シマノやカンパニョーロ、スラムではトップグレードが12速になり、9速コンポーネントは主流とはいえなくなりましたが、現行でもエントリーグレードやシティバイクに対応したシリーズが出されています。
一時期よりは製品も減りましたが、9速コンポーネントにも手ごろな価格と丈夫さ、安価で幅の広いスプロケットを選べることなどメリットは多く、今でもエントリーバイクでは多数、採用されています。
初めてのバイクでメンテナンスに慣れるためや、セカンドバイクのコンポーネントとしてまだまだ活躍できるでしょう。
シマノ9速コンポーネントは古い?メリットはたくさんある!
シマノ9速コンポーネントはロード・マウンテンバイク共に数年前のトップグレードでしたが、現在は多段化が進みました。
シマノ、カンパニョーロ、スラムの3大コンポーネントメーカーのトップグレードは、12速になっています。
しかし、スポーツバイクの規格が変わっているわけではなく、同じ幅の中に段数の多いシステムを詰め込んでいる状態、といってもいいでしょう。
そのため、多段化でライディングのパフォーマンスは上がり、ライダーの要求には繊細に応えられるものの、耐久性は9速以下のコンポーネントと比べて下がることになりました。
その耐久性のメリットを考え、9速コンポーネントはエントリーグレードや通勤など、使用頻度の高いバイクにセットされていることが多くなっています。
「変速数が少ない」とはいっても、通勤やポタリングであれば快適に使用することができます。
それを踏まえ、スプロケットの種類も豊富でクランクセットも2段・3段と用意されているシマノ9速コンポーネントは、手軽で身近な変速システムといえるでしょう。
シマノ9速コンポーネントは入手しやすくタウンユースにおすすめ!
現在のシマノ9速コンポーネントは上位グレードのラインナップはなく、シマノの中でもタウンユースやエントリーグレードとして存在しています。
上位グレードは、主にスポーツサイクルを専門としているショップで購入することが多いのではないでしょうか。
それに対して、タウンユースを目的としている9速以下のコンポーネントは、身近な自転車屋さんやホームセンターでも手に入れることができます。
ロングライド・通勤時のトラブルなどの時に、ホームセンターでディレーラーやチェーン、スプロケットまで手に入れられるのは心強く感じるでしょう。
また、10速・12速コンポーネントと比べると丈夫に作られており、チェーンの太さだけを見ても耐久性に優れていることがわかります。
多段化によってシステムはどうしても繊細になってしまうので、12速コンポーネントと比べ構造の単純な9速は、高度なメンテナンスにも手を出しやすいコンポーネントです。
自転車競技では9速コンポーネントの供給はほぼなく、レースを前提としたバイクには使いにくいですが、タウンライドやセカンドバイクでのロングライドには優れています。
現行で手に入る9速コンポーネント
現在、新品として手に入れられるシマノ9速コンポーネントとしては、ロードバイクコンポーネントではSORA R3000シリーズのみです。
また、マウンテンバイク・シティバイクコンポーネントとしては、ALIVIO M2000シリーズ・ALIVIO M4000シリーズがあります。
SORA・ALIVIOともにエントリーグレードやシティバイクに多く採用されているほか、シリーズの製品を単品で購入でき、またはパーツを購入することもできます。
現行品の数は少なくなりましたが、どれも低価格で購入することができるので、パーツ交換やメンテナンスは容易に行えます。
また、現行品にこだわらなければ、9速が主流だった当時のDURA ACEやXTRなど最上位グレードの中古品・新古品も多く出回っており、リサイクルショップやオークションで手に入れることができます。
クランクやスプロケットの歯や変速機能の状態には注意が必要ですが、現在のコンポーネントに匹敵するクオリティのバイクを組むこともできます。
シマノ9速コンポーネントはメンテナンスしやすい!スプロケットの種類
シマノ9速コンポーネントのメリットのひとつとして、メンテナンスの容易さとパーツ購入のしやすさがあります。
9速スプロケットの種類も豊富で、あらゆるシチュエーションに合わせたスプロケットを安価で手に入れることができ、交換もそれほど時間はかかりません。
現在、手に入るスプロケットはロードバイク用の12-25T、13-25T、14-25Tと、ヒルクライムに最適な11-30T、マウンテンバイク・シティユース用としては11-32T、11-34T、11-36Tがあります。
交換には専用工具も数点、必要ですが、平坦のロングライドでは歯数の少ないスプロケット、ヒルクライムを想定したコースでは30T以上のギアとコンパクトクランクを用意したりと、ライディングに合わせての交換が容易に行えます。
スプロケットの歯数によって、リアディレーラー交換をする必要もありますが、調整もしやすく競技志向を志しながら、メンテナンスに慣れていない方でも練習としてトライするには最適なコンポーネントです。
シマノ9速コンポーネント・スプロケットのメンテナンス
シマノ9速コンポーネントは、最新のコンポーネントと比べ構造は単純ですが、メンテナンスは同様に行わなければなりません。
チェーンなどの金属パーツは大きく丈夫なので、メンテナンス・クリーニングは容易ですが、廉価グレードのため樹脂パーツも多く採用されており、樹脂部分の耐久性は金属と比べ劣ることになります。
樹脂は変形もしやすいため、メンテナンス時は動作の確認と合わせて目視で、変形や破損してしまっていないかのチェックも行ってください。
また、スプロケットも歯の間隔が大きくクリーニングはしやすいですが、交換の頻度が高い場合は取り外してのクリーニングをおすすめします。
9速コンポーネントは12速コンポーネントと比べ、パーツ交換後の調整も比較的手軽なので、パーツを揃え、いろいろな組み合わせをメンテナンスのついでに試すのもいいでしょう。
9速コンポーネントのいろいろな用途!スプロケットを交換して対応
現行品では少なくなったものの、シマノ9速コンポーネントにはいろいろな用途があります。
ロードのエントリーバイクとしてSORAをセットしたものは性能、価格に優れ根強い人気があり、メンテナンスの入門機としても最適です。
また、マウンテンバイクコンポーネントとして考えても耐久性、メンテナンス性に優れる9速コンポーネントは使いやすく、ディレーラー・スプロケットなどが破損したときの交換も比較的に手軽で安価に行えます。
毎日の通勤通学や街の散策など、シティユースとして考えてもトラブルに強く、メンテナンスが容易な9速コンポーネントのメリットは大きいです。
スプロケットをシチュエーションにあわせて交換すれば、高速巡行や坂の多い場所にも対応しやすいでしょう。
また、24インチなどのキッズバイクにも適しています。
その理由は、現在の12速コンポーネントが歯数の増加によりスプロケット、チェーンの薄型化が著しく、フレームのチェーンステイの長さに、ある程度の制約ができてしまっているからです。
その点、幅の厚い9速以下のコンポーネントのチェーンは、斜めにかかる負荷にも強いため、24インチなどのキッズバイクにも適しているといえるのです。
このように、9速用のコンポーネントは構造が多少簡易にできているため、用途によっては多段化したコンポーネントよりも適している場合もあります。
これからの変速システム
1971年に発表されたDURA ACEは90年代後半に9速化し、現在は12速コンポーネントとしてプロチームなどに採用されています。
当時の9速コンポーネントと比べて、多段化で技術の進んだ現在の製品は、トップダウンの技術も採用されることがあり、より使いやすくなったものが販売されています。
6速から12速まで適材適所があり、現在の規格では多段化も限界に近い今は、用途とライディングにマッチした段数を選択する使い方も考えられます。