シマノULTEGRAの電動変速「DI2」で一歩先を目指す!

シマノには上位グレードの「DURA-ACE(デュラエース)」と「ULTEGRA(アルテグラ)」に、電動式コンポの「DI2」が用意されています。

DI2がDURA-ACEにしかなかった時代は、プロ専用のような趣でしたが、セカンドグレードULTEGRAに加わったことで、一気にユーザー層が広まったと言われています。

今回はそんなULTEGRAのDI2についてお話しします。

シマノのDI2は「DURA-ACE」と「ULTEGRA」に限られる

電動式コンポは、従来の機械式ではワイヤーで引っ張ったり、開放して行っていた変速を、ディレイラーにモーターを内蔵し、電力で動かして変速を行います。

そのため、シフトレバー、前後のディレイラーの仕様が機械式とは異なり、バッテリーやエレクトリックケーブルなど、電動化する付属品も必要です。

そして、費用の方も機械式変速に比べると、セットで1.5倍ほど高額になりますので、シマノのDI2でも上位グレードのDURA-ACEとULTEGRAに限られるということです。

初期の頃は対応フレームが少なく、バッテリーを直接ボルト止めするなどしていましたが、現在は対応フレームが増え、装備品を内蔵することも可能になってきました。(外装式もあり)

コンポメーカーではシマノの他に、カンパニョーロにもSRAMにも電動コンポがありますので、フレームメーカーを含め広く対応がされてきており、ユーザーさんの導入に対して気持ちのハードルも下がっている傾向にあります。

シマノ・DI2と機械式コンポのシフトレバーにおけるアクションの違い

シマノの電動コンポ「DI2」は「デジタル・インテグレイテッド・インテリジェンス」の略で、直訳すれば「電気的なデータを統合した知能」となります。

システムの名前なので無理に直訳する必要は無いかもしれませんが、シフターから送られた支持を電子信号に変換しディレイラーに送る、そして、ディレイラーが変速をする。

この仕組みを総合して、デジタル・インテグレイテッド・インテリジェンスと呼ぶのかと思います。

機械式の変速はシフトレバーとディレイラーをワイヤーケーブルで繫ぎ、シフトレバーを押し込むことでワイヤーを引っ張ったり、解放したりすることで変速を行っています。

ワイヤーを引っ張るというのは抵抗が大きいので、特に変速に大きな力が掛かるフロントは、レバーも強く押し込む必要があります。

しかし、DI2のエレクトリックケーブルは電子信号を伝達するためのもので、引っ張られたりすることはありません。

そのため、DI2ではレバーを押し込むという感覚は全くなく、スイッチを指先で軽く押すだけで変速することができます。

特にULTEGRAは広くアマチュアユーザーに向けられたコンポですから、こういった簡易的な操作での変速は、非力な女性や手が小さい人にとってこの上なくありがたいことです。

シマノULTEGRA・DI2のメリット①機械式変速との差

シマノのDI2は冒頭でもお話ししたように、ULTEGRAに採用されたことで、ユーザーの幅が大きく拡大しています。

そのことで、だいぶインプレ情報でも有益なものが多く見られるようになっています。

そこでここからは、その中からいくつかの情報をピックアップをして、メリット、デメリットをまとめてみます。

前項でお話ししたレバーアクションも大きなメリットですが、ワイヤーがないというのは、ハンドルの取り回しやディレイラーの調整という面でも、メリットをもたらしてくれるようです。

機械式変速の場合、前後ブレーキとディレイラーのワイヤー計4本を、シフトレバーから取り回す必要があります。

それだけのワイヤーが集中しますと無理に曲げたりすることもあり、変な曲がり方をすると引きが重くなってしまいます。

しかし、DI2のエレクトリックケーブルはいくら曲げても引きには関係ないので、変速に全く影響がありません。

また、機械式変速のワイヤーは引っ張られては戻るを繰り返すので伸びてしまい、定期的にメンテナンスが必要ですし、消耗品のためいずれ交換もしなければなりません。

しかし、DI2は初期設置の段階で調整をすれば、それが狂うことはほぼありません。

また、万が一狂ってしまっても、マニュアルに従ってボタンを数回押すだけで完了しますので、メンテナンス性のよさはかなりのメリットと言えるでしょう。

シマノULTEGRA・DI2のメリット②特別な機能

続いてのメリットは、シマノULTEGRAではDI2にしかない(できない)機能があるということです。

中でも驚きなのは、1つのシフトレバーで前後のディレイラーを同時に操作できる「シンクロナイズド・シフティング」です。

シンクロモードは、フロントディレイラーがリアディレイラーの位置を感知して、自動的に適正なギアに変速するという機能です。

これによって、チェーンとの干渉による音鳴りを防止する「トリム操作」も不要になります。

また、セミシンクロモードではフロントディレイラーを手動で動かした際にスピードの変化が大きくなりすぎないように、リアが自動的に変速を行います。

そして、これらのタイミングやスイッチを長押しした時の多段変速の速さなどは、スマホやパソコンと繋いで自由に設定することができます。

また、DI2にはオプションで、いくつかのスイッチが用意されています。

ギリギリであろうと指さえ届けば変速できるので、基本はシフターでよいのですが、上ハンドルに取り付けられる「サテライトスイッチ」であれば、疲れて上ハンドルで流している時にも楽に変速することができます。

また、下ハンドル付近に取り付けられる「スプリンターシフト」なら、機械式で下ハンドルを握っている際には泣く泣くあきらめていた変速を、スイッチ1つで行うことができます。

ULTEGRA・DI2のデメリット

ここまで、シマノULTEGRA・DI2のメリットをお話ししてきましたが、デメリットもないわけではありません。

電動式ということはバッテリー切れが起こる可能性がゼロではありませんので、変速が不能になることが考えられます。

バッテリー切れが起こると先にフロントが変速できなくなり、固定状態になります。

その後しばらくリアだけは変速できますが、もちろんすぐにできなくなり、最終的にはシングルギア状態になります。

シマノはフル充電の状態で700Km走れるとしていますが、もちろん変速の頻度次第であり、1000Km以上走ったという情報もあります。

バッテリーの残量は電動化のための必須パーツ「ジャンクションA」のインジケータで確認できますが、スマホのように明確に何%などと表示されるわけではありません。

そのため、期間を決めて定期的に充電することが一番確実となります。

また、フレーム内蔵式であれば、モバイルバッテリーからの充電が可能ですので、泊まりも伴うようなロングライドをしたい方は内蔵式がよいでしょう。

ULTEGRA・DI2の価格

これをデメリットと言えるかは価値観の違いにもなりますが、価格が高くなります。

冒頭でも触れましたが、DI2は機械式の約1.5倍になりますので、ULTEGRAであればコンポセット一式で17~18万円になります。

さらにオプションで先ほどご紹介したスイッチなども付ければ、さらに2万円ほど掛かります。

また、既にシマノのリア11速のコンポを装備しているロードバイクであれば、転用可能なクランクやブレーキは据え置けます。

しかし、それでも電動化に12~13万円掛かりますので、デメリットと言えなくもないですね。

ただ、DURA-ACEのDI2となるとコンポセット一式で約35万円、電動化だけでも22~23万円掛かりますので、それに比べればまだULTEGRAの方が現実味があるかとは思います。

しかも、DURA-ACEとULTEGRAには価格差ほどの性能差は感じ取りにくいという評価が多く、ULTEGRAも十分に電動変速を堪能できるレベルにあります。

電動式と機械式を比較するのは酷かもしれない!

今回は、シマノ・ULTEGRAの電動式コンポDI2についてお話をしました。

変速の快適性やメンテナンスのしやすさ、そして多機能であることを考えると、機械式の一歩先を行く優れた機構かと思います。

予算の問題もあるのでおすすめとまでは言えませんが、一考の価値ありとは言えます。