今回はアンカーのロードバイク「RS6」を取り上げます。
世界的に再興ムードが高まっているアルミフレームであり、カーボン上位モデルの技術を取り入れています。
今回は、他メーカーのライバル機なども取り上げ、比較しながらご紹介していきます。
アンカーのロードバイクの種類
アンカーは、日本が世界に誇るタイヤメーカー「ブリヂストン」の自転車部門が独立して設立された、「ブリヂストンサイクル」の競技用バイクブランドです。
日本屈指のサイクリングチーム「チーム・ブリヂストンサイクル」に機材を提供していることもあり、ロードバイクを始め、MTB、シクロクロス、トラックレーサーなど、幅広く取り扱っています。
ロードバイクは用途別にカテゴリー分けがされており、「RS」がレースモデル、「RL」がロングライドモデルです。
また、クロモリ素材のフレームも「RNC」としてシリーズ化されています。
RSとRLにはカーボンフレームとアルミフレームがあり、9と8がカーボン、6と3がアルミになり、数字が大きい方が上位グレードとなります。
したがって、RS6はレースモデルで、アルミフレームの上位グレードということになります。
製品は、フレームセット(フレーム+フロントフォーク)と、3種類の完成車が用意されています。
アンカーのロードバイクは日本人に向けて作られている
アンカーは日本のメーカーが手掛けるブランドなので、日本人に合わせたもの作りをしています。
日本人は身長比で腕が短いので、欧米人に合わせたサイズのロードバイクですと、ハンドルからサドルまでの距離が遠くなる傾向にあります。
そうなると前傾姿勢が深くなりますので、無理な体勢になりがちですし、胸が締まるので呼吸が苦しくなり長い距離が走りにくくなります。
その辺りを考慮してアンカーのロードバイクは、フレーム上端のトップチューブが少し短めに作られています。
また、脚力でもペダリングの技術も関係はしてきますが、ナチュラルなパワーでは欧米人にはかないません。
そのため、アンカーはフレームも剛性を控え少し柔らかめにしてありますので、RS6もレースモデルにありがちな硬く、当たりの強いものにはなっていません。
ただ、柔らかめのフレームになるとパワーをロスするので、ペダルを漕いだ力が分散されてストレートに動力になりにくいという欠点もあります。
しかし、そこにアンカーが誇る「プロフォーマット」の技術が活かされることで、前に進む力も犠牲になっていません。
アンカー・RS6はプロフォーマットに基づいて開発された
前項の最後にお伝えした「プロフォーマット」は、ブリヂストン本社とアンカーが共同で開発したロードバイクの解析技術です。
「推進力最大化解析技術」とも呼ばれますので、文字通り推進力(前に進む力)を最大にするということです。
RSシリーズはハイエンドモデルのR9がチームに提供されているように、パワーロスをしないことが最大限に考えられています。
ペダルを踏んだ力はクランクの付け根にあるBB(ボトムブラケット)に伝わりますが、ここはチューブが集合する場所なので、力が加わると位置が変化してしまいます。
その結果として進む方向に対して後輪がずれるので、パワーロスを起こすことになります。
しかし、RSシリーズはこの変化を単にBB付近を強化して剛性を高めるのではなく、フレームを前後に分けた場合、前側を強く硬く、後ろ側はしなりを持たせて柔らかめにすることで、BBの位置変化を最小限に抑えています。
RS6はこれをアルミフレームで実現させるために、アルミの良さである反応の高さを残しながら、適度にしなりを持たせて後輪のずれを防いでいます。
2019モデルは「RS6 EQUIPE」に注目
アンカーのロードバイクはシマノのコンポとの調和を考え、お互いが最高のパフォーマンスを発揮できるようになっています。
そのためもあり、RS6のような中級グレードですとクランクやブレーキなどがサードパーティのメーカー製になったり、シマノでもグレードダウン品になることも少なくありません。
しかし、アンカーは一部下位グレードの機種を除き、そのグレードのフルコンポになりますので、完成車の信頼度はとても高いと言えます。
RS6には105搭載の「EQUIPE」、ティアグラの「SPORT」、ソラの「EX」が用意されており、EXは一部別メーカーのコンポがミックスしています。
中でも2019モデルは105がリニューアルをしますので、EQUIPEに注目が集まっています。
RS6のようなレースモデルには、クランクアームが太くなり剛性が増したのが大きいですね。
元々105以上のグレードのクランクは「ホロ―テック」という中空アームで剛性は高いのですが、さらに強度が増したことで、ペダルを踏んだ分だけ前に進んでくれる感覚が快適です。
また、多くの方がSTIレバーの操作性の向上を評価しています。
握った時のフィット感を重視して全体的にコンパクトになったことが、ブラケットポジションからのブレーキングのしやすさに繋がっています。
アンカー・RS6のインプレ情報
アンカーのRS6のインプレ情報を確認していますと、アンカー独自の「柔らかさ」で賛否両論に分かれています。
RS6はプロのレーサーも使用するRS9をベースにしていますので、形状やコンセプトは先述した通りスピードや推進力重視です。
しかし、素材が柔らかめで「たわみ」や「しなり」があるので乗り心地はよいですが、アルミらしいシャキッと感に物足りなさがあるというインプレ評価も見られます。
これは好みの問題かとも思いますが、筆者ももう少し硬めのロードバイクを好むので、柔らかいという印象を受けました。
上記した通り好みなので、硬いフレームが適しているということではありません。
しかも、完成車のホイールはシマノ製で、シマノは全体的にリムが柔らかいので、余計にフレームの柔軟性が際立ってしまうこともあります。
そのため、試乗などで柔らかさが気になるようであれば、「セレクトパーツ」という付属品を標準装備から任意で他のパーツに交換できるサービスがありますので、ホイールを交換することも考えてみてください。
アンカー・RS6のライバルロードバイク
ここまで、アンカーのRS6についてお話ししてきましたが、比較対象も必要かと思いますので、筆者の独断ですが、他メーカーのライバルと目されるアルミロードバイクをご紹介します。
なお「RS6 EQUIPE」と同じ、シマノ・105搭載の機種を選んであります。
【MERIDA(メリダ)SCULTURA 700】
台湾を代表する自転車メーカー、「メリダ」のアルミロードです。
プロが使用する上位モデルから形状やコンセプトを引き継いでいる点、105のフルコンポであることなど、RS6と共通点が多いモデルです。
ただ、メリダは近年ロードレースに力を注ぎ、世界のビッグレースでも実績を残すようになってきています。
その分もの作りもレース寄りなので、少しレーシー感が強いかもしれません。
【cannondale(キャノンデール)CAAD12 105】
アルミにこだわりを持ち続けるアメリカのブランドで、CAADは「カーボンキラー」という異名がある程の、軽量で剛性が高いフレームです。
フレーム剛性においては、アンカーとは対極の立場と言えるので、アルミらしいシャキッとした乗り心地を求めるならこちらでしょう。
【KhodaaBloom(コーダーブルーム)FARNA SL-105】
コーダブルームは、アンカーと同じく日本メーカー「ホダカ」が手掛ける、スポーツバイクブランドです。
そのため、日本人向けのもの作りというコンセプトはアンカーと同じで、体型や柔軟性に考慮した作りになっています。
ただし、こちらのモデルはフレーム素材がRS6に比べ軽量で剛性感の高いアルミなので、軽快な反応は見せますが、反面硬めな乗り心地ではあります。
まったり系レースモデル
今回は、アンカーのアルミロードRS6についてお話ししました。
プロが使用するモデルの遺伝子を持ちながら、柔らかみのある素材で製造しているという複雑さが面白くもある機種です。
そのため、短時間で一気に加速するような乗り方ではなく、じっくりと加速しながら走行感やスピードの伸びを楽しむタイプでしょう。