MTBの流行とメリダ「ビッグセブン」の評価の関係に迫る

メリダのMTB「ビッグセブン」シリーズは、27.5インチホイールを採用したクロスカントリー向けモデルです。

27.5インチと聞くと、最新の規格を感じる方も多いと思いますが、流行の移り変わりが早いMTBの世界では「27.5インチ=最新」とは言い切れなくなり、ビッグセブンもラインナップを縮小しています。

ビッグセブンの評価には、どんな変化があったのでしょうか?

メリダのビッグセブンは素直なハンドリングが高評価

メリダのMTB「ビッグセブン」の特徴は、世界のトップカテゴリーでレースを戦う同社のノウハウが存分に投入されたジオメトリーから来る「乗りやすさ」にあると言えるでしょう。

メリダは男女のどちらでもXC(クロスカントリー)競技のチームを持ち、世界チャンピオンに輝いたこともあるほどの、伝統ある強豪です。

選手は乗りにくいMTBを乗りこなしているわけではなく、乗りやすいMTBで最高のパフォーマンスを発揮しています。

27.5インチホイールを採用するビッグセブンも、その乗りやすさが高く評価されているのです。

そしてその乗りやすさは、レース向けの上位のモデルだけではなく、街乗り向けのエントリーモデルにもしっかり受け継がれています。

メリダは27.5インチと29erの「両にらみ」戦略だった

ビッグセブンの詳細の前に、MTBのXCレース向けモデルにおけるホイールサイズの流行が、どのように移り変わってきているのかをご紹介しましょう。

MTBと言えばジャンルを問わず26インチホイールである時代が長く続きましたが、2001年にゲイリー・フィッシャーが29インチホイール、つまり29er(ツーナイナー)を発表します。

当初は見向きもされなかった29erですが、ホイール径が大きいことによるスピードに乗った時の速さはピカイチで、2012年頃にはXCレースのスタンダードまでなりました。

しかし、29erは小柄な選手には「大きすぎる」という欠点もあり、26インチと29erの中間的なものとして、27.5インチが登場しました。

27.5インチは扱いやすさが評価され、2015年頃にはこちらが主流になるかと思われたのです。

実際、多くのMTBメーカーから27.5インチのMTBが登場し、29erをやめるメーカーもありました。

そしてこの間、メリダはどうしたかというと、26インチこそラインナップを大幅に縮小しましたが、29erも27.5インチも、どちらもトップグレードからエントリーグレードまで揃えるという「両にらみ」戦略を取りました。

メリダ2019モデルの主力はビッグセブンからビッグナインへ

メリダは、XC向けMTBの世界で29erと27.5インチが共存し、やや27.5インチが優勢となる時代において、どちらのホイールサイズもラインナップしました。

29erは「ビッグナイン」、そして27.5インチが「ビッグセブン」というわけです。

体格や好みに応じて豊富な選択肢が用意されていることから、メリダのこの取り組みは良心的であるとして、大きく評価されました。

ところが2016年頃から、再びXCレース向けMTBの流行が大きく動きます。

レースの運営者が、より「面白い」レースにするために、コース設定をスピードが出てジャンプも多いものへと変えていったのです。

29erはもともと高速レースが得意ですから、この変革は29erに有利となり、あっという間に「これからのXCレースは29erでないと勝てない」と「もう27.5インチは終わりだ」とまで言われたのです。

この流れは、世界的なものでした。

そして、メリダもついに2019年モデルでは29erのビッグナインに軸足を置き、ビッグセブンは入門〜中級グレードだけが残ることになりました。

2019年モデルにおいて、ビッグナインの最上位モデルは90万円というプライスです。

一方、ビッグセブンの最上位モデルは13万円ほど(eBikeを除く)と、価格設定からもビッグナインとビッグセブンの位置付けの違いを見て取ることができます。

メリダ ビッグセブンの絶対的な評価が劣るわけではない

XCレースの流行が急激に変わり、29erが再び主流となったからといって、「27.5インチはダメだ」ということではありません。

周りの状況が変化したからといって、そのものの絶対的な性能や評価が変化するわけではないのです。

27.5インチホイールのMTBは、29erでは大きすぎて持て余してしまうような方にとって、ジャストサイズであることには変わりがありません。

とくにメリダのビッグセブンのように扱いやすさを身上としているモデルは、里山のトレイルや河川敷のオフロードを楽しむにはぴったりの存在です。

そして、アマチュアがMTBのイベントライドやホビーレースを楽しむ上では、まったく問題がないどころか、十分に高性能で、楽しく走ることができます。

メリダ ビッグセブンの評価軸はXCからトレイルへ

メリダのMTBを購入したいと考えていて、その目的が日本のXCレースを「上位のカテゴリーで戦いたい」という方であれば、29erでは大きすぎるという方以外は、迷わず29erの「ビッグナイン」を選択してください。

2019年モデルが発表された2018年秋の時点で、ビッグセブンのXCレースバイクとしての役割は、いったん終わったと言えます。

XCレースがスピードアップしている以上、どうしても29erと27.5インチとでは、27.5インチが不利であることは覆せません。

ビッグセブンはその扱いやすさを活かし、今後はXCレースバイクではなく、いわゆる「トレイルバイク」として評価されていくことになるでしょう。

トレイルバイクという視点でビッグセブンを見ても、十分に高評価を与えることができます。

それだけ、ビッグセブンは基本設計に優れ、万能性があるのです。

初めてのMTBを選ぶ上で、「XCレースに出たい」という明確な目的があるのではなく「オフロードで遊んでみたい」とお考えの方であれば、2019年モデルのビッグセブンはおすすめです。

ビッグセブンにはなんと電動アシストモデルもある

2019年モデルのメリダ「ビッグセブン」シリーズの中で、もっともスペックが充実しているのが「ビッグセブン500」です。

メリダが得意とし評価も高い軽量アルミフレームに、ロックアウト機構付きのサスペンションと、リア10速のシマノ・デオーレを搭載し、オフロードを楽しむには十分なスペックです。

ビッグセブン500の希望小売価格は129,900円(税別)で、ふだんロードバイクに乗っている方がセカンドバイクとして購入するにも、手が届きやすいでしょう。

一方、もっとも安価なのは「ビッグセブン20-MD」で、こちらはギアクランクにガードが装着され、街乗りを意識したモデルです。

太いタイヤで乗り心地が良く、フロントサスペンションも付いていますから「タフなクロスバイク」としてもおすすめです。

さらに2019年モデルではなんと、電動アシストのeBike「イービッグセブン600」も登場しています。

急な登りはアシスト力を活かして難なくこなし、下りでは27.5インチMTBならではの扱いやすさで安心して乗ることができます。

イービッグセブン600はXCレースのためのMTBではなく、オフロードを楽しむためのものですから、27.5インチホイールこそがベストマッチなのです。

すぐに27.5インチが消えることはないので安心しよう

流行の移り変わりを絡めつつ、メリダのビッグセブンについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

流行が変わったとしても、ビッグセブンが扱いやすいMTBであることは不変でしょう。

XC以外の用途も含め、27.5インチは「メジャーであり続ける」と言われているので、安心して選んでいただいて大丈夫です。