シマノのデュラエースが11速化されて、2017年で5年が経過しようとしています。
シマノでは、この間にアルテグラや105も11速化を果たし、ロードバイク用のホイールは、ほとんどが11速化されました。
しかし、クロスバイクなどは、まだ11速化されていないホイールもあり、スプロケットを装着するときにスペーサーが必要なものもあります。
そこで今回は、スプロケットのスペーサーについてお話します。
シマノ用のフリーボディにはシマノ製のスプロケットが必要
スプロケットとは、リアギアの歯車のことで、後輪のハブに取り付けられます。
厳密には、ハブのフリーボディの外側に装着されます。
ここに1枚ずつ歯車を重ねた見た目が、ラジカセにカセットテープを入れた姿に似ていることから「カセットスプロケット」とも呼ばれています。
よく耳にするリア11速というのは、このスプロケットが11枚フリーボディに装着されているという意味です。
また、市販の完組みホイールにシマノ用/カンパ用と記載されているのは、スプロケットの形がメーカーによって違うためです。
スプロケットの形に合わせて、フリーボディが作られているので、シマノのスプロケットはシマノ用のフリーボディに、取り付けなければなりません。
先述したように、現在の市販のロードバイク用ホイールは、ほとんどが11速対応です。
言い換えれば、ハブのフリーボディにスプロケットを11枚取り付けられるだけの幅があるということです。
11枚取り付けられるようにできているので、もちろん10枚(速)、9枚、8枚にも対応できます。
その際は、隙間を埋めるスペーサーを入れることになります。
11速用ホイールでシマノのスペーサーが必要になるケース
カセットスプロケットの幅は11速がもっとも広く、順に8速・9速、10速の順に狭くなります。
整理すると11速>8・9速>10速となり、8速と9速は同じ幅です。
そのため、11速のフリーボディが一番幅が広いので、違うスピードのスプロケットを使用する場合は、スペーサーが必要になります。
一番幅の狭い10速用のスプロケットは、11速に比べて2.85mm幅が狭くなっています。
そこで、装着時に2.85mmのスペーサーが必要になります。
1枚で2.85mmのものではなく、通常は1.85mmと1.0mmの2枚を使用します。
ただし、シマノの【CS-4600 Tiagra(ティアグラ)10速】は、9速のスプロケットと同じ厚みがあるので、1.0mmのみで良いようです。
ホイールやスプロケットの新品を買えば、大方は付属してきますが、別途購入しても、シマノ純正品は2枚で800円前後です。
スペーサーはフリーボディの根元にくるように、スプロケットよりも先に取り付けてください。
8・9速は11速と比べ1.0mm狭いので、1.0mmのスペーサー1枚でOKです。
10速「対応」ホイールに10速「用」スプロケットでもスペーサーが必要
シマノのスプロケットを中心に話を進めていますが、このスペーサーが大切だと感じるのは、装着し忘れたときかもしれません。
装着忘れが起こりやすいのは、8・9・10速対応のフリーボディの場合です。
これは、8・9速用のスプロケットの幅に対応しているので、8・9速用ではスペーサーは要りません。
しかし、10速用スプロケットは先述したように、8・9速用よりもさらに1mm幅が狭いので、スペーサーが必要なのです。
私は経験がないのですが、実際にスペーサーを入れ忘れた方の感想を聞くと、結構悲惨なことになっています。
変速が上手くいかないというレベルではなく、まともにホイールが回らないようです。
また、実際に写真を見ると、フリーボディに無数の傷がついてしまっていました。
この事例の報告が本当に多いので、十分注意してください。
10速専用のフリーボディには10速用のスプロケットしか付けられない
レア感がかなり強いですが、10速専用のフリーボディがシマノ用で稀に見られます。
そこまではっきりと、情報がつかめているわけではありませんが、現在は8・9速用のフリーボディが10速スプロケットに対応しているので、生産はしていないはずですが…
10速のフリーボディは一番幅が狭いので、10速用のスプロケットしか入りません。
ですから、仮にコンポを11速化しようとするとホイールの交換になるので、10速専用のホイールが余っているケースがあると聞きます。
ロードバイクとクロスバイクの2台持ちという方も少なくないと思います。
そのため、ロードバイクの10速専用ホイールをクロスバイクに移植と考えたくなりますが、「エンド幅」が合わなければ大手術です。
もし興味があるようでしたら、「エンド幅」で検索すると、カスタマイズ方法が色々と出てきますので、確認してみてください。
いずれにしても、10速専用ホイールはスペーサーも使えないので、10速仕様にしかならないことを覚えておいてください。
シマノの11速のスプロケットを使用するには11速用のホイールが必要
上記のように「大は小を兼ねる」的な発想で、11速用のフリーボディであれば、スペーサーで他のスピードに対処できます。
一方、11速に対応していないホイールは、フリーボディがスプロケ11枚分の幅を持たないということになります。
そのため、11速のスプロケットは取り付けられません。
シマノからロードバイク用の11速コンポが誕生してから、よく話題になるカスタマイズが、8・9・10速からの11速化です。
このときに、大きな壁として立ちはだかるのが、ホイールの問題です。
完成車付属のホイールが11速に対応していなければ、まずホイールから交換することになります。
これは個人的な見解ですが、ピンきりとは言え、せっかく11速化を図るならホイールは、ある程度のレベルを確保したいです。
そうなると、5万円前後の費用が必要です。
そしてここから、コンポの換装が始まるわけですから、シマノのコンポで11速の中では最低グレードの105で組んだとしても、3~5万円程度になります。
ホイールと合わせれば、8~10万円のカスタマイズとなります。
もうちょっと頑張ってあと4~5万円で、コスパの高いメーカーであれば、105のフルコンポの完成車が買えてしまう価格になります。
今乗っているバイクのフレームに、よほどの思い入れがあれば別ですが、完成車をおすすめしたくなる予算のラインですね。
クロスバイクの11速化を考えるならロードバイクの購入も視野に
では、クロスバイクではどうでしょうか?
クロスバイクもロードバイクが進んでおり、リア11速の機種も増えてきました。
しかし、エントリーモデルやMTB寄りのスペックを持つ機種であると、11速は少なくなります。
そうなれば、ホイールも当然ながら、8・9・10速対応のものが付属していることになるので、11速化はホイールの交換ということになります。
ただ、個人的にクロスバイクのリアギアは、9速くらいで良いのではと思っています。
MTB寄りのスペックを持つ機種はフロントが3速のものも多く、もしリアを11速化すれば、3×11=33ものギア比が生まれることになります。
ロードバイクほど、繊細なギア比を必要とするとは思えないクロスバイクでは、宝の持ち腐れになりかねません。
スプロケットの交換だけならスペーサー1枚で事足りるわけですし、9・10速のスプロケットはシマノ製でも、そこまで高価ではありません。
しかも、11速化をするためにホイールを交換したくても、クロスバイクはロードバイクほどホイールにバリエーションがありません。
端的に言ってしまえば、クロスバイクにはホイール交換の概念が薄いためです。
だからと言って、ロードバイク用のホイールを使用できるかというと、先述したように「エンド幅」の問題で話はそう簡単ではないのです。
そのため、11速化を考えるなら、ロードバイクの購入も併用して考えてみてください。
スプロケットにスペーサーを入れることで可能性が広がる
多段化されている今のスポーツ自転車には、互換性で色々と難しい問題があります。
その点で、フリーボディとスプロケットの関係は、スペーサーのおかげで互換性が、かなりしっかりと保たれています。
ホイールが11速対応の場合は、スペーサーの入れ忘れも多いと聞きますので、十分注意していただきたいと思います。