スポーツ自転車にとって、ホイールは走りの質を決める上で、かなり大きなウェイトを占めています。
特に、ロードバイクのホイールは種類が多いですが、そんな中、シマノも高いシェアを誇るメーカーのひとつです。
今回取り上げるrs30は、すでに製造していませんが、後継ホイールに受け継がれているように、人気のホイールでした。
そんなrs30に加えて、今回は後継ホイールも確認していきます。
シマノrs30はどんなホイール?
rs30はシマノのコンポ「デュラエース」が、まだリア10速だった時代に販売されていたホイールです。
そのため、もちろん8・9・10速対応のホイールです。
現在は、後継のリア11速対応のrs31やrs330が販売されており、rs30のコンセプトは受け継がれています。
シマノのアルミクリンチャーモデルの中では低グレードで、完成車ではエントリーモデルに装備されるようなホイールです。
リムハイトが30mmとセミディープなので、他の低~中レベルのホイールの中では、一線を画す存在です。
セミディープリムの分重量がかさみますが、思ったほどの重さは感じないようです。
また、シマノのホイールは全体的に剛性が低く柔らかめの乗り心地が特徴ですが、セミディープのため、ある程度の剛性が確保されています。
そのため、レース用には無理ですが、トレーニング用のホイールとして、普段使いをしている人も多いようです。
rs30は、さすがに最近ほとんど見かけませんが、ディープリムのホイールに興味がある方は、rs31やrs330も検討してみてください。
ディープリムホイールは横風に注意
ディープリムホイールは、リムハイトが高いので、覆い隠されている部分が多くなります。
室内で行われるトラック競技などでは、ホイール全面を覆い隠すディスクホイールが使われます。
ホイールはスポークが空気抵抗を受けやすいので、それを覆い隠してしまうことで、抵抗の軽減させるのが目的です。
しかし、ディスクホイールは横風に弱いので、屋外で風にあおられるようなシチュエーションでは使用できません。
これに似た発想で作られているのが、ディープリムホイールです。
そのため、横風に弱い性格は同じで、特に低速で走っているときの横風が危険です。
実際に知人から、車道でトラックなどが横を通ると、風圧であおられて危険な思いをしたという話を、何回か聞いたことがあります。
そのため、通勤などで街乗りがメインという用途には、向かないことになります。
シマノのrs30やrs31は重量があって漕ぎ出しも重いので、ストップ&ゴーが多い街中は、余計に不向きと言えるでしょう。
シマノrs30のメリット
rs30のような、リムハイトがあるホイールは低速では、あまり大きな効果を発揮できませんが、高速になるとメリットが出ます。
リムがノーマルハイトに比べて重いので、回転を上げるにも下げるにも、大きな力を擁します。
これはどういうことかというと、スピードを上げるまでに時間が掛かるが、下がるにも時間が掛かるということです。
すなわち、スピードの維持ができるということになります。
ホビーレーサ-の間では時速30km/hをどのくらい維持できるかで、熟練してきたかどうかを判断するなどと言われています。
元々のロードバイクのコンセプトを考えれば、いかに高速で長く走れるかが重要であり、その意味では貢献できるホイールと言えます。
しかも、シマノのrs30や31は2000gにも迫る重いホイールですから、脚にしっかりと負荷を掛けて走ることができます。
ロードレースのトレーニングなどの目的では最適といえ、レースで軽いホイールに履き替えれば、より軽くペダルを回せるようになっているでしょう。
シマノrs30は特殊なホイール
シマノrs30のようなホイールは、アルミリムで作ると重量がかさむので、軽量第一主義的なロードバイク用ホイ-ルでは選択肢が少ないです。
グレードが上がり、カーボンリムになれば珍しくありませんが、アルミリムでは各メーカーせいぜい1種類といったところです。
現在のシマノのラインナップを見てもrs30の後継である、rs330があるだけです。
他の有名メーカーでも思いつくところでは、カンパニョーロの「シロッコ」、フルクラムの「レーシング・クアトロ」くらいです。
いずれも、ホイール自体のレベルがrs330より少し上ですが、コンセプトは同じようなものです。
やはり、アルミディープリムの位置付けは、ディープリムの入門編で、カーボンリムへのステップアップのためのトレーンニングホイールと見られています。
ただし、カーボンのディープリムホイールは驚くほど高額です。
20万円は下らないと思ってもらって良いですし、30万円以上もざらにあります。
レースでの決戦ホイールとして用いられることが多いようですから、私のようなホビーライダーには、少しハードルが高すぎる高嶺の花的存在ですね。
後継ホイールrs330の凄さ
前項で、ディープリムホイールがレースでの「決戦ホイール」の用途があると言いました。
その意味では、rs30の後継であるrs330は、シマノの上位モデルのレース仕様ホイールにしか採用されていないテクノロジーが踏襲されています。
「オプトバルテクノロジー」というスポークの組み方が、レース仕様の技術です。
左右のスポークテンションを均一にするために、リアのスポークをフリー側2:1反フリー側の本数で組む方法です。
これによって動力の伝達が高まりやすくなりますし、テンションが均一になる分「振れ」が出にくくなります。
また、rs330はハブにも工夫が凝らされており、スポークの受けになるフランジが大口径化されています。
これによって、ホイールの横剛性が強くなり、パワーが逃げてしまうのを防いでくれています。
このことからも分かるように、重量があるのでレースに使用はできなくても、レースに向けたトレーニングには、改めて最適であると言っておきます。
rs30のようなホイールの用途
最後に、シマノrs30のような(セミ)ディープリムホイールに向く、用途や人を整理しておきましょう。
まず、将来ロードレースを目指す人には、トレーニング用として最適です。
価格を話していませんでしたが、rs330は現在2万円前後ですので、ガンガン乗って乗り潰すくらいの感覚で良いかもしれません。
脚力に自信のある人は、巡航速度のアップに貢献してくれるホイールです。
適度に重量があるので、さらに筋力がアップするのではないでしょうか。
ヒルクライム向きではないので、平地がメインという人に向くホイールです。
あとは、見た目重視という場合も、ディープリムは良いですね。
これは冗談ではなく、モチベーションを上げるのもロードバイク乗りには大切なことなので、見た目は重要なんですね。
さらには、とりあえずシマノのホイールを体験してみたいという人も、コスパの高さは折り紙つきなのでおすすめできます。
まとめてみますと、レース志向が強い人に向くホイールです。
普段使いでは、車道を走る際に少し危険性もあるので、慎重に検討した方が良いです。
ディープリムの第一歩に
今回はシマノのrs30のような、ディープリムホイールを取り上げました。
中々選択肢に入って来にくいホイールだとは思いますが、後継のrs330はディープリム入門編としては、コスパの高いものです。
用途がやや限られてしまいますが、レースを目指す人は積極的に考えてみてください。