自転車に乗っていて、どうも変速が上手くいかないとか、ギアが入らない経験をしたことがありませんか?
スポーツ自転車の変速機系統はトラブルが多いのですが、しっかりしたメンテナンスができていれば防げることもあります。
そこで今回はギアが入らなかったり、上手く変速できないときの対処法や、変速機系統のメンテナンスについて、お話したいと思います。
自転車のギアの仕組み
まず、簡単に自転車の変速機系統の話からしておきましょう。
自転車の変速はクランクに付いているチェーンリングがフロントギア、後輪のハブに付いているカセットスプロケットがリアギアになります。
歯車になっているギアにチェーンが掛かっていて、それをシフトレバーを操作した回数に応じて、ディレイラーが各段に掛け替えていくことで変速を行っています。
ディレイラーというのは、直訳すると「脱線させる」という意味になります。
電車の脱線とは全く関係ありませんが、良いイメージがある言葉ではありませんね。
また、スポーツ自転車の後ろ側のリアディレイラーは、チェーンの張り具合を調整する役目もあります。
これだけ連動性があるので、どこかの部分で不具合があると、ギアが入らないやスムーズに変速できないなどのトラブルが起きてしまいます。
自転車のギアが入らないのはレバーの操作ミスかも
スポーツ自転車に慣れない内は、シフトレバーの使い方でも、ギアが入らないということが起こります。
特にフロントギアは2速か3速しかなく、変速をするときに稼働する範囲が大きくなるので、しっかりとシフトレバーを押し込んであげないと、チェーンが移動しません。
これは故障でもなんでもないので、覚えておけば対処できます。
また、シマノのSTIレバーには2速用と3速用があります。
3速用のシフトレバーで2速のチェーンリンクを操作する場合には、真ん中のギアがないので、アウターとインナーの行き来には、2回レバーを操作しなければなりません。
そのため、1回の操作だけではチェーンは真ん中のギアに入ろうとするので、結果、ギアが入らない状態になります。
また、フロントのみですが、チェーンとディレイラーがこすれて音が鳴るのを防ぐ、トリム機能があります。
これは、変速しない程度にレバーを押し込むことで、ディレイラーを少しだけ動かすというものです。
慣れないうちは、トリムが分からずレバーを押し込んだのに変速できないと思ってしまいますので、覚えておきましょう。
自転車のギアが入らない根本的な原因とは?
スポーツ自転車のギアが入らない場合は、ほとんどはディレイラーが原因だと思いますので、調整が必要になります。
まずチェーンも含めて、きれいに掃除して、チェーンには定期的に、注油も必要です。
最初の内はフロントギアをアウターに動かすことがあまりないので、フロントディレイラーよりはリアディレイラーの不具合が出てくるはずです。
また、フロントの調整はシビアで、慣れないうちは、とても難しいです。
なので、最初は自転車屋さんに依頼するか、詳しい知人に調整してもらいながら覚えていくのが良いと思います。
リアディレイラーの調整は、要領さえ覚えれば短時間でできます。
まず、ディレイラーはワイヤーを伸び縮みさせることでチェーンを掛け替える仕組みになっているので、ワイヤーが緩んでいては、変速がスムーズにいきません。
一番歯数の小さいトップギアに変速したときがワイヤーの最も縮んでいる状態なので、この状態でワイヤーが張っていれば、他のギアで緩むことはありません。
ちなみに、スポーツ自転車の変速はクランクを回しているときにしかできませんので、調整もクランクを回しながら行うことになります。
調整はインナーワイヤーを固定しているボルトを緩め、トップギアにした状態で張りつめるくらいに引っ張り、その部分で固定すればOKです。
自転車のギアが入らないときのリアディレイラーの調整①
自転車のギアが入らない状態は、リアディレイラーが原因であることが多いという話ですが、ワイヤーを張った状態で全てのギアが変速可能なら、調整は終了です。
しかし、トップや一番のローギアに入らなかったりすることは、ワイヤーの調整では対処できません。
ディレイラーは、後輪のカセットスプロケットの幅の分だけ動かなければなりません。
購入当初は自転車屋さんが調整してくれていますが、徐々にズレてくるので変速が上手くいかなくなってきます。
そのため、リアディレイラーの位置を調整しなければいけません。
調整するためのボルトは2つ付いていて、下側がローギアのアジャスト用で上がトップギア用です。
まずはローギアの調整は、ハブに一番近い歯数の多いギアに変速してから行います。
このとき、届いていなければ、リアディレイラーをもっとホイール側に動かす必要があります。
下のボルトを『時計回り』に回すと、ディレイラーは外に動くので、変速できるまで調整してください。
トップ側の調整は歯数の一番少ないギアに合わせて、変速できないようであれば、今度はディレイラーをトップ側に引き寄せなければいけません。
その場合は、上のボルトを『反時計回り』に回して調整してください。
自転車のギアが入らないときのリアディレイラーの調整②
アジャストボルトは大小の極端なギアが入らない場合に有効な対処法でしたが、ワイヤー固定ボルトのすぐ先にあるつまみで、変速をスムーズにさせる微調整が可能です。
トップギアから、1速落としたところで調整します。
この状態でクランクを回しながら変速するのですが、レバーをカチッと言わない程度に遊びを残して、押し込んだときにシフトダウンされずに、「カリカリカリ」と音が鳴っていれば理想的な状態です。
カチッと言う前に変速されてしまったり、カリカリ音がしないときは、つまみを回して微調整してください。
これでリアディレイラーの調整は、ひと通り終了です。
それでも上手くいかない場合は、ディレイラーハンガーが曲がってしまっていることが考えられます。
フレームのリアエンドとディレイラーを繋ぐ部品ですが、ちょっとした衝撃ですぐに曲がりますし、少しの曲がりでも変速に影響を及ぼします。
ディレイラーハンガーはフレームによって形状が違いますし、曲がってるかどうかの判断も目視だけでは難しいので、メンテナンスをしてもダメな場合は、自転車を買ったお店に持ち込むのが一番です。
自転車の変速機系統のグレードを上げる
ここまでは、スポーツ自転車のギアが入らない場合の対処方法をご紹介してきました。
変速をもっとスムーズにしたいとなれば、コンポのレベルを上げるのも効果的です。
このときに例えば、リア8・9速のものを11速にするなんてカスタマイズになると、ドライブトレインとシフターは全交換ですので、完成車を購入した方が良かったなんてことになります。
そのため、同じスピードで揃えることが前提ですが、名前も聞いたことがないようなメーカーのコンポからシマノ製に換えただけでも、十分に効果があります。
全てを交換するとコストが大幅に掛かりますので、例えば、カセットとリアディレイラーだけグレードを上げてみるなどしましょう。
仮に、リア11速の105などを使用しているロードバイクなら、アルテグラやデュラエースのカセットとディレイラーにするだけで、劇的な変化を実感できます。
10速の場合でも、シマノのロード用コンポは現行ティアグラのみですが、リア11速の105・アルテグラ・デュラエースもほんの数年前までは10速でしたので、まだその時代のパーツが販売されています。
そのため、現在ティアグラのコンポを搭載している車種は、部分的に上位グレードのパーツへの換装が可能なのです。
さすがに製造はしていないので、在庫限りにはなるでしょうが、今ならまだ十分間に合います。
スムーズな変速はメンテナンス次第です
今回は自転車のギアをテーマに、様々なトラブルの対処法やメンテナンスをご紹介しました。
変速機系統は、自転車のトラブルメーカーなんて言われるほど厄介な部分ではありますが、しっかりと調整してあげれば、頻繁に故障するようなことはありません。
また、コンポのグレードを上げることも、部分的な交換であれば驚くほど費用が掛かる訳ではないので、おすすめです。