SHIMANOのULTEGRAホイール「WH-6800」および「WH-RS500」は、低価格ながら確かな作りの軽量ホイールです。
これらのホイールは、初めてのグレードアップ用ホイールとして人気が高く、また練習用ホイールとしても最適であるため、購入を検討している方も多いかと思われます。
そこで、この記事ではULTEGRAホイールの詳細について迫り、どのような使い方が適しているのかについて解説します。
SHIMANOのULTEGRAホイール「WH-6800」とは?
この記事では、SHIMANOのULTEGRAグレードのホイールである「WH-6800」およびその後継モデルの「WH-RS500」について解説します。
まず先代のモデルである「WH-6800」について詳しく見ていきます。
「WH-6800」は、リムハイト23mmの軽量アルミホイールです。
このホイールは5万円前後と安価で購入でき、なおかつ前後ペア重量1640gと軽量であり、初めてのグレードアップ用ホイールとしてうってつけの存在です。
軽量なだけではなく、上位モデルと同じようにワイドフランジとオフセットリムを採用して剛性を確保しています。
ホイールの回転性能に大きな影響を与えるハブのベアリングは、他のSHIMANO製ホイールと同じくカップアンドコーン式であり、玉当たりの調整が簡単に行えるようにデジタルアジャストシステムが採用されています。
スポークは、フリー側を2本のスポークをクロスさせたパターン、反フリー側をストレートとすることで、スポークテンションを最適化しています。
SHIMANOのULTEGRAホイール「WH-6800」の最大の特徴とは?
さらに、SHIMANOのULTEGRAホイール「WH-6800」の最大の特徴として、チューブレスタイヤに対応している点が挙げられます。
チューブレスタイヤとは、文字通りチューブが不要なタイヤです。
チューブが存在しないため、タイヤ本来のしなやかさが最大限に発揮され、乗り心地が向上します。
また、転がり抵抗の少なさにおいては、クリンチャータイヤを上回るという実験結果があります。
チューブレスタイヤでは、通常のクリンチャータイヤで起こりうるリム打ちパンクが発生しません。
そのため、空気圧をより低い状態で使用できます。
また、チューブレスタイヤでパンクが発生した場合は、空気の抜け方がクリンチャータイヤよりも急激ではないため、パンクが発生してからそれに気づいて停止するまでの間がクリンチャータイヤよりも安全です。
なお、通常のクリンチャータイヤ用のチューブも使用可能であるため、ライド中のパンク修理はさほど問題になりません。
このような特徴をもつチューブレスタイヤを、軽量ホイールである「WH-6800」で使用すると、全体として非常に優れた性能を発揮します。
SHIMANOホイールに採用される「ワイドフランジ」と「オフセットリム」とは?
SHIMANOのULTEGRAホイール「WH-6800」に採用されたテクノロジーについて、もう少し詳しくお話しします。
「WH-6800」のハブにはワイドフランジが、リムにはオフセットリムが採用されています。
ワイドフランジとは、ハブ左右のスポークの根元を引っ掛ける部分の間隔を、従来のハブよりも幅広くしたものです。
また、オフセットリムとは、スポークとリムの接合部をリムのセンターに対して反フリー側にずらした(オフセットした)設計のリムです。
この2つの要素の組み合わせによって、リムとスポークの接合部を頂点とする三角形の底辺が広がり、ホイールの横方向への剛性が最大化されています。
さらに、このデザインによりフリー側のスポークの角度が減少したことで、フリー側と反フリー側のスポークテンションが均一化されています。
これらのテクノロジーはDURA-ACEホイールでも採用されており、その効果の高さがうかがえます。
つまり、「WH-6800」はワイドフランジとオフセットリムの採用によって、しっかりと剛性が確保された軽量ホイールであるといえます。
SHIMANOのULTEGRAホイール後継モデル「WH-RS500」とは?
現在では、「WH-6800」の後継のULTEGRAホイールとして「WH-RS500」が販売されています。
「WH-RS500」は、先代の「WH-6800」のマイナーチェンジ版といえるホイールです。
外見は、グレー基調のカラーリングであった「WH-6800」に対して、「WH-RS500」はブラック基調となっています。
また、「WH-6800」ではリムに「ULTEGRA」のロゴが配置されていましたが、「WH-RS500」では「RS」のロゴへと変更されています。
「WH-RS500」のリムハイトは、先代の「WH-6800」の23mmから24mmへと1mm増加しています。
「WH-RS500」のリムの内幅は、今流行しているワイドタイプではなく、「WH-6800」と同様の15mmです。
重量は「WH-6800」から変わらず、前後ペア重量1640gです。
ハブにはSHIMANOホイール伝統のカップアンドコーン式ベアリングを採用し、デジタルアジャストシステムも先代から継承されています。
もちろん、「WH-RS500」は「WH-6800」から引き続いてチューブレスタイヤに対応しています。
ULTEGRAホイールはロングライドやシクロクロスにもってこい!
ここまで、SHIMANOのULTEGRAホイールである「WH-6800」および「WH-RS500」のスペックについてお話ししました。
この章では、「WH-6800」および「WH-RS500」がどのような用途で活躍するのかを解説します。
これらのホイールの特性としては、ニュートラルであるといえます。
つまり、登板性能やスプリント時などもそつなくこなせる性能で、ハンドリングも素直です。
そのため、普段使いの練習用ホイールとして非常に優秀であると考えられます。
また、チューブレスタイヤで運用するなら、転がり抵抗の少なさや踏み出しの軽さが活きるため、ストップアンドゴーの多いロングライドなどで活躍できます。
さらに、ロングライドで急な雨に見舞われても、リムがアルミであるため制動力の急激な低下が起こりません。
チューブレスタイヤかつアルミリムという特徴は、シクロクロスでもメリットがあります。
チューブレスタイヤであれば、オフロードに対応するため空気圧を低くしてもリム打ちパンクのリスクを低減できます。
また、アルミリムは先述したように水分が付着した状態でも確実な制動を可能とします。
さらに、価格がさほど高価ではないため、機材のダメージが大きいシクロクロスでも経済的なダメージは少なく済みますので、ぴったりなホイールなのです。
ULTEGRAホイールは決戦ホイールとして使える?
今度は逆に、ULTEGRAホイール「WH-6800」および「WH-RS500」を購入しても満足できないであろう場合について考えます。
もしも、ホイールのグレードアップによって劇的な走行性能の向上を実感したいのであれば、「WH-6800」および「WH-RS500」は最適とはいえないでしょう。
もちろん、性能的には「WH-6800」および「WH-RS500」は間違いなく高いレベルにあります。
しかし、ホイールの重量が超軽量ではないことやリムハイトも低めであることから、完成車に付属するホイールから交換したとしても、劇的に走行感が変化するとは考えにくいでしょう。
その場合は、SHIMANOの「DURA-ACEホイール」の購入をおすすめします。
また、レースの決戦用としてのホイールを求めている方には「WH-6800」および「WH-RS500」では少々もの足りないかもしれません。
とくに、体重やパワーのある方がレースで使用するとなった場合には、これらのホイールはやや剛性不足であると思われます。
普段の走りをグレードアップするULTEGRAホイール
SHIMANOのULTEGRAホイール「WH-6800」および「WH-RS500」は、この価格帯では最高レベルのホイールです。
これらのホイールをチューブレスタイヤで運用すれば、ロングライドはかなり快適になるでしょう。
その反面、決戦用ホイールとしてはもの足りないと感じられます。
そのため、レースではなく普段使いのホイールとして高性能なホイールを使いたいといった方にこれらのホイールをおすすめします。