2019年のロードバイクの完成車は、シマノ・105を搭載しているモデルが注目になります。
と言うのも、105が2018年R7000系にモデルチェンジされ、2019モデルの完成車から本格的に搭載されることになるためです。
既に発表されたピナレロの2019モデルにも、新型105が搭載されることが決まっています。
そこで今回は、105を搭載するピナレロの2019年モデルに注目します。
シマノのロードバイク用コンポとピナレロの完成車
まずは、シマノのロードバイク用コンポを、ピナレロの完成車に搭載されている機種と併せてまとめておきましょう。
ハイエンドモデルの「デュラエース」はプロレースにも使われる物で、シマノの中では性能も価格も頭一ついや、頭二つ抜けた別格の存在です。
一式の価格では、電動式変速のDi2で約30万円、機械式変速でも20万円はしますので、搭載できる完成車の価格もおのずと跳ね上がります。
ピナレロの2019年モデルでは「PRINCE FX」が唯一デュラエースのDi2を搭載していますが、価格は約100万円になります。
デュラエースの技術を継承しながら、素材のコストを抑えて手の出しやすい価格にしたのが、セカンドグレードの「アルテグラ」です。
アルテグラにも変速に電動式、機械式がありますが、いずれも価格はデュラエースの半額以下になります。
ピナレロの完成車では「PRINCE」がアルテグラ搭載ですが、約47万円になります。
これに次ぐのが今回の主役である「105」で、シマノはここまでリアの変速段数が11速です。
105については、のちほど詳しくお話しします。
あとは、リア10速の「ティアグラ」、リア9速「ソラ」、リア8速「クラリス」と続き、10万円台から10万円を切る完成車に搭載されることが多いコンポになります。
シマノのコンポはグレードが高くなるにつれてリアの変速数が上がり、価格も上がる、そして軽量になります。
シマノ・105とはどんなコンポ?
前項ではシマノのロードバイク用コンポについて概要をお話ししましたが、ここでは今回の主役「105」をご紹介します。
105はデュラエース、アルテグラに次ぐサードグレードで、リアの変速数は11速、一式の価格は6.5万円というところです(R7000もほぼ変わりません)。
105は上位モデルのデュラエースやアルテグラの技術を受け継いだ上でこの価格なので、中位~エントリーモデルまで幅広い完成車のグレードに対応ができます。
機能的にも105はシマノの中でも「分岐点」という言われ方をしますが、105よりも下のグレードとは明らかに一線を画す部分があります。
一番顕著な例ですと、クランクのアーム部分を空洞にした「ホロ―テック」という技術は、105から上のグレードにしか導入されていません。
105は簡単に言うと、どのパーツも高いレベルでまとまっていて、欠点が極めて少ない、しかし突き抜けてはいないので、この価格で収まるというイメージです。
プロレースで使用されることはありませんが、ホビーレースであれば十分に機能しますし、レース志向の薄い筆者などは105に不満を持ったことは一度もありません。
セットの価格が安価なので当然ですが、単品で交換していく場合もコストが抑えられているので、カスタムにも多く使用されます。
ちなみに、ピナレロの完成車にも、2019年は3機種に新105の搭載が決まっています。
新シマノ・105「R7000」の変更点①
前項では、シマノ・105についてお話ししましたが、既にお伝えしているように105はR7000にモデルチェンジされていますので、ここでは旧モデルからの変更点をお伝えします。
まずはSTIレバーが、前年にモデルチェンジされたアルテグラ同様、ブレーキレバーには指が掛けやすく、シフターは大きめになり操作性が上がっています。
レースモデルが多いピナレロの完成車には、この仕様になったことの恩恵が大きいように感じます。
次に変速機ですが、フロントディレイラーはワイヤーをクランプするための受けがなくなりましたので、背が低くなりすっきりとしたデザインになりました。
また、ディレイラー自身にワイヤーのテンションを調整する機能が付きました。
そして、リアディレイラーも上位モデルを受け継いでおり、横への張り出しが少ない「シャドー形状」になりましたので、障害物への接触や、落車時のトラブルが防止できます。
さらに、SS(ショートケージ)はロー30Tまで、GS(ロングケージ)は34Tまで対応するようになり、より軽いギア比に対応しています。
新シマノ・105「R7000」の変更点②
前項に引き続き、シマノの新105を確認していきます。
続いてはブレーキ、ピナレロの2019モデルの完成車には搭載されませんが、ディスクブレーキが加わったのが大きなトピックです。
105をメインコンポとしている完成車でディスクブレーキモデルとなると、今まではサードパーティ製やシマノでもグレードダウンしていましたので、これはとても大きいことです。
キャリパーブレーキはマイナーチェンジされたばかりでしたので、前モデルの「SLR-EV」システムが引き継がれています。
そして、クランクですが、これは大きな改善点が見られます。
クランクアームが太くなり、さらに力強く剛性感が増したように感じます。
また、上位モデルに導入されている、チェーンリングも中空構造にする「ホローグライド」の導入こそ見送られましたが、裏側の肉抜きが大きくなり、前モデルに比べ40gほど軽量化されています。
力強さと軽量化は相反するベクトルかと思いますが、それを同時にやってのけるのがさすがシマノというところです。
シマノ・新型105を採用するピナレロのロードバイク①
それでは、ピナレロの2019年モデルの中から、新・105を搭載するロードバイクをご紹介していきます。
【GAN(ガン)】
参考価格:¥321,840
ガンはエアロロードのセカンドグレードとして、2019年はこの1機種のみとなります。
コンポは105の他に、カンパニョーロの「Centaur(ケンタウル)」も選択可能ですが、105よりも10万円近く割高になります。
ピナレロのフラッグシップモデルである、「ドグマ」の前モデル「F8」の技術を受け継ぎながら、カーボンの素材に少し違う味付けをして扱いやすさも加味されたモデルです。
これに新型105が加わるのは、先述通りディレイラ―は空気抵抗が少なくなる仕様になりますし、クランクは剛性感が増しましたので、エアロロードの反応にしっかりと応えてくれる強さがあります。
このままレースに出ても十分に上位を狙える仕様になっています。
そして、レースを視野に入れている方でもドグマはさすがに手が出やすい価格とは言えませんので、こちらを選択するという手もあるでしょう。
シマノ・新型105を採用するピナレロのロードバイク②
前項に引き続き、新・105を搭載するピナレロのロードバイクをご紹介します。
【RAZHA(ラザ)】
参考価格:¥262,440
ドグマを始めエアロ形状の骨太バイクが多いピナレロにあって、比較的スリムなスタイルのモデルです。
ラザは、ツール・ド・フランスを制した「ドグマ65.1」をルーツとする、最新の左右非対称デザインを持ちます。
このあとご紹介させていただくアングリルと並び、ピナレロのカーボン車では最安値です。
しかし、そんなことは全く感じさせない、本格的なレーシングバイクに仕上がっています。
新・105との相性ですが、ヘッドセットが太く大きいので、105の3点ベアリング方式である「SLR-EV」システムのキャリパーブレーキの強さを受け止め、安定した制動力が期待できます。
【ANGLIRU(アングリル)】
参考価格:¥262,440
大半がレーシングモデルのピナレロにおいて、貴重なロングライド(ピナレロではGRANFONDOと表記)向きのバイクです。
上位モデルである「DOGMA K」の設計を継承し、ホビーユーザー向けの扱いやすさがあるカーボン素材で作られた機種になります。
シートステイが大きく弓なり状にしなる「センチュリーライド」のため、抜群の衝撃吸収性があり、ロングライドも快適にこなせます。
ただし、一点だけ了承しておかなくてはならないのは、ラザもアングリルも新105がメインコンポですが、クランクのみ105ではないダウングレード品であることです。
残念ではありますが、それを理由にラザやアングリルを選ばないというのももったいないので、のちのカスタムの課題があると考えておくくらいがよいでしょう。
2019モデルは新105搭載車に注目
今回は2018年モデルチェンジを行ったシマノのロードバイク用コンポ「105」のリニューアルポイントと、新105が搭載されるピナレロのロードバイクをご紹介しました。
105は機能性がアップしたのも喜ばしいのですが、すっきりスリムな作りになったことも、空力性能を重視する昨今のロードバイク事情を的確にとらえており、さすがシマノというところです。
ピナレロは全体的に高級なイメージのあるブランドですが、105を搭載したモデルは、コスパも意識したホビーユーザー向けにとって良品です。