メリダのクロスバイク「GRAN SPEED(グランスピード)」は現モデルで5シーズン目ですが、その礎を築いたのが、2015年デビューの「グランスピード100MD」です。
今となっては珍しくないですが、当時まだクロスバイクにディスクブレーキという組み合わせは少なかったので、画期的な試みが評価されていたと記憶しています。
そこで今回はメリダのグランスピード100MDを振り返りつつ、現在のグランスピードシリーズもご紹介していきます。
メリダ・グランスピード100MDの位置付けは「フラットバーロード」
クロスバイクはMTBとロードバイクの中間的な位置付けで、両者のいいとこ取りという評価になります。
ただ、完全に中間というわけではないので、どちらか寄りにはなります。
メリダではロードバイク由来が「グランスピード」、MTB由来が「CROSSWAY(クロスウェイ)」となり、このラインナップが長く継続しています。
その中で2015年にデビューしたグランスピード100MDは、フラットハンドルのロードバイク「フラットロード」と紹介されていました。
のちほど詳しいスペックを振り返りますが、トップチューブのスローピング度合いなどはロードバイク譲りの形状を思わせます。
冒頭でも触れましたが、グランスピード100MDがグランスピードシリーズの礎となり、それまではMTB由来のクロスウェイシリーズしかなかったところに、新しい風を送り込んだ形です。
なお、MDは「メカニカルディスクブレーキ」の略で、ワイヤーを引いてブレーキパッドを動かす仕組みのディスクブレーキのことです。
メリダ・グランスピード100MDデビュー当時の評価
ここでは、メリダのグランスピード100MDのスペックを振り返って確認します。
フレームはアルミで、この時代から「ハイドロフォーミング」の技術によって、1本のチューブに厚みの違う箇所を設ける「トリプルバテッド」加工が施されています。
メリダは世界でも珍しいマグネシウムフレームの製造なども手掛けてきた歴史があり、金属加工の分野では一歩先を行く存在です。
そのことから、このグランスピード100MDにも惜しみなく技術を投入しているため、当時もアルミ本来のシャキッとした乗り味が評価されていました。
また、ロードバイク由来とはいえ、ヘッドチューブを長く取りリラックスポジションで乗車できるようになっていますし、後ろ三角を大きくして衝撃吸収性も高めていますので、乗り心地の評価も高かったと記憶しています。
また、メリダは表面処理の技術も高く溶接痕が目立たない処理がされていますので、価格の割には高級感もあり、スポーツバイクの入門編として申し分のないものでした。
メリダ・グランスピード100MDのパーツスペックの評価
前項ではメリダ・グランスピード100MDのフレームスペックと、デビュー当時の評価をお伝えしました。
エントリーグレードということもあり、フレームの性能に比べますと、付属パーツには特筆すべきことは少ないです。
しかし、基本的なクロスバイクの仕様であるフロント3速リア8速で、32Cのタイヤが装着されていましたので、街乗りからツーリングまで幅広い用途に使用できるバイクであったと考えられます。
特にこのバイクのハイライトであるディスクブレーキは、従来のリムブレーキに比べ制動力の強さや安定性があり、路面状況を選ばない心強さがあります。
冒頭でもお話ししましたが、当時はまだMTB以外のバイクではディスクブレーキは珍しく、2015年シーズンのメリダのロードバイクにはまだ1機種もありませんでした。
その状況の中でグランスピード100MDに導入されたわけですから、その特別感も十分に伝わってきますし、評価が高かったのも納得です。
参考価格は74,900円(税込)、総重量は11キロ(47サイズ)で、別途ですがスタンドや泥除けも装備できる仕様でした。
メリダ・グランスピード100MDの後継機「グランスピード80-MD」の評価は?
メリダのグランスピード100MDは2017年までラインナップされており、2018年シーズンからは「グランスピード80-MD」がその後継になりました。
グランスピード100MDではアルミ製だったフロントフォークがカーボン製となり、フレームも上位モデルと同じものが採用されています。
そのことで、衝撃吸収性とハンドルの操作性が向上しましたので、上位モデル譲りのハンドリングと乗り心地が高く評価されています。
また、1kg近い軽量化も果たし、走りの変化が実感できるモデルチェンジとなりましたので、このクラスでもスピードが期待できるモデルになりました。
もちろん基本的なギアの仕様もグランスピード100MDから引き継いでいますし、さらにリアギアが11-32Tと軽い方にシフトしましたので、坂が多いようなシーンでも活躍してくれます。
ただし、引き続きメカニカルディスクブレーキなので、上位モデルとはここで機能面の差が付きます。
他のグランスピードシリーズは油圧式ディスクブレーキで、ディスクブレーキの本分は油圧式にありとまで評価されていますので、ここにこだわるなら別の選択肢も考えられます。
ディスクブレーキの本分は油圧式にありの評価の根拠
前項ではメリダのグランスピード100MDの後継機である「グランスピード80-MD」をご紹介しましたが、筆者はどうしてもメカニカルディスクブレーキという点が引っ掛かります。
メカニカルは従来のリムブレーキと仕様は違いますが、ワイヤーを引いてアームを動かすという製動の仕組みは変わりません。
しかし、油圧式は文字通り油圧の力でピストンを押し出すという仕組みのため、ワイヤーがいりません。
これによりブレーキレバーと本体の間に全く抵抗がありませんので、レバーの引きが軽くなり、少しの力で大きな制動力が得られます。
そのため、街角でとっさに急ブレーキを踏むシーンや、急坂の下りなどでも軽いタッチでしっかりと制動してくれます。
また、ブレーキパッドとローターの間隔をパッドの減り具合によって自動的に調整してくれますので、常に制動力が一定に保たれます。
これらの仕様はメカニカルディスクブレーキにはありませんので、やはりディスクブレーキの本分は油圧式にありという評価もうなづけます。
しかも、両者には互換性がなく、メカニカルから油圧式へのカスタムはブレーキシステム一式の交換になります。
その費用はグランスピード80-MDが1台買えてしまうほどになりますので、現実味は薄いですね。
そのため、安定して強い制動力を求める方は、最初から油圧式を装備しているモデルも視野にいれていただきたいと思います。
メリダの油圧式ディスクブレーキ搭載クロスバイク
それでは前項でもお話ししました、メリダのグランスピードシリーズで油圧式ディスクブレーキを搭載してる機種をご紹介します。
(価格は税抜)
【GRAN SPEED 300-D】
参考価格:¥117,900
グランスピード100MDから続く、ハイドロフォーミングで製造されたトリプルバテッドのチューブを使用した、適度な剛性の高さを保ちながら軽量化も図られているフレームです。
そして、このモデルの大きな特徴はフロントが1速固定であることです。
1×11(フロント1速・リア11速)では高い評価を受けているSRAM製をメインコンポとし、油圧ディスクブレーキは本体、レバー共にシマノ製と装備が充実しています。
【GRAN SPEED 200-D】
参考価格:¥94,900
フレームは上記300-Dと同じで、金額の差はコンポなどの装備の若干の差です。
ロードバイク用のコンパクトクランクと、最軽32Tの9速スプロケットの組み合わせは、街乗りだけでなく、本格的なツーリングなどでも重宝してくれます。
【GRAN SPEED 100-D】
参考価格:¥79,900
先ほどお伝えした80-MDとフレームや装備はほぼ同じで、価格は6千円ほど高くなりますが、それがディスクブレーキがメカニカルか油圧式の差と考えられます。
価格の価値感は個人によって違いますが、前項でお伝えしたメリットもありますので、この価格さであれば筆者はこちらをおすすめしたいです。
メリダのクロスバイクは進化している!
メリダのロードバイク由来のクロスバイクの礎になったグランスピード100MDは、ディスクブレーキとの組み合わせという点でも、当時はスペシャルな1台でした。
そして、近年メリダはロードバイクに力を入れていますので、その技術を惜しみなく投入されていることでも、現在の100MDの後継モデルは確実に進化しています。
特に油圧式のディスクブレーキが10万円を切る機種にも投入されているのが特徴的で、かなりお得感がありますのでおすすめになります。