シマノホイール・RS100を検証しグレードアップも考える

市販されているロードバイク用の完組みホイールにはグレードがあり、低グレードのものはあまり注目されないのが常です。

日本メーカーでは最大のシェアを誇る「シマノ」製でも、グレードが高まるほどに注目度が上がる図式に変わりはありません。

しかし、「RS100」はグレードこそ下ですが注目したい点も多いので、検証してみます。

ロードバイクにおけるホイールの役割

ロードバイクのホイールは、基本的に価格が上がるほど軽量で高性能になっていきます。

また、ロードバイクのパーツの中でも平均単価が最も高いので、完成車全体の価格に大きな影響を及ぼします。

そのため、10万円、20万円台の完成車では、ホイールにその10分の1ほどのコストしか掛けられないこともあり、ある程度重量がある、性能も過度な期待はできない平凡なものが付属していることが多くなります。

ホイールはロードバイクのスピードに大きく関わる部分であり、車体を支えている存在でもあるので、乗り味にも関係しています。

スピードや乗り味はすぐに体感できることであり、差が分かりやすいと言えます。

バイクに慣れていない最初の内は、比較対象も無いので気がつかないかもしれませんが、経験を積み、外からの情報も入り、知識も増えてきますと段々気になってきます。

特に、「漕ぎ出しに重さを感じる」、「ペダルを一生懸命漕いでも思うようにスピードが乗らない」、「集団で走っている際に自分だけ置いて行かれがち」このような場合はホイールに原因があるかもしれません。

しかも、上記のようなことは、ロードバイクに乗る楽しみや意義という根幹的なことなので、いち早く改善したい事項になります。

そのため、ロードバイクにおけるカスタムはまずホイールからと言う意見が多く、性能が高く軽量なモデルが推奨されます。

今回の主役シマノ「RS100」は、シマノの中でも最廉価に近いモデルのため、カスタムに推奨されるような機種ではありませんが、レースを意識しない方であれば必要十分なホイールかと思います。

シマノ・RS100のスペック

それでは、シマノ・RS100を詳しく知っていただくために、まずはスペックをご紹介します。

【WH-RS100】

参考価格:¥13,794(前後計、税込)

重量:1897g(前後計)

リム素材:アルミ

リム幅:23.8mm(内径17mmのワイドリム)

リムハイト:24mm

スポーク本数:前・20本 後・24本

これまでの最廉価モデルであった「RS010」の後継と目されており、20gほど軽量になり、価格も2割程度安くなりましたので、コスパが上がったと考えてよいでしょう。

また、のちほど詳しくお話ししますが、ワイドリム化でリム幅が広くなったにも関わらず軽量になっているということは、リムが進化した何よりの証です。

重量ですが、安価な完成車に付属しているホイールは2000gをはるかに超えるものも多いので、それらに比べれば一線を画すものではあります。

そのため、ホイールのカスタムを考える際に、優先順位は高くないですが、価格を抑えたいということであれば選択肢に入るかと思います。

シマノ・RS100は価格や重量だけで判断してはいけないホイール

前項ではシマノのロードバイク用ホイール「RS100」のスペックをお話ししましたが、最後にお話ししたカスタムについての可能性をもう少し掘り下げてみます。

安価な完成車に付属するホイールの多くは、メーカーがパーツをかき集めて組んだ「手組みホイール」であることが多いです。

ホイールを構成する主なパーツは、外周部である「リム」、骨格に当たる「スポーク」、そして回転を司る「ハブ」です。

これらの市販品や自家製造のものを集めて製造されたものが、手組みホイールです。

一方、完成形で市販されているものを「完組みホイール」といいます。

これはホイールメーカーが、完成形が最高のパフォーマンスを発揮するように組み上げるもので、パーツも専用設計されています。、

手組みでも「ファストフォワード」のようにプロも使用する世界的なメーカーもありますが、一般的には全てが専用設計の完組みの方がレベルが高いとされています。

そのため、RS100は価格はシマノの最廉価で、重量も決して軽量と言えるレベルでは無いですが、完成車付属の手組みホイールに比べればはるかに高レベルです。

したがって、現在履いているホイールのレベル次第では、RS100をカスタム用に考えてもよいと考えています。

RS100はシマノでは希少な「ワイドリム」ホイール

先ほど、シマノのロードバイク用ホイール「RS100」のスペックをお話ししましたが、ここではその中に登場した、「ワイドリム」についてお話しします。

車輪はホイールにタイヤがはまって体を成すわけですが、タイヤがはまる部分のことを「リム」といいます。

そのリムの内側にタイヤの耳の部分に当たる「ビード」を引っ掛けるようにして装着する仕組みなので、タイヤの太さと、リムの内径は密接な関係にあります。

そして、近年ロードバイクのタイヤは太めがよいとされる風潮になり、主流は23c(23mm)ではなく、25c(25mm)になってきています。

そうなりますと、今まで23cが最適なリム内径であったホイールは25cのタイヤにすると、性能が引き出しきれない可能性が出てきました。

そこで、リム内径を従来の15mmから2mm広げて対応したのが、ワイドリム化です。

これにより、タイヤがリムから横にはみ出なくなるので、空気抵抗を受けにくくなります。

また、リムがタイヤをしっかりと受け止めることでよじれがなくなりますので、安定しますし、パワーロスがなくなる分よく転がってくれます。

ただし、23cのタイヤを継続したい場合は、ワイドリム化しても何のメリットもありませんので、RS100は選択肢から外してください。

シマノ・RS100からグレードアップするホイールを考える

シマノのRS100は完成車に付属していることもありますので、今回はそこからのグレードアップも考えてみましょう。

お伝えしているように、RS100は最廉価モデルなので、いくらでも上位モデルがあるわけですが、少しグレードを上げたくらいでは効果がはっきりしません。

例えば、ワングレード上の「WH-RS300」は重量が70gほど軽量ですが、その他の仕様は変わりありません。

プロレベルであれば70gの重量差は小さくないでしょうが、アマチュアレベルの70gはそう大差とは言えず、そこまで走りが軽くなった印象も受けないはずです。

RS300は約23,000円というところですが、同じ金額を掛けるならタイヤを奮発する方が、劇的な変化が望める分おすすめですし、タイヤなら最高級でも2万円以上の金額は稀です。

そのため、ホイールの交換はグレードを数段上げるのが効果的であり、後悔の少ない選択となります。

そこで最後に、RS100からグレードアップするのにおすすめのシマノホイールを、次項でご紹介します。

シマノ・RS100からのグレードアップにおすすめのホイール

それではシマノホイールの中で、RS100からのグレードアップにおすすめの機種をご紹介します。

【WH-RS500】

参考価格:¥52,831(前後計、税込)

重量:1649g(前後計)

リム素材:アルミ

リム幅:20.8mm(内径15mmのナローリム)

リムハイト:24mm

スポーク本数:前・16本 後・20本

ミドルグレードで、コンポではアルテグラ相当の位置付けとされています。

チューブレスタイヤに対応するリム(クリンチャータイヤも使用可)のため、重量はそれほど軽いとは言えませんが、RS100よりもハブの性能が段違いであり、転がりのよさや走りの軽さは劇的に変化します。

しかも、他メーカーのミドルグレードと比較すると価格が非常に優勢で、ライバル視されることが多いように性能も見劣ることが無いので、シマノで最高のコスパを誇るという評価もあります。

【WH-RS700-C30-CL】

参考価格:¥90,163(前後計、税込)

重量:1568g(前後計)

リム素材:アルミ/カーボン

リム幅:20.8mm(内径15mmのナローリム)

リムハイト:前・24mm 後・28mm

スポーク本数:前・16本 後・21本

価格が少し上がりますが、レース参戦を視野に入れるならこちらがおすすめです。

アルミの下地にカーボンをラミネートしたリムは、衝撃吸収性と剛性のバランスが抜群で、快適な乗り心地と高い走破性が同居しています。

また、後輪のスポークの本数が従来品より1本多くなっていますが、これはドライブ側(ギアにチェーンが掛かっている側)と反対側の本数の割合を2:1にする、「オプトバルスポークシステム」を採用するためです。

ドライブ側には応力が反対側の2倍掛かるとされており、同じスポークの数だとテンションが崩れてしまうので、多めに配することでバランスを取っています。

また、そのことでパワーロスも大幅に低減できるので、加速力や高速巡航性に優れたレース向きのホイールになります。

必要十分だが上を目指すにはカスタムが必要

今回は、シマノのロードバイク用ホイール「RS100」についてお話ししました。

本文でお伝えしたような条件であれば、カスタム用のホイールとしても選択肢に入るものです。

とは言え最廉価モデルですから、上を目指すには別の選択も必要であり、今回ご紹介したホイールが参考になれば幸いです。