今回ご紹介するメリダの「ライド80」は、2018年モデルの中で最も価格が安いロードバイクになります。
「安かろう悪かろう」などという言葉もあり、こういったモデルはとかく批判の対象になることも多いです。
では実際にライド80はどのように評価されているのかを確認して、どのような方に向いているのかを考えてみます。
メリダのロードバイク2018年モデル
メリダの2018年モデルのロードバイクは、オールラウンダーの「スクルトゥーラ」、エアロロードの「リアクト」、エンデュランスモデルの「ライド」、そして未舗装路との兼用モデルであるグラベルロードの「サイレックス」となります。
この内、スクルトゥーラとリアクトはプロがレースでも使用する現役のレースモデルで、市場の需要の高さを反映するかのように、多くの機種がラインナップされています。
サイレックスは、レースとは一線を画すいわば趣味専用のようなもので、2017年まではライドに属していた「アドベンチャー」というカテゴリーを独立させてシリーズ化したものです。
そして、ライドですが、これも数年前までは現役のレースモデルでした。
ツール・ド・フランスのような舗装路をメインとするレースではなく、未舗装路の上に敷き詰められた石畳の上を走るレース用に開発されているのが、エンデュランスモデルです。
舗装路のレースであれば速く走ることが最優先ですが、石畳レースでは、強烈な地面からの突き上げの緩和や、石畳の段差をいかにして超えるかなどが優先されます。
のちほど詳しくご説明しますが、スピード以外のことを優先することが、たまたま扱いやすさや、乗り心地のよさに繋がったため、長距離向きや初心者向きとされる傾向にあります。
冒頭でもお伝えしましたが、ライド80がメリダで最安値のモデルであるように、安価なロードバイクがエンデュランスモデルであることは少なくありません。
エンデュランスモデルが長距離や初心者向けとされるのはなぜ?
ここでは、前項でお話ししたエンデュランスモデルが、なぜ長距離走行や初心者向けと評されるのかをご説明します。
エンデュランスモデルは強烈な地面からの突き上げをできる限りいなして、衝撃を吸収しなければなりません。
そのため、フレームの素材やチューブの形状などが、衝撃吸収性に優れた仕様になっています。
振動や衝撃を吸収してくれますから、乗り手の体に突き上げが来にくいので乗り心地がよくなります。
また、振動や衝撃は長く受け続けると徐々に蓄積されてあとから効いてきますが、その振動や衝撃が少ないということは、長距離を走れることになります。
さらにエンデュランスモデルは、石畳やダートなどの未舗装路がメインのため、車体に安定感が必要です。
そのため、レースモデルに比べると上体を起こして乗車できますし、ハンドルの取り回しにも安定感があるので、街中の段差くらいであればふらついたりすることはありません。
また、メリダ・ライド80の2018年モデルもそうですが、軽めのギアが装備されていますので、まだロードバイクに必要な脚力が養われていない初心者の方にはありがたいことです。
このような要素があるので、長距離走行や経験の浅い方にも向くモデルとされています。
メリダ・ライド80 2018年モデルのフレーム①
それではここから、メリダ・ライド80の2018年モデルを詳しく見ていきましょう。
まずすべての評価の指針になる価格ですが92,772円(税込)、メリダの2018モデルでは唯一の10万円以下の機種です。
フレームはアルミですが、フロントフォークはカーボン製、メリダのアルミロードは全てこの組み合わせなので、最安値の機種までカーボンフォークというのはポイントが高いです。
アルミ素材は10万円台の上位モデルにも使用される上質な「6066」系で、これをメリダ独自の「トリプルバテッド・ハイドロフォーミング」という技術で成形しています。
1本のチューブ内に3か所厚みの違う部分を設けることにより、大きな力が掛かるチューブ同志のつなぎ目は厚くして強度を高めます。
しかし、その他の部分はそこまでの強度はいりませんので、薄くして軽量化をはかり、さらには適度なしなりを持たせて衝撃吸収性を高めています。
メリダの技術の高さをお知らせしたいと思いましたので細かい技術の話をしましたが、簡単に言えば、この価格帯のバイクにも高度な技術を惜しみなく投入しているのが凄いということです。
メリダ・ライド80 2018年モデルのフレーム②
前項に引き続き、メリダ・ライド80の2018モデルについてお話ししますが、これからお伝えする技術が、ライドシリーズの一番のアピールポイントになります。
メリダはライドシリーズに、非常に薄く偏平させたシートステイを採用しています。
それにより後輪周辺がしなりを持ちますので、衝撃吸収性が増し、地面からの突き上げを大幅に軽減してくれます。
一般的なエンデュランスモデルは衝撃吸収性を高めるために、駆動輪である後輪周辺の面積を大きく取る必要があります。
ただ、それを行うとペダルから後輪までの距離が長くなってしまうのでロスが発生し、ペダルを回した力がストレートに動力になりません。
しかし、ライドは偏平のシートステイのおかげもあり、後輪周辺の面積を広げなくても済むので、コンパクトにして動力のロスを防ぐことができています。
この技術が10万円を下回る機種にまで投入されているところが、ライド80のコスパの高さを示しています。
メリダ・ライド80 2018年モデルのパーツスペック
さて、ここからはメリダ・ライド80に限った話ではないのですが、まずは2018年モデルに付属しているパーツを確認しておきます。
コンポは「シマノ・クラリス」、シマノのロードバイク用コンポとしては一番下のグレードになります。
バイクの潜在能力を引き出してくれるわけではないですが、性能を妨げるようなことはありませんので、普通に走っている分には過不足のないコンポです。
クランクが別メーカー製のものになりますが、これも最初から付属しているものとすれば必要十分ですから気にすることはありません。
ただ、ブレーキだけは交換した方がよいかもしれません。
平坦な舗装路で乾いた路面の上を走るだけならまだ心配はないですが、濡れた路面や勾配がきつめの下り坂などでは、制動力に正直言って不安があります。
次にホイールですが、特筆できることは何もありませんが、普通に走る分には問題ありません。
ホイールはロードバイクに慣れて、様々な情報や知識を得るとおのずと交換したくなる部分なので、後のカスタムの楽しみがあると考えておいてください。
低価格帯の付属パーツのグレードは期待しない!
前項でお話ししたメリダ・ライド80の2018年モデルは、付属パーツに見どころはほとんどありません。
ただし、これはライド80に限ったことではなく、10万円台前半までの完成車の大半はこんなものです。
例えばホイールなどは、多くの人に「満足」という評価を受けるのは5~7万円くらいの価格帯のものです。
もうお分かりかと思いますが、これを10万円前後の完成車に最初から付属させるのは不可能ですね。
コンポに関しても満足度が高いものはフルセットで5~6万円はしますので、これもトータルの価格とのバランスを考えればまず無理な話です。
そのため、ライド80のような価格帯のロードバイクは付属パーツのグレードを求めることは出来ませんので、最初からその覚悟が必要です。
しかし、覚悟などと大げさに考えなくても、前項でお話ししたように最初は慣れが肝心ですから、極論を言うなら、普通に走れるものであればパーツにこだわりはいりません。
フレームは色を塗り直すくらいのことはできても基本は不変で、乗り換えるまでは長いお付き合いになります。
しかし、パーツは後からいくらでも交換ができますし、交換しながら仕上げていくのがロードバイクの乗り方であり、楽しみでもあります。
ですから、最初は付属パーツはあまり気にせず、フレームの性能や見た目を重視した方がよいでしょう。
フレームだけで十分に価格相応の価値がある!
今回は、メリダの最安値ロードバイク「ライド80」のお話をしました。
10万円を切るバイクとしてはフレームのレベルが高く、特に最初の一台とすれば申し分のないものです。
その分、付属パーツのレベルには目をつぶらなければいけませんが、パーツは交換ありきなので、このフレームのレベルであれば十分におすすめできます。