アルテグラdi2は11速化を最大限に活かすコンポなのか?

アルテグラ6800に電動コンポバージョンのdi2が登場したのは2014年でした。

当初は単なるギミックと思われていた電動コンポですが、年々その評価は高まってきています。

電動化アルテグラdi2の実力と魅力、そしてコンポが11速化されることのメリットについてもあわせてご紹介していきます。

11速化された電動コンポ、アルテグラdi2

シマノのコンポーネントとしてはデュラエースに次ぐ位置を占めるアルテグラは非常に人気があります。

本格的なレース仕様のデュラエースを別格とすれば、市民ライダーにとっては事実上のトップグレードのコンポーネントと言ってもよいでしょう。

もちろん価格も高価ですが、デュラエースに比べれば、ほぼ半額です。
このことを考えればコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。

また、ペダルを踏み込んだ時の剛性感、繊細でしなやかなディレイラーの操作感など、ティアグラ以下のコンポーネントとの差は歴然です。

そのため、アマチュアレーサーでも、アルテグラでバイクを組んでいる方が多いのもうなづけるところです。

2017年6月には新型のアルテグラR8000が発表されましたが、電動バージョンのdi2については2017年11月発売予定となっています。

ですので、2013年に11速化された「アルテグラ6800」の翌年リリースされた2014年モデルがdi2の現行バージョンとなります。(2017年8月現在)

アルテグラのモデルチェンジ!di2は機械式と同時発表

アルテグラの11速化についてご紹介しましたが、次にモデルチェンジについて書いていきます。

シマノのコンポーネントモデルチェンジには一定の法則があります。

過去の事例を見てみると、デュラエースの翌年にアルテグラがモデルチェンジ、その翌年に105がモデルチェンジ、さらにその翌年にティアグラがモデルチェンジ、そしてまたデュラエースがモデルチェンジしています。

このように交互にモデルチェンジしていますので、一つのコンポーネントのモデルチェンジは4年ごとにシーズンを迎えると考えられます。

そして、デュラエースのために開発された新しい技術を、普及してるモデルに拡大していくという流れになっています。

さらにデュラエースとアルテグラについては、ニューモデルがリリースされた翌年に電動バージョンが発売されるというスケジュールになっていました。

この法則どおり、アルテグラdi2のニューモデルについては2018年になると予想されていましたが、実際にはdi2もアルテグラR8000と2017年に同時発表(発売は11月)となったことは前に述べたとおりです。

今回はdi2と同時にディスクブレーキ仕様も発表されたことも話題となっています。

アルテグラdi2の電動コンポとはどんな仕組みなのか

11速化された電動コンポのアルテグラdi2ですが、どういった仕組みなのでしょうか。

アルテグラ6800では、シフターとディレイラーが、ワイヤーでつながっています。
シフターを指で操作すると、その力がワイヤーを通して伝わり、ディレイラーを動かします。

ですが、アルテグラdi2ではワイヤーがなく、シフターとディレイラーが物理的にはつながっていません。

シフターは、言わばスイッチで、ディレイラーにはその命令が電気信号となって伝わり、内蔵されたモーターの力によってディレイラーが変速していきます。

これは、航空機の世界ではすでに当たり前となった「フライ・バイ・ワイヤ」という考え方に近いものです。

これによって、かつては太い油圧ケーブルを通して操舵されていた翼の可動部が、すべて電気信号を通じてモーターで駆動されるようになり、操縦桿の操作が格段に容易になりました。

最近では自動車にもこの考え方が応用され、新型日産スカイラインのように、ハンドルとフロントタイヤが物理的につながっていないという車まで市販されています。

電動化されたアルテグラdi2のメリットは

電動化されたアルテグラdi2のメリットは、以下の通りさまざまです。

●取り回しが自由

di2には、ワイヤーのかわりに電気信号を伝えるためのケーブルが必要になります。

しかし、ワイヤーよりも、ディレイラーの動きに影響が出るにくいです。
電気信号を伝えるためだけのケーブルなので、取り回しが自由になります。

●ワイヤーのトラブルがない

ワイヤーを使用しないため、ワイヤーが伸びたり切断したりといったトラブルとは無縁になります。

●調整が不要

一度ディレイラーをセッティングすれば物理的に狂う要素がないので、基本的には調整自体が不要になります。

電動化というと機械にあまり詳しくない方は身構えてしまうかもしれませんが、むしろそういった方にすすめたくなるほどのイージーさです。

●小型化

シフターはいわば変速のためのスイッチとなるので小型化することが可能です。

●操作性の向上

なにより大きいのは、操作性の向上です。

もともとアルテグラは非常に機械的な精度が高く、シフトチェンジの切れ味には定評がありました。

それでも電動化によるスムーズさには、かなわないという意見が多くみられます。
特に長距離を走る場合、疲労軽減の効果は大きく、電動化に伴う価格以上という声がありました。

電動化をすることによって、このようなメリットが得られます。

また、シマノ以外にも、カンパニョーロのEPSや、スラムのeTapとコンポーネントメーカー大手三社が電動式をラインナップしています。

そのため、今後はさらに電動式を使用するライダーが増えそうです。

また、電動化によって11速化の効果も高まります。

11速化のメリット!電動化で効果的に

前述しましたが、アルテグラ6800から11速化されました。
ギアの枚数が増えると、どんなメリットがあるのでしょうか。

最大のメリットは、走りのシーンに応じてより適切なギアを選ぶことができることです。

路面のアップダウンに応じてライダーの限られた力を効率よく使うためには、常に道路状況に合わせた最適なギアを選択する必要があるのです。

ロードバイクでは徐々に11速がスタンダードとなってきており、シマノのコンポーネントでも105までは11速化が進んできました。

これまでの流れからみれば、ティアグラまで2019年に予定されているモデルチェンジでは、11速化が進むかもしれません。

ギアの枚数が増えて、より細かい変速が可能になるほど変速操作を行うことも増えますが、電動化されたアルテグラdi2であればノンストレスで変速できるのが強みとなるでしょう。

10速仕様のアルテグラdi2は11速化可能?

愛車に10速仕様のアルテグラ6770di2を組んでいる方で、リアを6800のものに変更して11速化できないか考えている人もいらっしゃるでしょう。

実際に11速化するためにはリアメカやスプロケットに加えて、フロントディレイラーやホイール、さらにはチェーンも、10速と11速で幅が異なるので11速仕様のものに変更する必要があります。

リアメカとスプロケットだけ変えれば、という意見もありましたが、フロントディレイラーの動きにも問題が出る場合があり、シマノもフロントとリア両方を交換するようアナウンスしています。

これまで使ってきたコンポーネントも、それなりに使い込んできたものであれば、少なからずダメージもあるはずです。

一部分だけ新しいパーツを組み込むと、古いパーツがその負荷に耐えられず、トラブルのもとになったということはよくある話です。

ですから、できる限りコンポーネントは、一気に交換してしまった方が安全なのは確かです。

アルテグラR8000の電動バージョンが発表されたことにより、従来の6800コンポーネントの価格が下がっているという情報もあるので、単品での交換が良いのかどうか慎重に検討したいところです。

アルテグラdi2は11速化でストレスフリー

いかがでしたでしょうか。

アルテグラはdi2の採用で11速化の恩恵を今まで以上に受けられるようになったのではないでしょうか。

機械式のアルテグラの精緻な変速フィーリングはこれ以上ないほどのものと言えますし、当初は私も電動化については懐疑的でした。

電動化により実現した、di2のストレスのないシフトフィーリングを一度でも味わってしまうと、未来は確実に電動化に向かって進んでいくのだろうと思わずにはいられません。