ピナレロのロードバイクを時系列で見て頂くと分かると思いますが、ある時期を境に形状がガラリと一変しています。
その中で、伝統を引き継ぐという使命を託されている存在が「RAZHA(ラザ)」です。
今回はそのラザについて、インプレ評価や筆者の考えも交え、多角的に検証していきます。
ラザはピナレロの伝統を継承するモデル
ピナレロのロードバイクのフラッグシップモデルと言えば、今も昔も「DOGMA(ドグマ)」シリーズです。
そのドグマは、前作の「F8」が極端なエアロ形状にシフトしたため、新時代、新世代が到来したという評価を受けています。
現役のF10と前作のF8でツール・ド・フランスを4連覇したことからも、このエアロ路線は今後も続いていくはずで、早速2019モデルでフルモデルチェンジを果たした「PRINCE(プリンス)」も、完全なエアロロードになりました。
プリンスは残存する機種の中では最も歴史が古いモデルですが、近年はドグマの技術を踏襲する路線が続いています。
今作も現在のフラッグシップF10の技術を受け継いでいますし、前作などは「ドグマ65.1」の金型をそのまま使用していました。
プリンスのことは余談ですが、このドグマ65.1がピナレロの伝統的な形状を留めるモデルであり、これに近いのが現役モデルでは「ラザ」だけになります。
そのため、昔からのピナレロファンはラザにその面影を見ていることは、インプレ情報などで分かりますし、コアなファンから支持を集める存在です。
ピナレロ・ラザのインプレ評価~価格編
今回はピナレロのラザについて、価格、性能、デザイン、全体評価、これらについて検証していきます。
まずは価格についてですが、2019年モデルは262,440円(税込)、フルカーボンフレームの完成車では最低価格になります。
すなわち、ピナレロのカーボン車では価格だけの観点から見れば、エントリーグレードということになります。
では他メーカーの同グレード相当の機種とはどうなのか、インプレ情報で比較されることの多い機種をご紹介します。
【COLNAGO(コルナゴ)C-RS 105】
参考価格:¥291,600
【DE ROZA(デローザ)IDOL SHIMANO 105 仕様】
参考価格:¥378,000
【TREK(トレック)Émonda SL 5】
参考価格:¥240,840
ピナレロと並びイタリアメーカー御三家と言われる、コルナゴとデローザ、そしてロードバイク界の平均価格に近いトレックです。
3機種ともラザと同じメインコンポが105なので、価格評価の参考にはしやすいですが、ラザはクランクだけがダウングレード品なので、そこは踏まえなければなりません。
それでいきますと、フレームのグレードは企業秘密なところもあり何とも言えませんが、ラザはイタリアメーカーでは平均的、ロードバイク界全体からすると少し高いという位置付けと考えられます。
ピナレロ・ラザのインプレ評価~デザイン編
続いてラザの検証は、デザイン面に移ります。
冒頭からお伝えしている通り、今のピナレロはエアロ形状のロードバイクが多い中、ラザは完全エアロになる前の形状を保っています。
そして、デザイン面で最も評価が高いのは、ピナレロの象徴でもあるクネクネと曲げ加工が施されている「ONDA(オンダ)」のフロントフォークです。
現在の新世代と呼ばれるモデルのONDAフォークは、ストレートとまではいきませんが、割と緩いカーブで加工が少なくなっています。
一方ラザのフォークは、太もも付近が一旦太くなり曲げ加工で関節を表現、足首に向かって細くなっていく、まるで人間の脚を思わせるような複雑な形状です。
これはピナレロが独創的な発想で独自路線を歩むきっかけにもなった形状なので、非常にファンが多いのです。
また、ラザはインプレ評価で昔からボディカラーが高評価を受けています。
特に現在は「イタリアンザフィーラブルー」という、2016年のリオオリンピックで金メダルを獲得した機体をモチーフにしたカラーが人気です。
ピナレロ・ラザのインプレ評価~性能編
ピナレロ・ラザを検証していますが、続いては性能面のお話になります。
レーシングモデルにカテゴライズされていますし、先々代とはいえ、ドグマの思想は受け継いでいるので、パリッとした小気味良さやピーキーなところも少し残ってはいるようです。
ただし、ピナレロは重量が公表されていませんが、少なくとも軽さで勝負というタイプのバイクではないでしょう。
そして、インプレ評価では衝撃吸収性の高さや、ハンドル周りの剛性の高さからくるハンドリングの安定感が指摘されています。
また、ペダルを踏み込んでから瞬時に加速するような爆発力ではなく、少しタメてから伸びるという感覚も多くのインプレ情報に見られます。
さらには、これは筆者も感じたことですが、硬いフレームはペダルを踏み込んだ時に脚が跳ね返されるような感覚になるのですが、ラザは逆に後押ししてくれるような優しさがあります。
こういった特徴があることから、ラザはツーリングや通勤などのロングライドや、ダイエットやエクササイズ目的に使用されていることも多いです。
ピナレロ・ラザのインプレ評価~性能編続き
ピナレロ・ラザの性能を語る上で欠かせないのは、シマノ・新105の存在もあります。
新105は2019年モデルからの採用なので、まだインプレ情報は少ないですが、既にいくつかの評価は届いています。
中でもラザにとって有益と思えるのは、STIレバーがコンパクトになり、ブレーキが掛けやすくなった点です。
手のひらにフィットさせることを重視しているので、ブラケットポジションからでもレバーに指が届きやすくなりました。
ロングライドでは終盤に握力が低下して、ブレーキレバーを引くのが難しくなることもありますので、これは大きな進化です。
また、変速機もトラブルが極力少なくなる仕様に改善られていますし、今までよりも軽いギアを持てる仕様にもなりました。
こういった仕様変更もありますので、ロングライドに適性を見せるラザとの相性は抜群と考えられます。
ピナレロの中でもコスパは一番高いか!
ここまでピナレロ・ラザを、インプレ評価などを参考に検証してきました。
ラザは2014年モデルで初登場して以来、ほとんど姿を変えることなく、2019年に6期目を迎えることになります。
モデルチェンジを頻繁に行い、新陳代謝の激しいピナレロの中で、ロングセラーになりつつある理由が、今回の検証で垣間見えた気がします。
また、ピナレロはコスパを売りにしているブランドではないですが、ラザはコスパが高いと言ってもよいと感じました。
伝統のデザインを継承するという、一本芯の通ったコンセプトが分かりやすいという点。
また、レーシングモデルでありながら、優しい味付けを加味することで様々な用途に対応できる点もコスパに大きく貢献しています。
そして、カラーやペインティングもひと工夫されており、イタリア空軍が使用する「国籍識別マーク」がペイントされているのも、ラザならではです。
これでいて、他のイタリアメーカーの同グレードに比べても価格が同等レベルなら、改めてコスパが高いと言わさせていただきます。
カーボン最廉価モデルだからといって侮ってはいけない
今回は、ピナレロのラザを色々な面から検証してみました。
筆者個人の好みも入りますが、性能やデザイン、コスパを考えても、かなり高いレベルでまとまっているロードバイクであると言えます。
また、ピナレロのレース色の濃さにハードルの高さを感じている方にも、乗って頂きたく思います。