ラレーCRFは、クラシックなスチールパイプフレームを使った美しいデザインのロードバイクです。
一方で、その外観とは裏腹に、高いスペックとリーズナブルな価格がバランスしたロードバイクとして、各種インプレでも評判の高い1台です。
レーパン&ジャージではなく、ツイードのジャケットでも乗りこなせる、イギリス由来の名品「ラレーCRF」についてご紹介していきます!
ラレーCRFはこんなバイク
イギリス製品と言えば、何を思い出されるでしょうか。
バーバリーのコート、それともジャガーやロールズロイス、ミニといった自動車でしょうか。
いずれにしても、イギリス製品は、最新の素材や技術を使いながら、伝統を感じさせるクラシックな雰囲気が魅力的です。
1888年にイギリスで創業された自転車メーカー「ラレー」の自転車も同様に、最新型ながらクラシックな雰囲気を漂わせているのが特徴です。
そのラレーが発売しているロードバイクが「CR(Carlton)」シリーズです。
「Carlton」はもともと、イギリスの競争用自転車を手がけるショップでしたが、ラレーに吸収されてブランド名として残ったもので、いわばミニ・クーパーのようなもの、と言えば車好きの方ならわかっていただけるでしょう。
CRシリーズには、ベーシックなCRAから、ハイスペックのCRT1までラインナップされていますが、中でも手頃な価格、そして、高性能で専門誌でのインプレ評価の高いのがCRFです。
コンポーネントには、SHIMANO 105をフルスペックで採用しており、本格的な競技からツーリングまで、幅広く対応できる車種として人気を集めています。
最新型なのにクラシックなラレーCRFの魅力
ラレーCRFで、最も特徴的なのは、細く美しいフレームです。
このフレームの素材には、同じ価格帯のロードバイク完成車で主流となっているアルミではなく、クラシックなスチールを採用しています。
単なるスチールではなく、わずかにモリブデン等を加えることで、強度と硬度を確保しています。
アルミはスチールに比べて軽いのが特徴ですが、スチールに比べると強度が劣るため、どうしてもフレーム径を太くする必要があるので、CRFのような細いフレームにはできません。
もちろん、単にスチールを使っただけで、CRFのクラシックなフレームを実現できるわけではありません。
CRFは、理想的なフレーム素材と言われる「レイノルズ631チューブ」を採用、丁寧な溶接や、繊細な細部の仕上げが美しい水平基調のフレームは、インプレで高い評価を得ているのも納得です。
ちょっとシブいマルーンや、グリーンと言ったフレームカラーが選べるのも魅力的ですね。
街中や長距離走行では?インプレでチェック
それでは、ラレーCRFのパフォーマンスについて、各種のインプレからピックアップしてみましょう。
CRFのインプレで多く見られたのは、なんと「安心する」という意見でした。
ロードバイクに多いシャープなハンドリングは、峠の下りなどでは、エキサイティングで楽しいのですが、街中では気を使ってしまい、疲れの原因となってしまいます。
CRFは、しなやかな乗り心地に加え、低中速域での直進安定性が良いため、街中でも落ち着いた走りが楽しめるところが、安心すると言う感想につながっているでしょう。
さらに、ラレーCRFは、長距離ツアラーとしての資質も持ち合わせているのです。
本格的なロードバイクでありながら、マッドガード(泥よけ)や、リアバッグサポーターまで、オプションとして用意されているのです。
また、このフレームデザインですから、フロントバッグを装着しても、全く違和感がありません。
荷物を背負って長時間自転車で走るのは、思っている以上に疲労がたまるものですが、CRFの積載性と快適性があれば、長距離走行の最高のパートナーとなるでしょう。
カーボン、アルミロードとCRFの違いをインプレでチェック
ラレーCRFに近い価格帯(20万円以下)の、主流のロードバイクはアルミフレームですが、最近ではカーボンフレームを採用する車種も増えてきました。
結論から言えば、これからレースに出たいと考えているのなら、CRFではなく、アルミフレームのロードバイクをおすすめします。
アルミフレームのメリットは、「軽さ」と「ダイレクトな加速感」です。
その反面で、乗り心地が良くないことや、路面からの衝撃も強く、非常に疲れやすいなどの意見が、各種のインプレからうかがえます。
さらに、この価格帯でアルミフレームを採用したモデルは、レース志向が強いものが多いです。
そのため、ポジションも前傾だったり、ハンドリングがクイックだったり、長距離レースを走るために作られたモデルも多いです。
反対に、カーボンフレームであれば、アルミよりも衝撃の吸収性は高いです。
しかし、この価格帯のカーボンフレームの自転車は、コンポーネントや、ホイールのグレードがダウンしてしまい、カーボンの特性を生かしきれない場合もあります。
このことからCRFと同等クラスの値段で、レースを考えている方なら、アルミフレームを検討するのも良いでしょう。
インプレで大好評の乗り心地の秘密は?
ラレーCRFの快適な乗り心地は、専門誌のインプレでも絶賛されていますが、それを実現しているのは、スチールフレームとカーボンフォークの組み合わせです。
CRFのフレームのフレームは、一見、クラシックでアルミやカーボンの戦闘的なルックスやスペックに比べると、やや時代遅れに感じる方もいるかもしれません。
しかし、スチールには特有のしなりがあり、地面からの衝撃を吸収して、ダイレクトに身体に伝えないというメリットがあるのです。
また、フロントフォークに採用されたカーボンも、軽さだけではなく、衝撃吸収性に優れているため、こちらもスチールフレーム同様、疲れにくさに直結します。
このように、CRFは、重量面ではアルミやカーボンに劣りますが、柔らかな乗り心地に加え、コンポーネントにも、SHIMANO105がフルスペックで装備されているため、操作性も快適です。
レースへの出場は考えないが、ひたすら長距離を走りたい、というのであれば良いチョイスとなるでしょう。
ラレーCRFとCRNの違いは?
ラレーのCR(カールトン)シリーズには、CRFの下にCRNと言うモデルがありますが、4万円以上もの価格差があり、CRFを検討している中には、気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まず、価格面で大きな差がつきがちなコンポーネントですが、CRFはシマノ105系、CRNはその下のティアグラ系と、順当なグレードダウンが図られています。
ただ、このコンポーネントだけでは、価格差は1万円以下のため、それ以外は、フレームが価格差の主な要因となっています。
CRNのフレームで、他車でも使用されているのは、工業規格4130という汎用規格の、クロモリパイプフレームです。
同じく、ラレーのクロスバイクなどにも使用されている、安価でかつ信頼性の高いパイプです。
一方、CRFに使用されているのは、イギリス製レイノルズ社ブランドの、131というモデルです。
このパイプは、マンガンが含有されたマンガンモリブデンという素材で、クロモリよりも強度が強いことから、フレームの肉厚を薄くし、軽量化することが可能です。
このフレームの違いや、フロントフォークがカーボンとなることなどで、重量を比較すると、約500gほどCRFの方が軽く仕上がっています。
たかが500gと思う方もいるかもしれませんが、ロードバイクの世界では「100gの軽量化にかかるのは1万円」と言われていることからすれば、すでに、価格差以上の軽量化が、CRFではなされていることになります。
また、フレームの素材の違いについては、ロードバイク初心者には分かりにくい部分もありますが、コンポーネントの105とティアグラでは、初心者でもわかるほど操作感が違います。
さらに、500gの軽量化と、インプレでも評価の高いレイノルズ131フレームがついているのであれば、CRFの方がコスパが良いと言えるのではないでしょうか。
最新のロードバイクに引けをとらないラレーCRF
実は、ラレー社は幾多の企業買収を経た後、自転車の製造は行っておらず、現在は商標権のみを管理している会社となっています。
日本では、老舗メーカーのアラヤが商標権を保有し、ラレージャパンとして、独自に自転車を開発、販売しています。
このあたりも、BMWに買収されてブランド名だけ残ったミニと同じく、イギリス車らしいと言えるのかもしれません。
ラレーCRFもミニと同じく、クラシックな雰囲気を残しながら、中身はモダナイズされ、最新のマシンにも引けをとらない性能を誇るロードバイクです。
レーパン、ジャージでガンガン走るだけではなく、ツイードのジャケットを着て、街中を優雅に走っても似合ってしまうところが、ラレーCRFの最大の魅力ではないでしょうか。