老舗自転車メーカーが多いイタリアの中でも、安定した実績を持っているのが「チネリ」です。
フラッグシップモデルの「スーパーコルサ」を始めとして、フレームビルダーとしての評価が非常に高いメーカーです。
また、ドロップハンドルにおいても多くのラインナップを揃え、インプレなどが多く寄せられており、人気の高さがうかがえます。
今回は、そんなチネリのカーボンハンドル「ネオモルフェ」について、ご紹介していきます。
チネリのネオモルフェとは
イタリアのチネリは何と言っても、かつて自転車の教科書とまで言われた、スチールフレーム「スーパーコルサ」で名を馳せているメーカーです。
販売開始以来、40年以上が経過した現在もなお、その美しいホリゾンタルスタイルは健在です。
ロードバイクのフレームビルダーとしての評価が高い一方で、ハンドルやステムでも高い評価を受けているメーカーです。
特にドロップハンドルは多くの種類を揃えていますが、中でも人気が高いのはカーボンハンドルの「ネオモルフェ」です。
ネオモルフェの大きな特徴は、カーボンを活かした造形の複雑さでしょう。
チネリの他のハンドルは、オーソドックスな形のものが多いのですが、とにかくネオモルフェは一線を画しています。
後ほど詳しくお話しますが、ぜひ写真で確認してみていただきたいと思います。
以前は価格が5万円ほどの時代もありましたが、現在は定価で3万円前後に落ち着いています。
ただ、ネオモルフェについてのインプレを確認すると多くの方が指摘しているのが、シマノのSTIレバーとの相性で、クランプ位置に若干問題があるようです。
チネリ・ネオモルフェの形状におけるインプレ
では、チネリのカーボンハンドル「ネオモルフェ」のスペックをご紹介します。
ハンドル幅400mm、420mm、440mmの3サイズで、公表重量は230gです。
ドロップ141mm、リーチ83mmは標準的な数値ですが、ドロップハンドルに慣れていない方には、少し前傾姿勢がきつく感じられるかもしれません。
このハンドルの売りは、どこを握っても掌にフィットするようになっていることです。
上ハンドルは完全なフラット形状ではなく、微妙に丸みを帯びているので、ソフトな握り心地になっています。
しかも、ケーブル類を内蔵できるので、ワイヤーに手が触れる煩わしさがありません。
また、インプレで評価が高いのは、下ハンの形状です。
ドロップの高さは標準的ですが、先端部分がかなり鋭角に立ち上がっているので、非常に持ちやすくなっています。
さらに、ブラケット部分は付け根をくぼませているので、3本の指でブレーキレバーを握れるように工夫されています。
チネリ・ネオモルフェとSTIレバーの相性に関するインプレ
ネオモルフェは持ち手が豊富で、手のひらとのフィット感重視で作られていることが分かります。
チネリの技術が結集されているのが伝わってきますので、カーボンハンドルの好き嫌いは別として、良いハンドルであることは疑いようがないでしょう。
ここで気になるのは、先ほども少し触れました、シマノのSTIレバーとの相性です。
ネオモルフェに限らずカーボンハンドルには、STIレバーのクランプ推奨位置が決められています。
滑り止め加工なのか、ザラザラしているところが、メーカーの推奨位置です。
ただネオモルフェの場合、その位置にSTIレバーを付けると、ブラケットがかなり前下がりになるとのインプレが多いのです。
これは、ひと口にSTIと言っても、銘柄によって形が違うので、全てに当てはまるとは言えません。
しかし、確認できたところで、デュラエースと105は、前下がりになってしまうようです。
前下がりになると、前傾姿勢がきつくなりますし、手首にも大きな負担が掛かります。
そうなると、まずやることは、ブラケットの位置を変えずにハンドルをしゃくりあげて(前上がり)みるです。
すると、今度は下ハンが下を向き過ぎますし、上の水平部分が後ろ下がりになって、圧迫感が出てきます。
そのため、クランプ位置を変えなければならないということになるわけです。
インプレを参考に~STIレバーは少し上に取り付けるのが良い
なぜ、ネオモルフェの推奨位置にSTIレバーを取り付けると、前下がりポジションになってしまうのか?
これは、ネオモルフェは同じイタリアのカンパニョーロの「エルゴパワー(一体型シフトの名称)」に合わせているらしいのです。
チネリはフレームセットのみの販売が多く、完成車のラインナップが少ないです。
そのため、ネオモルフェとSTIレバーの組み合わせは、私が確認した上ではありませんでした。
だからといって、ネオモルフェにSTIレバーの想定をしていないということはあり得ないと思うのですが、少し残念に感じます。
インプレでは、そのまま使用している人もいますし、ブラケットの位置を変えている人もいます。
前下がりになってしまうので、少し上にずらして取り付けます。
しかしそうなると、せっかく指3本でブレーキレバーを引けるようにくぼみを作って、確保しているクリアランスが狭くなります。
ですから、あまり下ハンを握らないという人は、ブラケットポジションを意識して、調整すると良いかもしれません。
ネオモルフェはバーテープを巻くのが難しい
チネリ・ネオモルフェのインプレをご紹介していますが、バーテープが巻きにくいということも、よく指摘されています。
複雑な形状で、至る所に手のひらにフィットさせるような凸凹がありますので、無理もないことです。
衝撃吸収に長けたカーボンハンドルですし、せっかくの「cinelli」のロゴが隠れてしまうのもどうかということで、巻かなくても良いという意見もあります。
巻くか巻かないかは個人の好き嫌いもありますが、巻くなら隙間なくきれいに巻きたいものです。
それが難しいのが、ネオモルフェの形状というわけですが、私もネオモルフェではありませんが、バーテープ巻きは苦手なほうです。
私は器用な友人にやってもらったことがありますが、ショップでやってもらうのもひとつの方法です。
特に、ネオモルフェは巻き終わりの位置がショルダー部の横で、まだ曲がっている途中なので、エンド処理が難しいです。
ネオモルフェの使用感に関するインプレ
チネリ・ネオモルフェの使用感ですが、インプレの評価を見ていると、握りやすさに対する評価が圧倒的です。
普段の街中やヒルクライムなどでは、トップの水平部分を握ることが多くなりますが、ここが単なる偏平じゃないのが、ネオモルフェの優れているところです。
ケーブル内蔵部分がカバーのようになっているので、そこにはバーテープが巻けません。
そのため、この部分が握りやすい形状になっているのは、地味にありがたいことなのです。
ただ、そうなると、汗で滑る危険性は考慮しておいたほうが良さそうです。
あとは、カーボンなので衝撃吸収という話になりますが、これはハンドルだけの問題でもありません。
ハンドルに伝わってくる振動は、フレームやフロントフォークでも結構変わるものです。
ネオモルフェの実際のインプレでも、そこまでの劇的な変化を伝えるものは、見付かりませんでした。
ハンドルはホイールやタイヤと違って、カーボンのメリットがストレートに体感できるようなパーツではないですからね。
長い目で見て、握り心地やハンドリングの軽さが、全体の走りに貢献していると思ってもらえれば良いです。
ネオモルフェは握り心地が最高!
今回は、チネリのネオモルフェを取り上げてみました。
全体的に握り心地の評価が高く、下ハンドルの扱いの良さは特筆ものです。
STIレバーとの相性は若干気になりますが、致命的ではないと判断させていただきます。
バーテープも少し巻きにくいので、ショップに色々と調整をお願いするのが良いかもしれません。