自転車に異音は付きものくらいに考えて、鳴っても焦らず対処していきましょう。