2018年のツール・ド・フランスにおいて、メリダがスポンサーを務めるワールドチーム「バーレーン・メリダ」がチーム総合2位に入りました。
そのチームのメインが「SCULTURA(スクルトゥーラ)」であり、2018シーズンの同じデザインのレプリカモデルがあるのが、スクルトゥーラ4000になります。
2019モデルはコンポにも注目が集まることもあり、商業的にも中心になりそうです。
今回はそんなスクルトゥーラ4000をご紹介します。
メリダが「バーレーン・メリダ」に参加するまでの経緯
今回はメリダ・スクルトゥーラ4000をご紹介しますが、まずはメリダとロードレースの関わりについてお伝えしておきます。
一般市場において台湾メーカーでは、ジャイアントと勢力を二分する存在であるメリダですが、近年はロードレースに並々ならぬ意欲を燃やしています。
2013年、当時の「ランプレ・ISD」にセカンドスポンサーとして機材を提供することとなり、世界最高峰のロードレースツアー「UCIワールドツアー」に初参戦を果たします。
その際にチーム名も「ランプレ・メリダ」に変更され、メインに採用されたのがスクルトゥーラになります。
「ツール・ド・フランス」、「ジロ・デ・イタリア」、「ブエルタ・ア・エスパーニャ」という3大ツールの区間賞や、メリダの地元である台湾選手権などを制し、徐々に実績を積みあげていきます。
そして、2017年バーレーン王国の王子の発案で立ち上がったチームにスポンサーとして参加することとなり、「バーレーン・メリダプロサイクリングチーム(以下バーレーン・メリダ)」となりました。
初年度から所属選手が3大ツールで上位に食い込む活躍を見せ存在感をアピールし、2018年冒頭でもお伝えしたように、ツール・ド・フランスでチームが総合2位に食い込みました。
メリダのロードバイクの飛躍~ヨーロッパの香りとバーレーン・メリダ
前項でお伝えしたように、「バーレーン・メリダ」は今まさにロードレースの世界で飛躍を遂げようとしています。
メリダですが、商業的には同じ台湾メーカーのジャイアントに次ぐ世界第2位の出荷台数と言われており、既に世界的なメーカーでした。
ただし、これはMTBによるところが大きくロードバイクはまだまだ後発でした。
しかし、1990年代後半、ドイツの「センチュリオン」と提携したことで、自転車の設計部門をドイツに移管し、ロードバイクの本場ヨーロッパのエッセンスを取り入れることになります。
そのことだけではありませんが、それが引き金でデザインが認められるようになり、元からの技術の高さが相まって、ロードバイクもMTBに匹敵するレベルにまで押し上がっていきます。
日本においては2010年より、「ミヤタサイクル」が販売代理店を務めており、それによって販売台数が飛躍的に伸びています。
また、バーレーン・メリダには、ワールドツアーに参戦する数少ない日本人ライダーの一人「新城幸也」選手が所属しており、ますます注目される存在です。
それでは次項から、スクルトゥーラ4000についてお話しします。
メリダ・スクルトゥーラ4000のラインナップ
メリダのスクルトゥーラはバーレーン・メリダのメインバイクであり、山も平地もこなす総合レーシングバイクになります。
カーボンフレームとアルミフレームがあり、品番4ケタがカーボン、3ケタがアルミとなります。
品番は大きいほど上位グレードとなり、バーレーン・メリダが実際に使用するモデルには特別に「TEAM」の名が冠されています。
スクルトゥーラ4000はカーボンフレームですが、カーボングレードの中では一番低いものになります。
最低グレードとは言え、20万円を切る価格(税抜き)に設定されており、詳しいスペックはのちほどご紹介しますが、非常にコスパの高い一台です。
しかも、2018年シーズンを戦っているチームと同じボディカラーを採用しており、疑似体験までできる優れものです。
ラインナップと価格は以下の通りです。(価格は税込み)
【SCULTURA 4000(ノーマルモデル)】
参考価格:¥214,920
【SCULTURA DISC 4000(ディスクブレーキモデル)】
参考価格:¥290,520
【SCULTURA 4100(小柄な方向けの専用設計)】
参考価格:¥214,920
メリダ・スクルトゥーラ4000のフレーム「CF2」
メリダのスクルトゥーラシリーズのカーボンフレームには、「CF4」「CF2」という別グレードが、車種ごとに使用されています。
バーレーン・メリダ仕様のTEAMモデルにも採用されているCF4は、レースに勝つために軽量で、剛性の高い硬めのフレームです。
前作のハイエンドグレード「CF5」がチームに採用されず、CF4に収まったという経緯があり、ロングライドもこなす乗り心地が評価されたという話もあります。
それでも最初に乗った時の硬さは筆者も忘れられず、やはりプロ仕様という印象は強いです。
一方スクルトゥーラ4000も含め中位から下位グレードに採用されているのが、剛性を控えソフトな乗り心地や扱いやすさも加味したCF2です。
素材を見直している部分もありますが、キャリアの浅いホビーユーザーにも受け入れられる仕様になっています。
筆者の知人のテストライダーが試乗の際に、「これだけ当たりの柔らかいレースモデルも珍しい」と言っていたほどです。
また、前傾姿勢が深めにならない形状にもしてあるので、レースモデルですが、楽な姿勢で乗ることが可能になっています。
さらには、レースに向けた練習など過酷なシーンにも対応すべく、耐久性がCF4よりも優れていますので、レースの決戦用というよりは、普段からガンガン乗っていくことが想定されています。
スクルトゥーラ4000にはバーレーン・メリダのステータスが乗っている
メリダのスクルトゥーラ4000には先ほども触れましたが、バーレーン・メリダが2018シーズンで使用しているボディカラーのモデルがあります。
ロードレースに詳しい人が見れば、一見でツールを走っていたバイクと分かりますから、それだけで一つ付加価値がついているわけです。
ツールを走る「ワールドチーム」は、世界に18チームしかありません。
しかも、スペシャライズドやキャニオンが複数チームに機材を提供しています。
そのため、世界で星の数程あるバイクメーカー、ブランドからワールドチームに機材を提供しているのは、ほんのわずかな一握りということになります。
メリダはその一握りなわけで、しかもチームと同じボディカラーのバイクとなれば、ステータスが乗っていると考えて、全く差し支えないでしょう。
そして、スクルトゥーラ4000は、ステータス料が加味されているという価格とは思えませんので、さらにお得感が増しているように感じます。
スクルトゥーラ4000には新・105が搭載される
メリダ・スクルトゥーラ4000は、メインコンポが「シマノ・105」となります。
バーレーン・メリダが使用する「デュラエース」には及びませんが、ホビーレースの実戦用でもあり、ロングライドに適した汎用性の高さもある、大変人気の高いコンポです。
その105ですが、2018年にリニューアルし、「R7000系」に生まれ変わりました。
単体の販売が先駆けて始まり、完成車では各社ともに2019モデルからの採用になります。
スクルトゥーラ4000はクランクが別メーカー品になりますが、その他は105で統一されています。
レースモデルでは、動力の要でもあるクランクの働きが大きいので少し残念ですが、後のカスタムの楽しみということにしておきましょう。
新・105はSTIレバーがコンパクトになり、ブラケットポジションからブレーキングがしやすくなったと評判になっています。
また、練習などで厳しい環境での使用も考えられるので、トラブルが起こりがちな変速機(ディレイラー)がトラブルに強い仕様になったのも嬉しいところです。
フロントはワイヤーケーブルのテンション(張り具合)を、自身が調整できるアジャスターが内蔵されました。
また、リアは上位モデルと同じ横に張り出しの少ないシャドー形状になり、障害物へのヒットの可能性が減っています。
このように、さらに進化した105が搭載されるスクルトゥーラ4000は、紛れもなく2019モデルの注目株です。
今勢いに乗るスクルトゥーラ!
今回は、メリダのスクルトゥーラ4000についてお話ししました。
バーレーン・メリダが使用するモデルにやさしめの味付けをして、ホビーユーザー向けに扱いやすさや乗り心地に配慮したモデルです。
今の勢いを考えれば、バーレーン・メリダ仕様のボディカラーも、とても嬉しいところです。