ロードバイクのクランクとフレームを繋ぐBB。
ボトムブラケットとも呼ばれていますが、「キャノンデール」から登場したBB30によってパーツメーカーに混乱を呼ぶことになります。
その中で、カンパニョーロやスラム、FSA等が他社と差別化を測るために、いち早くBB対応クランクを発表しました。
今回は、そんな混乱を起こしたBB30や、カンパニョーロ等のメーカーが発表したBB30対応クランクについてお話ししていきます。
カンパニョーロなどが賛同したBB30。そもそもBBって何?
自転車はフレームという骨組みの部分に様々なパーツを取り付ける事で走る事ができています。
その一つがBBです。
BB、正式にはボトムブラケットと言いますが、BBはフレームとクランクをつなぐパーツになります。
役割としては、小さな力でペダルを漕いでも、スムーズにクランクが回転するように助けてくれるものです。
また、クランク軸に異物や水が混入しないように防ぐ役目もあります。
このように、BBは重要な役割を持っており、走行性能や乗り心地に大きく関わってくるパーツになります。
BB自体はそれほど高いわけではなく、自身で交換することも可能ですし、ショップなどでも比較的安価で行えます。
しかし、近年のBBの情報はBB30の登場のため、互換性に曖昧な部分がありますので、購入の際は気をつけるようにしましょう。
BBをあまり気にしたことの無い方は、これを機にBBにも注目して見てはいかがでしょうか?
次はBB30をいち早く取り入れたメーカーの1つ、カンパニョーロについてお話ししていきます。
カンパニョーロってどんなメーカー?
カンパニョーロは1933年に創業した、イタリアが誇る自転車部品専業メーカーです。
日本のシマノ、アメリカのスラムと並ぶ、3大コンポーネントの1つとしても有名です。
高級感のある見た目と、感性に訴えるじゃじゃ馬的な感覚を追求したスタイルに日本でも多くのファンがいます。
コンポーネントは他社メーカーと比べ、全体的に軽くなっており、シフターにも定評があります。
なかでも、車輪の着脱がレバー1つでできるクイックリリース、通称「クイック」を開発したことでも有名です。
1つだけ難点なのが、全体的にみて値段が高額となっており、シマノ等と比較すると約倍以上の値段設定となっています。
しかし、お洒落な見た目とその性能から人気が高く、年齢層も幅広く愛されているメーカーです。
また、今回話題に上がっているBB30対応クランクを取り入れたメーカーの1つとなります。
では、BB30とは一体どんな物なのでしょうか?
パーツメーカーに混乱を起こしたBB30
BB30が登場する以前、BBは1種類しかありませんでした。
フレーム側にねじ切りがあり、そこにBBをはめてクランクを取り付けるという方式です。
BBの中にあるクランクシャフトという軸の部分が、以前は24mmしか無く、フレーム側もねじ切りの方式のみしかありませんでした。
そこで、突如としてアメリカのキャノンデールがクランクシャフトの太さを30mmにしたBB30という物を開発したのです。
キャノンデールとしては、シャフト軸を太くする事で剛性を高められる事と、丸いものは太くすれば薄くなるし軽くできるという事からBB30を編み出したとされています。
また、従来のねじ切り方式から、直接差し込み圧入する規格に変更したため、コストのかかるねじ切りを作らなくて良くなったとフレームメーカーからの賛同もあった事から、一気に自転車業界に波及していきました。
しかし、ここで1つ問題が起きます。
カンパニョーロ等のメーカーが次々とBB30を取り入れていく中、自転車界で主力とも言えるパーツメーカー「シマノ」が賛同しなかったのです。
BB30対応クランクを取り入れなかったシマノとは?
シマノは1921年に創業された日本のパーツメーカーで、その人気は日本だけでは無く世界からも愛されています。
耐久性に優れ、値段も安価な事からシマノを長年愛用してる方は多いと思います。
1973年に発表したデュラエースは、今では当たり前となっている、変速機やブレーキ、ハブ等をセットで販売する「コンポーネント」という概念を作った事でも有名です。
また、1984年にはシマノインデックスシステムが話題を呼び、ギアの変速を迅速にする「ハイパーグライドシステム」を開発しました。
さらには、変速レバーとブレーキレバーを一体化したデュアルコントロールレバーでハンドルから手を離さずに変速できる「シマノトータルインテグレーション」、ブレーキレバーの近くに取り付けるシフトレバー「コマンドシフター」等でも注目を集めました。
そんなシマノですが、カンパニョーロ等のメーカーがBB30対応クランクを取り入れていく中、なぜキャノンデールが発表したBB30には賛同しなかったのでしょうか。
ここからは、シマノがbb30に賛同しなかった理由についてご説明していきます。
シマノが賛同したBB90は24mmクランク対応?
シマノがBB30に賛同しなかった事により、ライバル会社が次々とBB30に飛びつきました。
カンパニョーロやスラム、FSAなどがそうですね。
他と差別化を図るためにBB30対応の製品を世に送り出します。
しかし、BB30には欠点とも言える大きな問題がありました。
それが「異音問題」です。
クランクを回すと「カラカラ」「パキパキ」と異音がするというクレームが殺到したのです。
これにより、自転車界隈では「BB30=異音」という事が広まっていきました。
その他にもゴミや水が入りやすい事や、圧入の際のフレームの寿命を縮める事等が問題になりました。
この頃から、BBの混迷とも言える時代に突入します。
そんな問題が起きている最中、ようやくシマノが動き出します。
アメリカの自転車メーカーである「トレック」が開発した「BB90」は、以前の24mmのままBBの幅を90mmに広げることで剛性を高めた物になります。
異音を抑えることにも成功しており、アダプターなどを使用しなくても24mmクランクに使える事から、シマノはこれに賛同することになります。
カンパニョーロが参入したBB30対応クランク
それでは、カンパニョーロ等が世に送り出したBB30対応クランクは結局良かったのでしょうか。
BB30対応クランクは、もちろん従来の24mmのフレームには入りません。
しかし、30mmのフレームに24mmクランクを入れる事は可能になります。
ここで注意する点が、フレーム側の穴にアダプターが必要という事です。
このアダプターがなければBB30規格のフレームに、24mm軸のクランクを入れる事はできませんので気をつけるようにしましょう。
BB30にも、直接フレームに圧入できる事や軽量化できる点、剛性を高められるというメリットはあります。
しかし、異音がする事、ゴミや水等が入りやすい、圧入のダメージからフレームの寿命が縮む等、問題は解消されていません。
実際にはその後にBB90が登場した影響で、BB30のデメリットが目立つ結果になったとも言えます。
これらの事から、BB30を使用する際はフレームとクランクが対応しているかどうか注意する必要があります。
クランクを選ぶ際には慎重に!
今回は、混乱を起こしたBB30やBB30対応クランク、シマノやカンパニョーロについてお伝えしました。
結局の所、剛性が高められるとは言っても、乗り手側に感じられる所と言えば「異音」という認識が強いと思います。
BB30の利点と言えば、製造側がねじ切りを作る際の手間やコストを削減できるという所です。
しかし、乗り手側からすると、24mmの方が手間がかからなくて良いと言う意見が多く、さらには異音や圧入のダメージなどを考えると、BB30が混乱を招いたと言われてもしょうがないのかもしれませんね。
BBなどを選ぶ際には24mmや30mm、クランクと合うのかを調べながら慎重に選びましょう。