ピナレロと言えば「DOGMA(ドグマ)」と言えるほど、ドグマはすっかりフラッグシップモデルとして定着しました。
2018年までツール・ド・フランスを4連覇、近7年で6回の個人総合優勝は、全てドグマに乗ったライダーが成し遂げました。
そのため、憧れている方も多いと思いますが、いかんせん高額なのが大きな問題です。
そこで少し視点を変え、「中古品に注目してみるのはどうでしょう?」、というのが今回のお話です。
中古市場に並ぶ可能性もあるピナレロ・ドグマ①マグネシウムフレーム
今回は中古品がテーマとなりますので、まず始めにドグマの歴史を振り返っておきましょう。
初代ドグマは2003年に「マグネシウム合金」という、どのメーカー、ブランドもフレームに採用してこなかった素材でデビューします。
ドグマはすぐにレースで結果を出し、その年にアレッサンドロ・ペタッキが3大ツールで区間合計15勝を挙げます。
この時期はフルカーボン全盛期を控え、アルミやチタンなど金属フレームが最後の輝きを求めていた時代でもあり、世界に衝撃を与えたのは言うまでもありません。
2006年には最新の「ONDA FPX」フォークをまとった「DOGMA FPX」に乗ったオスカル・ペレイロがツール・ド・フランス(以下ツール)を優勝、確固たる地位を確立します。
その後時代はカーボンフレームとなりますが、ピナレロはトップモデルのドグマでは無く、準ずるグレードのPARIS(パリ)やPRINCE(プリンス)からフルカーボン化に着手します。
なぜトップグレードのドグマからではないのかについては、上記のDOGMA FPXがツールを制したばかりであるため、あえて手を加えカーボン化する必要はないと考えたのではと、当時のサイクルマスコミは分析していたようです。
2008年にフルカーボン化されたプリンスはフラッグシップモデルとなり、アレハンドロ・バルベルデの大活躍や、バイクオブザイヤーを2年連続で獲得したこともあり、ついにピナレロにもカーボン化の波が押し寄せてきます。
中古市場に並ぶ可能性もあるピナレロ・ドグマ②カーボンフレーム
現在も中古品市場に以前のモデルが並んでいる可能性もありますので、ピナレロ・ドグマの歴史を振り返っていきます。
マグネシウムフレームへのこだわりを持ち続けたドグマですが、2010年ついにフルカーボン化を果たします。
「DOGMA 60.1」という名称となったこのカーボン化には、現在ピナレロの基軸になっている素材とデザインが与えられました。
今も変わらぬパートナーシップを築く日本の大手繊維メーカー「東レ」から、「60HM1K」という超高弾性の素材を提供されます。
また、ドライブ側と非ドライブ側の設計を変え、それぞれを最適化するという左右非対称の「アシンメトリックデザイン」も、世界で初めて採用された技術です。
前出しましたバルベルデを始め、当時バイクの供給を行っていた、チーム・モビスターやチーム・スカイの選手がドグマ60.1で次々と勝利を重ね、「カーボンでも強いピナレロ」というイメージを植え付けていきます。
2012年には空力性能を高めた「DOGMA 2」、さらに2013年には最新素材「65HM1K」を採用、電動式変速にも対応する「THINK 2」システムも搭載した、「DOGMA 65.1 THINK 2」に生まれ変わります。
この65.1に乗ったブラドレー・ウィギンズの2012年の総合優勝以来、ツールでは2018年まで近7年で6回の個人総合優勝をドグマに乗った選手が飾ることになります。
ピナレロ・ドグマは新世代に突入!
ピナレロは現在新時代を迎えたと言われており、そのきっかけとなったのが先代のフラッグシップモデル「DOGMA F8」です。
マグネシウムフレームが第一世代、高弾性カーボンにアシンメトリックデザインを導入したのが第二世代とすると、第三世代のF8は「エアロロード」として、2014年にデビューとなりました。
ONDAフォークの形状も大幅に見直され、フォーククラウンとヘッドチューブの一体化をさらに進め、空力性能を高める仕様となりました。
その結果、先代の65.1と比較して、47%もの空気抵抗の低減、10%以上の剛性アップ、そして120gの軽量化に成功しました。
また、この数値に大きく関与したのが素材であり、東レが誇る最新鋭のカーボンファイバーである「T1100G」の独占供給を受ける運びになりました。
それまでの高弾性カーボンに比べ飛躍的に強度が上がり、それでいて相反する要素である弾性も確保するという、画期的かつ理想的な素材であり、現在もドグマにのみ採用されています。
そして、2017年TTバイクやトライアスロンの空力性能も取り入れたF8の進化系、「DOGMA F10」が登場し、現在まで圧倒的な存在感を示しています。
この辺りはモデルイヤーが新しめなので、中古市場にも出やすく比較的手に入りやすいと言えます。
ピナレロ・ドグマの中古品を手に入れる意味
ピナレロ・ドグマの歴史を振り返りましたが、2002年のデビュー以来、確認できた限りでは、マグネシウムフレームに3モデル、カーボンになってから現在まで5モデルが販売されてきました。
そして、そのほとんどがフレームセットであり、完成車は限定生産で出回っている程度ですので、数自体が少なくなります。
中古品は年数が経っているものも出品されており、完成車はフレーム以上に付属パーツに年季が入っています。
場合によってはコンポの変速段数が現行より1、2段少ないものや、BB(ボトムブラケット)の規格違いでクランクが交換できないなど、難しい部分もあります。
その点、フレームセットだけならそういった難しさは無いですし、純粋にフレームだけの査定なので、比較もしやすいです。
また、ピナレロは新陳代謝が激しく、次から次へとリニューアルされるので、古いモデルでもそれほどの年代落ち感がありません。
しかも、歴史をお伝えしたように現在は新世代に入っており、伝統様式を継承するモデルが少ないので、あえて伝統のモデルに乗るというのも筆者個人的にはおすすめしたいです。
ピナレロ・ドグマの中古品の状況①
それではここから、ピナレロ・ドグマの中古品を確認していきます。
なお、2018年10月時点の情報の中でネットショップにて、中古品として存在した情報を提供します。(価格は税込)
【F10 2018モデル 51.5サイズ(未使用品)】
定価:¥734,400→¥509,428
【F8 2016モデル 55サイズ】
定価:¥648,000→¥350,892
【DOGUMA 2 2012モデル シマノ・デュラエースDi2完成車 46サイズ】
定価:¥1,200,000→¥461,700
さすがに、マグネシウムフレームは確認することが出来ませんでしたが、在庫切れのものも併せますとかなり多くのモデルが出品されています。
中でも特筆ものなのは未使用品で、詳しい事情は分かりかねますが、正規販売店の展示品などが流れて「新古車」になったと推測します。
小さな傷などはあるようですが、それでも走行しているわけではありませんから、20万円以上の値引きはとても魅力的に感じます。
また、写真だけの確認ですが、2012モデルのDOGUMA 2も状態は良好で、付属コンポのデュラエースは一世代前(9000系)ですが、決定的な格落ち感はありません。
ピナレロ・ドグマの中古品の状況②
前項に引き続き、ピナレロ・ドグマのネットショップにあった中古品情報です。
【60.1 2010モデル Di2専用 51.5サイズ】
定価:¥615,000→¥289,440
【65.1 2013モデル シマノ・アルテグラDi2完成車 55サイズ】
定価:¥700,000(前オーナーがパーツ換装した代金込み)→¥366,120
こちらも残念ながらマグネシウムフレームは確認できませんでしたが、カーボンの初代モデル60.1が出品されています。
写真での確認ではありますが、2010年モデルにしては使用感も少なく、目立った傷もありませんので、価格も含め決して悪くない買い物になるかと思います。
65.1の方は、フレームにパーツが組み合わされた状態で買い取られたものでしょう。
シマノ・アルテグラにホイールがフルクラムのレーシング3なので、状態がよければこのままホビーレースに出場できるスペックです。
ドグマは旧モデルでも世代落ち感はない!
今回は、ピナレロ・ドグマの歴史を振り返り、その時代の機種を中古品市場で確認してきました。
中古品を見ても本文でもお伝えしたように世代落ち感はないですし、ビンテージと言える価格にもなっていないので、十分にねらい目ではあるかと思います。
特に手元に余剰パーツがある方は、フレームセットを考えてみてください。