折り畳み自転車では、世界一のメーカーと言っても過言ではないのが、アメリカの「ダホン」です。
今回取り上げるのは、安価で手が出しやすいモデルの【ルート】ですが、安価だけあって、突っ込みたくなるような部分もあります。
その中で、インプレやレビューを見ていると、どうもbbについて酷評が目立ちます。
そこで今回は、ルートのbbは本当に厳しい評価をされて、しかるべきなのか、確認してみましょう。
ダホンは折り畳み自転車のパイオニア
ダホンは、1982年に第一号の製品が発売されている、比較的歴史の浅い自転車メーカーです。
とは言え、世界で初めて折り畳み自転車を開発したメーカーですから、歴史を一から作り上げてきたわけです。
220もの特許を取得しており、市場に流通している折り畳み自転車の98%が、どこかにひとつ以上、ダホンの特許を使用していると言われています。
折り畳みのパイオニアということで、OEMも積極的に手掛けており、他のブランドも実はダホン製だったということも多いです。
ダホンの現在のラインナップは、タイヤサイズ14・16・20インチです。
ドロップハンドルにシマノ105の組み合わせのロードバイク風モデルから、シングルスピード車まで、グレードごとに実に幅広く揃っています。
今回取り上げるルートは、20インチ車のローエンドモデルで、お世辞にもスペックのグレードは高くありません。
bb(ボトムブラケット)の評判が悪いという話ですが、スペック表に記載がないので、自社製品かもしれません。
ダホン・ルートのbbの評判が悪いのは致し方ない
折り畳み自転車の見た目は、ミニベロと言えば分かりやすいと思います。
ダホンの最大タイヤサイズは20インチですから、ミニベロ同様の小径車という位置付けです。
見た目の特徴は車高が非常に低く作られており、そのぶん、ハンドルポストとシートポストが異様に長く突出している感じになります。
最大のメリットは、当然ですが折り畳めるので、どこにでも持ち運ぶことができる点です。
ロードバイクなどのスポーツ自転車も、ホイールにクイックリリース機能があるので、持ち運びができないわけではありません。
しかし、折り畳み式は慣れてしまえば、ほんの数分で持ち運び体制完了です。
特にダホンは、多くの自転車に採用されている、3ステップであっという間に折り畳めるシステムの、開発メーカーでもあります。
その他のメリットはミニベロに順ずる感じで、小回りが利く、漕ぎ出しが軽いので、ストップ&ゴーに強い点などです。
逆に、デメリットとしては、衝撃吸収性に欠け、スピードの維持も難しいので長距離走行には向きません。
あとは、折り畳み機構にコストが掛かるので、それなりのスペックで揃えると割高になります。
また、スペックを軽視すると、今度はどこのメーカーだか分からないようなパーツが並んでしまいます。
今回のルートのbb問題も、そういったことが原因になっているようです。
ダホン・ルートのbbの評価は?
では、ここで、インプレを参考に、ダホン・ルートのbbの評判を確認してみましょう。
先程も触れましたが、どこ製のbbを使用しているかは不明です。
複数のインプレやレビューを確認したところ、軸長はロードバイク用の適正とされている110mm前後です。
安価な自転車にありがちな、カップアンドコーン式の四角軸のタイプです。
ここまでは、特に何も気にすることはないのですが、やはり品質の問題を指摘している人が多く、、調整が上手くいかないと聞きます。
ベアリングは通常、遊びが多すぎて緩んでしまっている「ガタ」があっては、まずいとされます。
しかし、あまりきつく締めこんでしまうと、今度は「ゴリゴリ」した感じになります。
質の高いベアリングであれば、この玉当たり調整が上手くいきますが、ルートのbbはそうはいかないみたいです。
ガタを取ろうとすると、ゴリゴリ感だけしっかり残ってしまうので、結局ペダルの踏み心地はあきらめるしかなくなります。
そのため、気にする人はすぐに交換しているようですし、クランクセットと一緒に交換となることも多いと聞きます。
ダホン・ルートに限らず折り畳み自転車は高価!
ここで確認をしておきますが、【ルート】はダホンの折り畳み自転車の中では、一番下のグレードです。
なるべく安価に、ダホンの折り畳み自転車を、体験してもらうという意味も込められています。
そのため、どうしてもコストカットしなければならない部分もあります。
しかし、リアギアのスプロケットとディレイラーはシマノ製ですから、5万円を切っている自転車としては努力の跡も見られます。
折り畳み自転車が割高だということは、ダホンのハイエンドモデル【Mu Elite(ミュー エリート)】を見ると、よく分かります。
ミューエリートは、ドロップハンドルにロードバイクのパーツを組み合わせたタイプです。
アルミフレーム、シマノ・105のコンポ、クランクセットにFSAのゴッサマー、このスペックで29万円とは個人的に驚きのひと言です。
コスパの高いメーカーのロードなら、カーボンフレームに、コンポが1クラス上のアルテグラのフルコンポも望めるような価格ですからね。
いかに種類が違うとは言っても、このコスパの差は歴然です。
それを考えればルートは、エントリーモデルとしては、十分なスペックとも言えます。
bbが気に入らなければ、3000円も出せば高性能のものが手に入ります。
そのため、そこだけにこだわって、辛口の評価をしてはいけないと、個人的に反省しております。
ダホン・ルートにおすすめのbb
辛口の評価は取り下げますが、やはり、bbは交換を考えたいレベルなのは、間違いなさそうです。
スピードが速くなるわけではありませんが、クランクを回しやすくなり、不快感が消える点では、交換する効果は高いはずです。
bbは「自転車の心臓部」なんて表現することもあるので、それほどこだわりがない人でも、交換を視野に入れた方が良いでしょう。
ダホン・ルートで、bbを交換している人のインプレを参考にすると、使用しているのは、ねじ切りタイプでシェル幅68mm規格のbbです。
ロードバイクの主流となっている、直接圧入タイプ(プレスフィット)と、間違えないように注意してください。
では、おすすめをご紹介します。
【TANGE SEIKI(タンゲセイキ):TECHNOGLID LN-7922 BB】
参考価格:¥3,700
非常に評価が高く、しかも何人かはルートに換装しているので、適合に間違いのないものです。
購入時には軸長を選ぶことになりますが、現行のルートは113mmなので、同じ長さのものを選んでください。
ペダルが軽くなって、良く回るようになったという評価が多いので、価値ある換装になるでしょう。
【shimano(シマノ):ボトムブラケット BB-UN55】
参考価格:¥2,000
評価はタンゲ製と同じような感じで、性能は間違いなしだと思います。
軸長のサイズが豊富なので、自分の自転車に合わせやすくなっています。
bbの交換はショップに頼むのが良い!
ダホン・ルートのbb交換を考えている方もいると思います。
しかし、ルートのbbは取り外しに少々手間が掛かります。
専用の工具はありますが、ほぼ1回しか使わないものですから、購入するのもはばかられます。
手元にパイプレンチやモンキーレンチがあれば代用できますが、それでも相当きつく締めこまれていますので、覚悟が必要です。
また、bbを外すにはクランクも外さなくてはいけなくなるので、その手間も考えるとお店に頼んでしまっても良いと思います。
工具を全く持ってない状況なら、工具を購入する代金で交換できます。(ショップによりますが)
交換後の調整も一部有料の店舗もありますが、自分で行う手間を考えれば、決して高価なものではないです。
もちろん、これから自転車が本格的な趣味になりそうだという人は、工具を一式購入して、自分で換装してみてください。
bbの交換は労力は掛かりますが、それほど難しい技術は要りませんからね。
ダホン・ルートのbbは交換すべきもの
今回は、ダホン・ルートのbbについて考えてみました。
ダホンに限らず、折り畳み自転車はコストカットが避けられない状況で、その犠牲になっているのがbbという印象でした。
bbは高性能のものでも、それほど高価ではないので、真っ先に交換を考えるパーツなんですね。
とりわけ、ペダル回りの軽さは劇的な変化を感じるはずです。