自転車のカセットスプロケットは段数によって厚みが違います。
11速がもっとも厚く、中くらいが8速や9速で、10速の厚みが一番少ないです。
そのように厚みが異なることから、それに対応するようにホイールには11速用や10速用があります。
厚いスプロケットに対応した11速用ホイールには、11速より薄いスプロケットを装着する場合はスペーサーが必要になります。
そして、スペーサーは間違ったものを使うと危険で、正確なものを使わなければならないものなのです。
スペーサーは重要!スプロケットのオーバーホールで破損の危険性も
ロードバイクは11速化が進んでいますが、まだまだ10速も多いです。
11速のスプロケットは厚く、9速や8速のスプロケットは中くらいで、10速のスプロケットは薄いというように厚みが異なっているので、ホイールについているハブの長さは本来異なっているはずです。
しかし、たいていの場合は10速に必要なハブの長さ以上を持つホイールにスペーサーを入れることで10速のスプロケットを装着していることが多く見られます。
つまり、10速のスプロケットなのに10速用ホイール以外を利用していることも多いのです。
そのような場合で、オーバーホールするときに注意が必要になります。
外すときはスペーサーの存在に気づけても、それが大事なパーツとは知らずに組み立ててしまうことがあるからです。
スペーサーを省いて組み立てた場合は、ハブが長いですから、スプロケットとホイールに隙間ができてグラグラしてしまいます。
そこでしっかり締め付けられていないのかと思ってトルクをかけてしまうと、ネジが限界まで締まっていることもあり、ネジ穴をナメる結果になってしまいます。
つまり、スペーサーを省くことで破損する危険性があるということです。
そうなるとパーツを再購入しなければならなくなるので、スプロケットをオーバーホールするときはスペーサーにも十分気をつけてください。
11速用ホイールなら9速化も10速化もスペーサーを挟むだけ
11速用ホイールならハブに十分な長さがあるので、10速にしたり8速や9速にしたりすることが可能です。
長さはスペーサーを入れて調整できるので、きっちりとスプロケットを装着することができます。
しかし、ここで注意点があります。
スペーサーには2つ種類があって、1.00mmのスペーサーと1.85mmのスペーサーがあるのです。
厚みが足りないとスプロケットがグラグラしてしまう危険性があり、厚みが多すぎるとスプロケットを固定することかできません。
どのスペーサーを用意するべきかは、スプロケットの厚みを比べれば分かります。
もっとも厚い11速のスプロケットと、もっとも薄い10速のスプロケットでは、その差は2.85mmとなります。
つまり、1.00mmのスペーサーと1.85mmのスペーサーの両方が必要になります。
その2つを合わせればちょうど2.85mmになることが分かるでしょう。
そして、11速のスプロケットと、8速や9速のスプロケットを比べると1.85mmとなります。
つまり、1.85mmのスペーサーだけで8速や9速のスプロケットを装着できるようになります。
そのように10速のスプロケットと8速や9速のスプロケットで、必要なスペーサーが異なるのでよく注意してください。
8速や9速用のホイールや10速用ホイールの拡張性
11速用ホイールであれば、スペーサーを使うことで8速や9速のスプロケットや10速のスプロケットを装着することができるとお伝えしました。
その理由は、11速用ホイールはもっとも厚い11速のスプロケットに対応するために、もっとも長いハブを持っていたからです。
それと同様に中くらいの長さを持っている8速や9速用のホイールなら、もっとも薄い10速のスプロケットを装着することができます。
8速や9速のスプロケットと10速のスプロケットを比較するとその差は1.00mmなので、1.00mmのスペーサーを使うことで8速や9速用のホイールに10速のスプロケットを装着できます。
つまり、8速や9速用ホイールなら10速化が可能なのです。
そして、10速用ホイールは、ハブが短く、危険性なくハブを伸ばす方法はないことから、他の段数のスプロケットを装着することができません。
つまり、10速ホイールは10速のスプロケット専用であり、拡張性がないホイールなのです。
マウンテンバイクの11速化ではスポークとチェーンの接触の危険がある
ロードバイクでは11速と10速でスプロケットの厚みが異なるので、ホイールを11速に合わせたものにしたり、スペーサーを入れたりしなければなりませんでした。
しかし、マウンテンバイクのスプロケットにはそのような必要はありません。
マウンテンバイクではスペーサーなしに10速のパーツに11速のスプロケットをつけることができます。
しかし、推奨されないことがほとんどです。
それというのも10速用パーツに11速のスプロケットを使ってしまうと、スプロケットとスポークの距離が近くなることから、スポークとチェーンが接触してしまうことがあるからです。
スポークとチェーンが接触したまま走行すればスポークやチェーンも傷つけることになるので、双方のパーツを破損させる危険性があります。
そのため、マウンテンバイクで10速から11速に変更する場合は、ロー側にしてスポークとチェーンが接触しないかよく確認してください。
それでも11速のロー側の歯数によっては、スポークとチェーンが接触しないこともあります。
ロー側が40Tもあれば歯車が大きくなり、スポークから離れてくれるので、スポークとチェーンが接触することはないと思います。
スペーサーを間違える危険性もある!一部のスプロケットは要注意
ロードバイクでは、11速用ホイールなら1.00mmと1.85mmのスペーサーを入れることで10速に変更できるわけですが、実はスペーサーが少なくても済む場合があります。
スプロケットが、CS6600ジュニアカセット、もしくはCS4600、そのいずれかで10速化する場合は1.85mmだけで十分です。
その2つだけは10速のスプロケットであるにもかかわらず、8速や9速のスプロケットと同じ厚みなのです。
つまりは、11速用ホイールに10速スプロケットをつける場合は、基本的には2.85mmをつけなければならないわけですが、例外が2つあるということなのです。
それから省けるのは1.00mmのスペーサーであることに注意してください。
1.85mmを省いて、1.00mmのスペーサーだけを使った場合でも装着できてしまいます。
そして、スペーサーを間違えているので変速に難が現れます。
トップ側だけ上手く変速できないとか変速するときにチャッチャッとチェーンが擦れる音がするようになるのです。
そうなると段数が1段減るばかりかチェーンやスプロケットを削って破損する危険性が出てきます。
1.00mmと1.85mmの差は1mmにも及びませんが、確実に影響がある違いなので装着を間違えないようにしてください。
安易な多段化は危険。気をつけるべきはホイールやスペーサーだけじゃない
8速や9速用のホイールを使っている人は10速化したいと思っている人もいるでしょう。
もしくはホイールを交換して11速化したいと思っているかもしれません。
しかし、安易に多段化を考えるのは危険です。
スペーサーの利用などで好きなスブロケットを装着できるのですが、用意しなければならないパーツはスプロケットだけではなく、少し改造して手をつけられなくなることがあるからです。
スプロケット、クランク、シフター、リアディレイラー、チェーン、ケーブル、そのようにコンポーネント全体を変更するくらいの交換をしないと段数を変更できないのです。
段数を変更にはそれに対応したシフターやディレイラーを用意しなければなりませんし、必要な長さのケーブルがないといけませんし、チェーンの太さに関しても段数が多くなることで細くしなければなりません。
そのように段数変更の際のスペーサーの問題は、些細なものだったのです。
また、専用工具も必要になることから、専用工具を所持していない場合は工具の購入に割と多くの出費が必要になります。
そのようなことを考えていくと、多段化にはある程度の心構えが必要だと言えるでしょう。
しかし、多段化の作業は楽しいものになるでしょうし、自分のメンテナンスの腕も上がるので、やる気があるのならぜひ多段化を行ってみましょう。
スプロケットのスペーサーは知られざる大切なパーツ
自転車でスペーサーと言えばコラムスペーサーかもしれません。
コラムスペーサーはハンドルの高さを変えるためのスペーサーであり、乗車姿勢に大きく関係しているので、セッティングしている人も少なくないと思います。
そのため、スプロケットのスペーサーは自転車を自分で組む経験をした人でないと知らないパーツだと思います。
しかしながら大切なパーツです。
それに慣れだけでは間違えやすいパーツでもあるので、スプロケットのスペーサーはしっかりとした正しい知識をつけて扱っていきましょう。