メリダのロードバイクとシマノ・105の関係性を考える

シマノのロードバイク用コンポのミドルグレードで、幅広く完成車に採用されているのが「105」です。

2018年には品番5800番台から7000番にモデルチェンジされ、ディスクブレーキ仕様が加わるなど、さらに進化を遂げています。

メリダのロードバイクにも相当数採用されており、信頼のおけるコンポです。

今回はそんなシマノ・105をピックアップし、メリダのロードバイクとの関係性なども確認していきます。

シマノのロードバイク用コンポの中での「105」の位置付け

シマノのロードバイク用コンポは7種類ありますが、最低グレード扱いのターニーは完成車ベースで搭載している機種はほとんど無いので、実質6種類となります。

リアの変速数が上がるに連れてグレードが上がっていき、重量が軽くなり、価格が上がっていくという図式です。

リア8速の「クラリス」、リア9速の「ソラ」は、10万円前後のエントリーグレードに搭載されることが多く、クロスバイクにも目立ちます。

シマノはコンポのメインメーカーなので、エントリーグレードとしてもサードパーティ製のもとは比べものにならないくらい高性能で、必要十分なコンポです。

次に、リア10速の「ティアグラ」ですが、アルミでは10万円台前半、カーボンなら10万円台後半の完成車に搭載されます。

そして、リアが11速が「105」「アルテグラ」「デュラエース」となります。

特にデュラエースはホビーライダーでは憧れと言ってよいほど飛び抜けたグレードで、別格名になります。

そのため、最も多いミドルグレード付近の完成車は、アルテグラか105を搭載する車種が多くなります。

中でも105は上手く構成すれば10万円台前半の完成車にも搭載できるので、守備範囲が広く重宝されている存在です。

メリダの2018年モデルのロードバイクも、全体の1/3以上が105をメインとしています。

105のクランクのレベル

前項でお伝えしたシマノのロードバイク用コンポですが、中でも105は大きな分岐点になっています。

105からリアの変速段数が11速になることがもちろん大きいのですが、その他にも下のグレードのコンポとは、多くの点においてレベルの差が実感できます。

だからこそ、前項でもメリダのロードバイクを例にしてお伝えしたように、多くの完成車が105を採用するわけですね。

まずクランクですが、105からは「ホロ―テックⅡ」というクランクアームを中空にする技術が採用されています。

アームの中が空洞になっていることにより軽量化が図れ、同時にねじれやたわみが少なくなるので剛性の高さも確保できます。

これによって、ペダルを回す力にロスが発生せず、確実に動力が車輪に伝わる仕組みになっています。

105は2018年にモデルチェンジを迎えましたが、筆者はクランクに付属するアウターチェーンリングの中空化である「ホローグライド」の導入を期待しましたが、残念ながら採用されませんでした。

デュラエースとアルテグラには採用されており、インナーからアウターへのギアチェンジがスムーズになる技術です。

そのため、変速性能では上位モデルに一歩劣りますが、それ以外は引けを取りません。

105のブレーキは下のグレードとは明らかに一線を画す

前項に引き続きシマノ・105の特徴で、続いてはブレーキです。

ブレーキは105以下のグレードのものに対して、「105に交換」というアドバイスをところどころで目にしますし、筆者も同意します。

ロードバイクのキャリパーブレーキの性能を決めるのは、本体のアームの剛性とブレーキシューの質です。

特に大切なのはアームの剛性で、ワイヤーに引かれた際にたわみやしなりがあると制動距離が長くなりますし、ブレーキシューが車輪にしっかりと当たりませんので制動力が落ちます。

ただでさえスピードコントロールが主目的とされるロードバイクのキャリパーブレーキは制動力が弱めなので、ブレーキの剛性は非常に重要です。

そこがクリアできているのが105のブレーキです。

アームの動きを実際に見ると分かりますが、「カチッ、カチッ」と1回1回正確にダイレクトに動いています。

ただし、前項でお伝えしたクランクとブレーキは、完成車のメインコンポが105だとしても、105以外のものが採用されることが多い部分です。

次項では、メリダのロードバイクを参考にその実態をご紹介します。

メリダのロードバイクとシマノ・105

前項の最後にお話ししたことは、コストカットやコストダウンとも言われるものです。

完成車の価格をなるべく安価に抑えるために、一部分をメインコンポよりグレードを落としたパーツにします。

同じメーカーでグレードを落とすこともあれば、他メーカーのものにすることもあります。

その対象になりがちなのがクランクとブレーキで、特にシマノでは105とアルテグラがメインコンポになるとその傾向が顕著になります。

メリダのロードバイク【スクルトゥーラ4000】を例にご説明します。

スクルトゥーラはメリダの主要ロードバイクで、平地も山もスプリントもこなすオールラウンダーのレースバイクです。

4000はカーボンフレームの最廉価モデルで、税抜価格では20万円を切ります。

この4000がメインコンポが105で、クランクとブレーキがコストダウンの対象という典型的な機種です。

クランクはメリダと同じ台湾に本拠を置くパーツメーカー「FSA」製の「ゴッサマー」、ブレーキはシマノですが、どのコンポにも属さないノングレード品です。

クランクはメーカーが違うので何とも言えないところですし、ゴッサマーはファンも多いクランクですが、105よりも優れているという評価は少ないです。

また、ブレーキは触れ込みでは105とティアグラの中間のグレードとなっていますが、筆者個人が経験した感覚では剛性がかなり低めで、下のグレードに近い印象です。

ただし、クランクとブレーキのコストダウンというのは本当に事例が多く、この4000はまだ幾分か良心的な方です。

メリダのロードバイク「スクルトゥーラ」における4000と5000の比較

前項でお話ししたメリダのロードバイク「スクルトゥーラ4000」ですが、一つ上のグレードである「5000」と比較すると「良心的」という意味がお分かり頂けるかもしれません。

なお、4000と5000のフレームは同じものなので、グレードの差はパーツの構成の違いだけです。

5000はメインコンポがアルテグラですが、4000と同じ様にクランクとブレーキがコストダウンされています。

クランクはシマノのノングレード品「RS500」で、これも105とティアグラの中間グレードと言われています。

RS500はシマノ製ですが中空加工はされていませんので剛性が低いですし、変速も感覚的なものですが、少しもっさりします。

そして、ブレーキは前項でお話しした4000と同じものが採用されています。

したがって、5000はメインコンポをアルテグラとしていますが、アルテグラグレードのパーツは前後のディレイラーとSTIレバーのみです。

これらは変速を司るパーツなので効果がないとは言いませんが、肝心のクランクがコストダウン品ではその効果も半減というところです。

その点から4000を見直せば、まだコストダウンが最小限にとどめられていることが分かります。

しかも、5000は4000よりも約4万円高くなりますので、4000はその差額でクランクとブレーキを交換すれば、5000と同等かそれ以上の性能が得られる可能性もあります。

シマノ・105搭載メリダのおすすめロードバイク

前項ではメリダのスクルトゥーラ「4000」と「5000」を比較してみましたが、ここでは105のフルコンポであるロードバイクをご紹介します。

【SCULTURA(スクルトゥーラ)700】

参考価格:¥183,492

スクルトゥーラのアルミフレーム車では、一番上のグレードになります。

メリダ独自の「ハイドロフォーミング製法」で、カーボン並みの性能と美しい造形のフレームが売りです。

そして、混じりけなし105のフルコンポで、クランクに至ってはメリダのロードバイクで唯一105が搭載されている機種です。

他社製のものと比較すれば字面のコスパは普通ですが、フレームを高評価するならば実質のコスパは相当高いと判断できます。

アルミフレームのロードバイクは、プロレースでの使用が無くなってから減退していましたが、近年はアメリカを中心に盛り返しを見せています。

メリダは元々アルミ成形に関しては高い技術を持っていましたので、この流れにもしっかりと乗り、スクルトゥーラ700のようなレベルの高いバイクを送り出しています。

シマノ・105搭載車はロードバイク熟練者になるための第一歩

今回は、シマノのロードバイク用コンポ「105」をご紹介して、メリダのロードバイクとの関係性なども確認しました。

105は下のグレードとは明らかに一線を画し、シマノのコンポの分岐点的な存在です。

また、メリダには多くの105をメインコンポとしたロードバイクがあります。

パーツのコストダウンに注意は必要ですが、本文でもお伝えしたコスパの高い機種もあるので、ぜひ見極めて頂きたいと思います。