日本が世界に誇るパーツメーカーと言えば「シマノ」ですが、取扱品が多岐に渡りますのでカタログを持っておくと製品が確認しやすく何かと便利です。
今回はシマノのカタログ掲載品の中でもホイールにスポットを当て、シマノ独自の技術や特別な用語などをご説明します。
また、おすすめのホイールもご紹介します。
ロードバイクのホイールはカタログで確認するのがよい!
ロードバイクの醍醐味であるスピードですが、ホイールは交換した際にスピードアップ効果がはっきりと分かりますので、カスタムの優先順位が高いパーツです。
そのため、ホイールを扱うメーカーが多く、ラインナップも豊富なので迷うことも多いかと思います。
店舗に出向いても全てのホイールがあるとは限りませんし、事前に知識も入れておきたいものです。
そこでおすすめしたいのがカタログであり、今はネットでの閲覧が普通になっていますので、どこでも簡単に確認ができます。
シマノも製品紹介の「バイクギア総合カタログ」や、初心者の方向けにロードバイクを一から教えてくれる「楽しい自転車シリーズ」などが、ホームページで公開されています。
バイクギア総合カタログにはシマノのフラッグシップである「コンポ」を始め、ホイール、ペダル、サイクルウェアから工具に至るまで、多くの市販品が紹介されています。
自転車ファンは見ているだけでも楽しいですし、これから購入しようとする方であれば型番なども確認できますので、間違って購入するようなトラブルも防げるかと思います。
シマノホイールのカタログに掲載されている技術解説
今回はシマノのロードバイク用ホイールについて、カタログに掲載されている技術や用語を中心にご説明しながらご紹介していきます。
そこでまずはカタログに掲載されている、シマノホイールの技術をいくつかご紹介します。
【オプトバルスポークシステム】
名称はそれぞれですが、多くのメーカーが採用しているスポークの組み方です。
リアの変速段数が増えるのに従い、走行時にチェーンが掛かっている駆動側には大きなテンションが掛かるようになりました。
特に11速ではそれが顕著になり、駆動側のスポークには反対側の2倍のテンションが掛かりますので、同じ本数ですとテンションが保てなくなってしまいます。
その状態ですとニップルが緩み「振れ」が出てしまったり、ひどい時にはスポークが折れることもあります。
それを防ぐのがオプトバルであり、駆動側のスポークを反対側の2倍(14本)にすることで強度を上げ、テンションの不均衡に対応しています。
これによりホイール全体の剛性も高くなりますので、ペダルを漕いだ力がストレートにホイールに伝わりますので、加速力や巡航性に長けたホイールになります。
【エキストラワイドフランジ】
「フランジ」はハブのスポーク取り付け部分のことで、スポークは左右2つののフランジに繋がっており、それぞれが引っ張り合うようにしてテンションを保っています。
その左右のフランジ間を広げることで、横方向の剛性を最大限まで広げたのが「エキストラワイドフランジ」です。
これによってオプトバル同様に全体の剛性が高まりますし、ねじれ剛性も高くなります。
【デジタルコーンベアリング・アジャストメントシステム】
シマノのホイールハブのベアリングは全てカップ&コーンなので定期的なメンテナンスが必要です。
一般的なカップ&コーンベアリングは調整用と締め付け用のダブルナット構造ですが、このシステムによりダブルナットが不要となり、六角レンチ1本でメンテができるようになっています。
シマノホイールのカタログ掲載用語の解説①対応タイヤとリム素材
続いて、シマノホイールのカタログの、製品紹介に記載されている内容についてご説明さて頂きます。
◆対応タイヤ
《クリンチャー》
タイヤの中にチューブを入れ、空気を充填することでホイールのリムに固定されるタイヤ。
ロードバイクでは主流で、汎用性も高いです。
《チューブラー》
タイヤの内部にチューブを縫い付け、リムには接着剤やテープで固定をします。
リムがチューブ状の空洞のため、軽量で強度の高い車輪になりますし、真円に近く空気圧も高くできるのでレース向きです。
《チューブレス》
タイヤの内部に空気を保持する層があるため、チューブを必要としません。
空気圧を下げてもリム打ちパンクの心配がないので、低い空気圧で運用されるMTBでは主流のタイヤです。
ただ、ロードバイクにおいてはリムが複雑な構造になる分、ホイールが少し重くなるのがネックです。
◆リム素材
一般的なカーボン、アルミに加えシマノホイールには「カーボン/アルミコンポジット」があります。
超薄型のアルミリムの上に軽量なカーボンファイバーを配置して、アルミの剛性とカーボンのしなやかさを両立させています。
シマノホイールのカタログ掲載用語の解説②リムのサイズ
前項に引き続き、シマノホイールの用語解説をさせて頂きます。
◆リムサイズ
シマノのカタログではリム径、リムの高さ、幅、内径が掲載されています。
リム径はロードバイク用は700Cで共通していますが、カタログには世界標準規格である「ETRTO」の622mmも記載があります。
リムの高さは「リムハイト」という表記もされ、シマノでは最高60mmのディープリムホイールがあります。
リム幅は外側の幅で、タイヤの適性幅を決めるのに重要なのが内径です。
トレンドになりつつあるのが、太めのタイヤに適していると言われる17Cというサイズで「ワイドリム」と呼ばれますが、ここ最近シマノにも増えつつあります。
一般的にワイドリムのホイールは、推奨タイヤ幅が25Cからになりますが、シマノでは一部の17Cワイドリムでも推奨タイヤ幅を23Cとしており、細いタイヤ志向の方にも対応しています。
一方、従来のホイールに多いのは15Cサイズで、「ナローリム」と呼ばれます。
シマノホイールのカタログ掲載用語の解説③フレームとの互換性
次にご説明するカタログ掲載用語は、フレームとの互換性に関わる部分になります。
◆フレーム固定方法
《クイックリリース》
一般的な固定方法で、フレームの切欠きのしてある部分にホイールのハブを合わせ、そこに細いシャフトを通して左右のハンドルで固定をします。
脱着が簡単で軽量なため、ロードバイクでは長らく主流になっている方法です。
《スルーアクスル》
シマノではディスクブレーキ用に採用されている固定方法で、フレームの取り付け部分は真円で、そこにハブを合わせて12mm径のアクスルを挿入して固定をします。
ディスクブレーキの強い制動力に耐え得る剛性と固定力があり、今後主流になると予測されています。
シマノでは、ねじれ剛性を高めた独自のものとして、「E-THRUアクスル」と命名しています。
◆リアO.L.D
O.L.Dはリア(後輪)ハブの幅を表すもので、「オーバーロックナット寸法」とも言います。
また、フレーム側のリアエンドの幅とも合致していなくてはなりませんので、「エンド幅」とも呼ばれます。
シマノでは、リムブレーキのロードバイクは130mm、ディスクブレーキモデルは固定方法で決まっており、クイックリリースは135mm、スーアクスルは142mmになります。
そして、O.L.Dは上記通りフレームに合わせる必要がありますので、交換の際はご注意ください。
おすすめのシマノホイール
それでは最後に、筆者がおすすめするシマノのロードバイク用ホイールを、カタログを参考にご紹介します。
【WH-R9100-C40-TU】
参考価格:¥318,423(前後セット、税抜)
重量(前後計):1384g
ツール・ド・フランスを制した実績もあるホイールで、チューブラータイヤ対応になります。
リム高37mmのセミディープなリムで様々なシーンに対応しますので、本格的にレース参戦を考えている方におすすめです。
【WH-RS700-C30-TL】
参考価格:¥87,662(前後セット、税抜)
重量(前後計):1540g
上位グレードの技術を余すところなく受け継いだ、カーボン/アルミコンポジットリムのホイールです。
リムハイトが高めで、オプトバルスポークシステムも採用されていますので、レースの入門編として人気があります。
【WH-RS770】
参考価格:¥93,139(前後セット、税抜)
重量(前後計):1639g
上記WH-RS700と同グレードの、ディスクブレーキモデルです。
O.L.D142mmのスルーアクスル仕様ですから、正にこれから主流になっていくホイールです。
【WH-RS500】
参考価格:¥51,364(前後セット、税抜)
重量(前後計):1649g
ミドルグレードの代表格的存在で、ロードバイクにおける最初のホイール交換で推奨されることがとても多いです。
チューブレスリム(クリンチャータイヤも使用可)のため少し重量はかさみますが、ハブの回転力が優れていますので、走りの軽さは十分に体感できるはずです。
順を追って確認することが大切!
今回はシマノのロードバイク用ホイールについて、カタログを確認する際に参考にして頂きたい、技術や用語をご説明しました。
掲載されている形式がホイールによって違っていたりしますので、今回ご説明した用語が載っていない製品もあります。
しかし、順に追っていけば理解は可能かと思いますので、この記事を参考にして頂ければ幸いです。