ピナレロの「GAN(ガン)」は、先代のフラッグシップモデル「DOGMA(ドグマ) F8」のセカンドグレードとして登場しました。
セカンドグレードはユーザーの裾野を広げるという意味ではとても重要な役割があり、GANもその役目を担い、ブログなどにも多く取り上げられている、人気のモデルです。
ただし、2019モデルでは大幅に機種が減ることになり、これもセカンドグレードの一つの宿命です。
ピナレロ・GANのようなセカンドグレードの役割
ピナレロは、現在世界最強と言っても過言ではない「チーム・スカイ」に長年に渡り機材を提供しており、ショップやサイクルマスコミの書くブログに、世界最高峰のレーシングブランドと紹介されることも多いです。
ロードバイクはロードレースの機材であり、プロチームに機材を提供するメーカー(ブランド)は、チームオーダーも考慮してバイクを開発、製造していきます。
したがって、レーシングブランドは、プロ仕様をトップに据えるラインナップとなり、特にピナレロはその特徴が際立っています。
また、ロードレースに使用するバイクは市販されているものという原則があるので、一般ユーザー向けのラインナップにもプロが使用する機体が並びます。
プロ仕様ですから群を抜いて高性能ですし、もちろん高額にもなります。
ピナレロのプロ仕様バイクはここ数年「DOGMA」シリーズですが、現在のフラッグシップ「F10」は、最低で70万円台前半(フレームセット)、上位グレードには100万円に迫る機種もあります。
これも市販されていますが、さすがに誰もが手を出せる価格では無いので、ユーザーは限られます。
そのため、裾野を広げる意味で、素材やパーツを見直して価格を抑えたセカンドグレードが必要になるわけです。
冒頭でもお伝えしましたが、GANは先代のフラッグシップ「F8」のセカンドグレードでした。
ブログから見てとれるピナレロ・GANの華々しいデビュー
ロードバイク関連のブログで最も多いのは、個別の機種に対する内容です。
一般のユーザーさんであれば、購入に至った経緯や納車までの過程を細かく報告しているブログも見られます。
そして、購入後の実際の使用感や、走行したインプレ、整備記録なども目立ちます。
また、ショップのブログなどは、ほぼ機種に対することであり、これから販売する機種の宣伝、店員やテストドライバーなどの試乗インプレとなります。
ピナレロのGANは前項で触れたように、「ドグマF8」のセカンドグレードとして、2016年に4つのモデルを出し、華々しいデビューを果たしました。
これだけのモデル数を投入したわけですから当然注目度も高く、当時サイクルマスコミや正規販売店は、こぞってブログや記事に取り上げていました。
当時のブログを確認すると、今までも新しいフラッグシップモデルの発表と同時にセカンドグレードを用意するという事例はあったそうですが、ここまでのボリュームで用意されたことはないと報告されていました。
ブログの掲載率が表すピナレロ・GANの偏りの無さ
前項でロードバイクのブログは個別の機種に関するものが多いとお伝えしましたが、ピナレロ・GANに関してもその傾向はとても強かったです。
しかも、ユーザーさんのブログには、デビューした4つのモデルがほぼ均等に取り上げられており、売れ筋が偏らずまんべんなく販売されていたことが伺えます。
筆者もGANの中古品を調べた際に、割と均等にどの機種も出品されていると感じましたので、この辺りのことも繋がりはあるかと思います。
そこでここからは、GANのデビュー時の4つのモデルをご紹介しますので、今後手に入る機会がある際の参考にして頂ければ幸いです。
まず全体の概要ですが、ドグマF8の技術を受け継いでおり、今までのピナレロには無かった完全エアロ形状のバイクとなりました。
モデルは「RS」「S」「GAN(ノーマルグレード)」「DISK」の4つで、RSにはフレームセットも用意され、その他のグレードは完成車のみとなります。
フレームの形状は共通で、カーボンの素材と付属パーツによってグレード分けがされています。
GANの機種別の特徴①ピュアレーサー
それでは、ピナレロ・GANをモデル別にご紹介していきます。
【GAN RS】
高強度でありながら適度な弾性も確保した「T900」カーボンで、ドグマF8に近い硬さと高い反応性を持つフレームです。
当時のサイクルマスコミのブログには、「ピュアレーサー」という文言が多く使われており、フレームセットも用意されていたことから、コンポ、ホイール次第ではすぐにでもレースに使えるという評価でした。
しかし、そこはセカンドグレードとしての役割もしっかり全うしており、フロントフォークやシートステイはF8との形状の違いが見られ、衝撃吸収性を高めた作りになっています。
デビュー翌年には、同時に発表された次のフラッグシップ「ドグマF10」と同じ、ドット柄のデザイン「MAGIX(マジックス)」も採用され、いかにピナレロがRSに力を注いでいたかが分かる仕様になっていました。
2018年が最終年となり、フレームセットが462,240円(税込)、シマノ・Ultegra(アルテグラ)完成車が537,840円(税込)でした。
GANの機種別の特徴②用途が広がるモデル
前項に引き続き、ピナレロ・GANのモデルをご紹介します。
【GAN S】
強度重視のカーボン素材には変わりないですが、「T700」という標準弾性に近い、ややしなやかな素材が採用されています。
このあとご紹介するノーマルグレードは柔らかいという評価、前項でお伝えしたRSは硬いという評価、その中間的な存在だったのがSです。
そのため、ユーザーさんのブログでは用途が多様化しているのが伝わってきており、レースに参戦しながら、遊びや通勤にも使っているようなイメージです。
こちらも2018年で廃盤となり、完成車はシマノ・アルテグラ、カンパニョーロ・ポテンザ搭載が469,800円(税込)、シマノ・105搭載が405,000円(税込)でした。
【GAN(ノーマルグレード)】
「RS」がレースに特化したピュアレーサー、「S」が万能タイプのオールラウンダーとすれば、ノーマルGANはロングライドモデルと評価されていました。
Sよりもう1ランク弾性を下げた「T600」カーボンは、非常にしなやかで衝撃吸収性に優れているので、マイルドな乗り心地と、ペダリングを後押ししてくれる「タメ」が生まれます。
そのため、疲れにくく乗り心地も良いので、ロングライド向きとされています。
そして、ノーマルGANはシリーズの中で唯一2019モデルでも継続販売となり、カンパニョーロ・ケンタウル完成車が394,200円(税込)、シマノ・105完成車が334,800円(税込)になります。
なお、このモデルにディスクブレーキを搭載したのが、【GAN DISK】となります。
ブログから分かるピナレロ・GANの強み
最後に2019年も継続販売となるので、ピナレロ・GAN(ノーマルグレード)がこれまでにどんな評価をされてきているかをまとめます。
前項でお話ししたロングライド向きという評価は、ブログやマスコミの記事でも本当に多いですが、「上れるエアロ」という趣の表現もよく目にします。
エアロロードは一般的に重量が他のモデルに比べ重く、車体も硬めなので、重力に逆らって進む上り坂は本来は不向きで苦手分野です。
しかし、GANは適度な剛性と車体を左右に振りやすいハンドリングの安定感、そして、勾配がきつくなってからもうひと踏ん張りするタメがありますので、上りを苦にしないのです。
登坂競技であるヒルクライムを本格的に目指すほどの適性は微妙ですが、ツーリングなどで山に入っても苦にならないというレベルです。
また、2019モデルは発表会の模様を紹介しているマスコミのブログで、ボディカラーが絶賛されています。
2018モデルまでは、黒を基調としたカラーが多かったのですが、2019モデルは「ダークネイビー(シャイニー)」「レッド」が加わりました。
特にダークネイビーはとてもきれいに発色されており、非常に映える色になっています。
ラインナップの縮小に負けないだけの存在感がある!
今回は、ピナレロのGANについてお話ししました。
4つのモデルと多くの機種を設けて、華々しいデビューを飾り、まんべんなく好調な売れ行きを示してきました。
フラッグシップの変更より、2019モデルでは縮小を余儀なくされましたが、残ったノーマルグレードのレベルの高さを考えれば、2019年も注目の一台に変わりはありません。