今回はシマノのロードバイク用ホイールで、初のディスクブレーキモデルとなる「R9170シリーズ」をご紹介します。
プロレースでの解禁を踏まえ、市場モデルでもディスクブレーキ搭載車が増えてきたことに対応したラインナップになっています。
今後ますますシェアの拡大が予測されますので、この記事でまとめておきましょう。
シマノ「R9100」、「R9170」は「デュラエース」グレードのホイール
シマノはコンポやホイールにグレードがあり、今回の主役である「R9170」は、最上位グレード「デュラエース」のディスクブレーキモデルの型番です。(キャリパーブレーキモデルはR9100)
しかも、ホイールにグレード名が付いているのはデュラエースのみであり、特別な存在になっています。
ちなみに、R9170の「R」はロードバイクを表すイニシャルであり、デュラエースがR9100になって以降、ロードバイクパーツの冠につくようになりました。
シマノはコンポにおいてディスクブレーキを始め、電動変速コンポ「Di2」のシンクロシフトや、シャドー形状のリアディレイラーなどMTB用のコンポからの踏襲も多くなっています。
そのため、MTBの象徴でもあるディスクブレーキに対応するホイールも、その高い技術が惜しみなく投入されていますので、それについては後述します。
また、ディスクブレーキモデルが投入されたのと同じタイミングで、キャリパーブレーキモデルもリニューアルされています。
リムハイトを24mm、40mm、60mmに集約し、チューブラーモデルではリム幅を28mmまで広げ、トレンドでもある空力性能を意識した仕様になっています。
ディスクブレーキモデルも24mmハイトはありませんが、基本仕様はこれに準じています。
シマノホイール・R9170のスペック
それではまず、シマノのホイール「R9170」のラインナップをご紹介します。
価格は税抜、重量はシマノのカタログ掲載のものになります。
【WH-R9170-C60-TU】
・対応タイヤ:チューブラー
・参考価格:¥321,065
・重量:1500g(フロント・671g リア・829g)
・リム素材:カーボン
・リムハイト:60mm
・リム幅:28mm
【WH-R9170-C40-TU】
・対応タイヤ:チューブラー
・参考価格:¥324,156
・重量:1400g(フロント・626g リア・774g)
・リム素材:カーボン
・リムハイト:37mm
・リム幅:28mm
【WH-R9170-C40-TL】
・対応タイヤ:チューブレス
・参考価格:¥261,149
・重量:1586g(フロント・721g リア・865g)
・リム素材:カーボン
・リムハイト:37mm
・リム幅:24mm
シマノ・R9170はフルカーボンリム+チューブラー対応ホイール
前項でシマノ・R9170のホイールをご紹介しましたが、ディスクブレーキモデルらしく全てフルーカーボンリムです。
リムで制動が行われるキャリパーブレーキでは、ブレーキの制動力次第では摩擦熱でカーボンが溶けてしまう事があるので、カーボンリムとの相性はよくないとされています。
一方ハブで制動が行われるディスクブレーキは、摩擦熱の心配がないので、カーボンリムとの相性がよくなります。
また、このモデルの大きな特徴は、「チューブラー」タイヤに対応している点です。
チューブラ―は現存するロードバイクのタイヤでは最も歴史が古く、タイヤの中にチューブを縫い込んでしまうという仕様なのでメンテナンス性が低く、現在アマチュアライダーの間ではシェアがかなり低い方です。
しかし、空気圧を高められたり、タイヤがチューブ状なので真円率が高く、コーナリング性能も高くなります。
また、タイヤをリムにテープや接着剤で固定するため、リムの構造を複雑にする必要がなく、重量を減らした上で、強度を上げることができます。
このようにチューブラ―は、メンテナンス性以外ではタイヤとしての性能が非常に高く、軽量リムとの相性も良いので、プロがレースで使用するには最適になります。
実際にシマノのホイールR9100、9170のチューブラーモデルも実戦に投入され、数々の勝利に貢献しています。
シマノR9170の規格①スルーアクスル
ディスクブレーキのホイールは、従来のリムブレーキ用との互換性が全くありませんので、専用のフレームでなければ取り付けられません。
そのため、フレームメーカーとの折り合いも必要で、規格の統一が叫ばれているのですが、中々ホイールメーカーの足並みは揃いません。
ただ、シマノのR9170シリーズは規格が統一されており、前後ともに12mm径のスルーアクスル(シマノはE-Thru)であり、エンド幅はフロントが100mm、リアが142mmになります。
これだけでは何のことだか分からないという方も多いかと思いますので、順を追ってご説明します。
スルーアクスルというのはホイールをフレーム本体に固定する方式のことで、12mmというのは固定する際に使用するシャフト径のサイズです。
ホイールの前輪はフロントフォーク、後輪はリアエンドという部分に固定をしますが、スルーアクスルはフレームに切ってある穴にシャフトを通して直接固定するという方式です。
そのため、フレームもスルーアクスルのシャフト径に合わせる必要があるので、ここの規格が乱立してしまうとフレームメーカーは多大な苦労を強いられます。
後述しますが、シマノにはR9170以外にもディスクブレーキモデルがありますが、スルーアクスルは全て12mm径のシャフトになります。
なお、スルーアクスルはフレーム側の付属品であり、ホイール交換時は再利用になりますので、廃棄しないように注意してください。
シマノ・R9170の規格②エンド幅
前項に引き続き、シマノ・R9170の規格についてですが、続いてはエンド幅についてお伝えします。
エンド幅はホイールを取り付ける場所の幅のことであると同時に、ホイールのハブの幅でもあります。
そのため、外側のナットの両端間の長さを表す「オーバーロックナット寸法」の頭文字を取って「O.L.D」と表記されることもあります。(シマノのカタログはO.L.Dです)
エンド幅以上のハブ幅を持つホイールは物理的に取り付けられませんし、エンド幅より狭いホイールもスペーサーなどで調整しないといけませんので、あまり推奨されません。
このエンド幅は、前輪はほぼすべての自転車が100mmで統一されていますが、後輪は付属物が多くなりますので、自転車によって様々です。
ロードバイクはキャリパーブレーキモデルが130mm、ディスクブレーキモデルが135mmを基本としてきましたが、スルーアクスルが台頭してきたことにより142mmも多くなっています。
シマノも従来通りのクイックリリース方式は135mm、スルーアクスルは142mmとなり、ホイールによって違うので注意が必要です。
シマノのR9170以外のディスクブレーキ用ホイール
ここまでは、シマノ・デュラエースグレードのホイールR9170をご紹介してきましたが、最後にそれ以外のディスクブレーキ用ホイールもご紹介します。
R9170はクリンチャータイヤに対応するモデルがありませんが、これからご紹介するモデルは全てクリンチャー対応になります。
また、グレードからすればR9170よりは下がりますが、その分アルミリムもあり、価格も抑えられているため、使い勝手がよいのはこちらのグループかもしれません。
それではご紹介します。(価格は税抜)
【WH-RX830】
・対応タイヤ:チューブレス、クリンチャー
・参考価格:¥128,875
・重量:g(フロント・829g リア・993g)
・リム素材:カーボン/アルミコンポジット
・リムハイト:35mm
・リム幅:23mm
・O.L.D:フロント・100mm リア・135mm
・ホイール固定方法:クイックリリース
【WH-RX31】
・対応タイヤ:クリンチャー
・参考価格:¥37,290(スルーアクスル)/¥34,368(クイックリリース)
・重量:スルーアクスル・1945g(フロント・873g リア・1072g) クイックリリース1986g(フロント・899g リア・1093g)
・リム素材:アルミ
・リムハイト:24mm
・リム幅:22.4mm
・O.L.D:フロント・100mm リア・142mm(スルーアクスル)/135mm(クイックリリース)
【WH-RS770】
・対応タイヤ:チューブレス、クリンチャー
・参考価格:¥93,139
・重量:不明
・リム素材:不明
・リムハイト:28mm
・リム幅:23mm
・O.L.D:フロント・100mm リア・142mm
・ホイール固定方法:スルーアクスル
【WH-R370】
・対応タイヤ:チューブレス、クリンチャー
・参考価格:¥24,681
・重量:1980g(フロント・890g リア・1090g)
・リム素材:アルミ
・リムハイト:19㎜mm
・リム幅:24.6mm
・O.L.D:フロント・100mm リア・142mm
・ホイール固定方法:スルーアクスル
【WH-RS170】
・対応タイヤ:クリンチャー
・参考価格:¥18,638(ブラック)/¥19,690(ホワイト)
・重量:2091g(フロント・942g リア・1149g)
・リム素材:アルミ
・リムハイト:24mm
・リム幅:23mm
・O.L.D:フロント・100mm リア・142mm
・ホイール固定方法:スルーアクスル
【WH-RX010】
・対応タイヤ:クリンチャー
・参考価格:¥18,615(ブラック)/¥19,761(ホワイト)
・重量:2159g(フロント・982g リア・1177g)
・リム素材:アルミ
・リムハイト:24mm
・リム幅:23mm
・O.L.D:フロント・100mm リア・135mm
・ホイール固定方法:クイックリリース
規格の統一は見逃せない!
今回は、シマノのディスクブレーキ用ホイール「R9170」のお話をしました。
今後シェアの拡大が予測される中で、シマノがR9170に関して規格を統一しているのが見逃せないポイントです。
クリンチャーモデルがないのが少し疑問ですが、今後に期待しましょう。