スポーツバイクの専門店で、壁の上部の方に高級感を漂わせながら展示されているメーカーのロードバイクを見掛けるかと思いますが、イタリアのピナレロなどはその代表格です。
「ツール・ド・フランス」や「ブエルタ・ア・エスパーニャ」など、世界のビッグレースで圧倒的な強さを誇ります。
その分、ハイエンドモデルは一般ユーザーにとっては価格が高く、ハードルの高さを感じるブランドでもあります。
そこで今回は、ピナレロの2019年モデルのロードバイクの価格を調べてみましたので、ご紹介していきます。
ピナレロは老舗が多いイタリアンブランドの一員
ロードレースの中心と言えばヨーロッパですが、中でもイタリアには老舗と言われるようなスポーツバイクメーカーが多数あります。
日本にも多くのファンを持つチェレステカラーの「ビアンキ」、自社工場でチューブ1本からカーボンフレームを作成する「コルナゴ」。
トレードマークのハートをロゴにあしらった「デローザ」、自転車の教科書とまで言われた名車スーパーコルサを持つ「チネリ」、そして今回の主役「ピナレロ」など、錚々たるメーカー、ブランドが立ち並んでいます。
ビアンキは少し路線が違う気もしますが、その他のメーカーは割と高価格帯のバイクに強みがあり、高級なイメージがあります。
そして、ピナレロももちろんそうですが、世界最高峰の「ワールドチーム」に機材を提供するブランドも多いです。
ピナレロは冒頭でもお話ししましたが、近30年くらいの期間では最もレースに勝っているブランドと言っても過言ではありません。
カーボンフレームに乗り遅れかけた時期もありましたが、今もフラッグシップモデルとして君臨する「ドグマ」の開発により一気に巻き返し、ツール・ド・フランスでは2018年までの近7年で6回の個人総合優勝(マイヨ・ジョーヌ)を果たしています。
ロードバイクメーカー(ブランド)の価格帯の違い
今回はピナレロのロードバイクの価格についてお話ししますが、メーカーやブランドによってラインナップの揃え方に大きな違いがあります。
上はプロ仕様で100万円を超えるようなものから、下は10万円を切るものまで幅広く扱うメーカー。
これは、ユーザーの層がとても広くなるので、販売台数が多いブランドでないとできないことです。
前項で名前を挙げたメーカーではビアンキがこれに当たり、世界の有名どころでは、「ジャイアント」、「トレック」、「スペシャライズド」などが該当します。
一方、10万円台の低価格帯もゼロではないですが、ミドルレンジの20万円台後半からが主力になってくるメーカー、ブランド。
ここに入るのが、ピナレロやコルナゴ、新進気鋭の中ではドイツの「キャニオン」などもこの部類です。
そして極めつけは、ほぼ高額なものしか扱わないメーカーです。
こういったメーカーはカーボン専業というところが多く、カーボンのはしりでもある「ルック」や「タイム」、新しいところではカナダの「サーヴェロ」などもこの部類でしょうか。
ピナレロのロードバイクの価格①上位モデル
それではここから、ピナレロのロードバイクの価格に注目していきましょう。
まずは、2019年モデルをフレームセットベースで価格帯別に分類しますが、完成車のみのものもありますのでご了承ください。
★70~90万円
・DOGMA(ドグマ) F10 Xlight
・DOGMA F10
・DOGMA F10 DISK
・DOGMA F101 Giro d’Italia Edition
・DOGMA F10 Giro d’Italia Maglia Rosa Edition
・DOGMA K10
・DOGMA K10-S DISK
ピナレロの看板ロードバイクである「ドグマ」シリーズが、この価格帯に入ります。
全てフレームセットですので、完成形にしたら一体いくらになるのか末恐ろしいゾーンです。
ピナレロのロードバイクはレースモデルの「RACING」と、長距離走行向きの「GRANFONDO」に分類されています。
ドグマでいきますと、F10がレースモデル、K10が長距離向きとなります。
基本はこのモデルで、そこにディスクブレーキを搭載したり、「ジロ・デ・イタリア」のスペシャルカラーモデルもあるということになります。
ピナレロのロードバイクの価格②ミドルグレード
前項に引き続き、ピナレロのロードバイクを価格帯別にご紹介します。
★40~50万円
・PRINCE(プリンス) FX
2019年がモデルチェンジイヤーとなる「プリンス」のハイエンドモデルです。
ドグマF10の技術を継承しながら、優しい味付けも加え、レース以外の用途でも使用できるオールラウンダーに仕上げています。
★30~40万円
・GAN(ガン)*完成車
ドグマF10の前身「F8」のセカンドグレード的位置付けだったエアロロードで、2019年モデルで大幅縮小されたシリーズです。
しかし、ミドルグレードのエアロロードはこれだけですので、残存している意味は大きいかと思います。
★20~30万円
・PRINCE
・PRINCE DISK
・RAZHA(ラザ)*完成車
・ANGLIRU(アングリル)*完成車
プリンスの2機種はフレームセットなので、合わせるパーツによっては中々の高級車になります。
その意味ではこの価格帯でカーボンフレームの完成車となる、「ラザ(レース)」と「アングリル(長距離)」が、筆者個人的にはねらい目かと思います。
ピナレロのロードバイクの価格③アルミフレーム車
ここまではピナレロのカーボンフレーム車をご紹介してきましたが、最後はアルミフレームになります。
★10万円台
・PRIMA(プリマ)
2019年モデルでは、唯一のアルミフレームになります。
ピナレロの象徴である波打つフロントフォーク「ONDA(オンダ)」。
そして、1本のチューブ内で厚みに変化を付けることで剛性と軽量化のバランスを図る、「トリプルバテッド」などの技術を盛りこんだ高性能なアルミ車です。
しかし、ピナレロが世界で初めて行ったとされる、シートステイにのみカーボンを使用する「カーボンバック」という技術は導入されていません。
2018年モデルまでは「ネオール」というカーボンバックがありましたが、2019年のラインナップには入っておらず、カーボンバックが消滅しました。
ピナレロでも上記のようにフルカーボンの完成車が20万円台の価格で購入できますし、他メーカーでは10万円台のカーボン車も少なくありません。
そのため、カーボンバックの意義が薄れ、消滅してしまったということでしょうか。
ピナレロの価格帯から見る戦略
今回は、ピナレロのロードバイクの価格をご紹介してきました。
価格だけの話ではないですが、明らかにプロ仕様の「ドグマ」を差別化しているのがお分かり頂けるかと思います。
ハイエンドモデル「ドグマF10」と、セカンドグレード「プリンス」の価格差は約30万円以上あります。
ただし、ドグマは2018年もツール・ド・フランスを制した現役バリバリのレースモデルですから、差別化されていても当然と言えば当然です。
むしろ、プリンスがモデルチェンジされ機種が増加し、ミドルグレードの価格帯に厚みが増したのが、喜ばしいことかと思います。
ドグマが君臨しているので高級なイメージはキープしていますが、徐々に手の出しやすい価格帯にも攻め入ってきたのが、ピナレロの2019年の価格的な戦略かもしれません。
ピナレロの手のひらの上で転がされてみる手もあり
今回はピナレロのロードバイクについて、価格をメインに検証してみました。
ハイエンドモデル「ドグマ」の存在感は絶大ですが、ミドルグレードの充実も見逃せません。
ツール・ド・フランスを勝つ遺伝子を引き継いだモデルを、手の出しやすい価格で提供するという戦略に、素直に乗っかってみる手もありかと思います。