メリダのエースロードバイクと言えば「スクルトゥーラ」ですが、今回はその中でも最も価格の安い「スクルトゥーラ100」を特集します。
表示価格(税抜き)では10万円を切るだけに、こういったモデルは評価が高低にはっきりと分かれますので、購入には判断が難しいところです。
そこで今回は、スクルトゥーラ100の購入ポイントについて考えてみましょう。
ロードバイクの価格
まずロードバイクの価格についてですが、もうこれは本当にピンきりです。
メリダもそうですが、ロードバイクをレースの機材として提供しているメーカーは、プロがレースで使用する機体も市販しています。
これはレースで使用する物は市販されていることが原則という決まりになっているからであり、ここがF1などのカーレースとは違う部分です。
ロードバイクでプロが使用する機体は完成車にすると軒並み100万円を超えますし、パーツのグレードを少し落としたとしても、同じフレームを使用していれば80万円台というところです。
ただ、それでは購入できる層が限られてしまいますので、コストを抑えながら価格帯を下げていきます。
それでもカーボンフレームですと20万円を下ることは難しく、メリダ・スクルトゥーラも税込で20万円を切るモデルはありません。
また、価格だけの話ではなくロードレースの歴史にも関わりますが、フレームにはカーボンよりも安価に製造できるアルミもあります。
レースでの評価が下がってしまい主流ではなくなりましたが、まだ根強い人気があり、高い需要があります。
今回の主役スクルトゥーラ100もアルミフレームですが、10万円台からそこを切るような完成車は、大抵がアルミかクロモリなどの金属製のフレームになります。
そのため、ロードバイクの購入に当たっては、まずフレームの素材を決めることから始めるのが賢明です。
メリダ・スクルトゥーラ100のフレームを評価する
今回はメリダ・スクルトゥーラシリーズの最廉価モデル「スクルトゥーラ100」について、筆者独自の目線も交えて、購入すべきモデルなのかを検証します。
そのためにはまずスクルトゥーラ100のことを知らなければ、評価も何もありませんので、確認していきます。
まず全てのお話の指針になる価格ですが、2018年モデルは101,412円(税込)となります。
先述通りアルミフレームで、フルカーボン製のフロントフォークを採用しています。
スクルトゥーラのアルミフレームはこの最廉価モデルから、ハイエンドの「700(税込18.4万円)」まで全て同じ素材が使用されています。
採用されているクランクの違いから、BBシェルの形状が微妙に違うだけで、同じ素材+フルカーボン製フォークという組み合わせは共通しています。
スクルトゥーラのアルミフレームは、溶接痕が全く目立たない成形技術で、同時に剛性もコントロールされており硬すぎないフレームに仕上がっています。
また、カーボンフレームにも採用されている、空力性能に優れた断面を持つチューブを使用しており、エアロ効果も評価の高いポイントです。
フレームの評価ですが、上記のような高い技術が複数盛り込まれていますので、個人的にはかなり高く評価してよいかと思います。
メリダ・スクルトゥーラ100の装備品の評価は?
フレームに続いては、メリダ・スクルトゥーラ100に組み合わされているパーツを確認してみましょう。
メインコンポはリア8速の「シマノ・クラリス」で、クランクのみメリダと同じ台湾に本拠を置くパーツメーカー「FSA」製になります。
クラリスはシマノのロードバイク用コンポの中では下級グレードで、10万円前後の完成車では定番となっています。
機体の性能を維持することはできますが、潜在能力を引き出すまでには至らないという、言ってみれば当たり障りのないレベルという評価になります。
普通に走っている分には何の問題もありませんが、ブレーキの制動力だけは少し不安という評価も多く、筆者も同意するところです。
また、クランクがFSAの「Tempo」というものになりますが、これについてもクラリス同様で、可もなく不可もなくです。
筆者が試乗した感覚では、少し剛性が低くたわんでペダルを漕いだ力が吸収されてしまう感じがしました。
そのため、脚力が強い方ですと気になるレベルかもしれません。
残りのパーツに関しては、ほとんどがメリダのオリジナルでグレードが不明なので、特記事項はありません。
装備されているパーツ全体の評価ですが、10万円前後の完成車としてはごく標準的なレベルで、シマノ製のパーツが多い分だけ少し信頼性が高いというところです。
メリダ・スクルトゥーラ100はプロ仕様と同じコンセプトを持つ!
メリダは世界に18しかないロードレースの最高峰、ワールドチームの1つ「バーレーン・メリダ」にスポンサーとして機体を提供しています。
まだ結成して間もない若いチームですが、2018年のツール・ド・フランスでチーム総合2位となり大躍進を遂げました。
メリダ自身もワールドツアーに参加したのは2013年が最初ですから、参戦6年目での快挙ということになります。
メリダはロードバイクでは少し後発のイメージでしたが、今その評価を覆している真っ最中になります。
そして、バーレーン・メリダがメインバイクとして使用したのが、スクルトゥーラになります。
最高級のカーボンフレームとパーツを組み合わせたものですので、同じスクルトゥーラの冠でも、他とは明らかに一線を画します。
しかし、スクルトゥーラ100もスクルトゥーラの冠が付いているという点では、プロ仕様と同じコンセプトで製造されたバイクであることに違いはありません。
しかも、プロ仕様と同じ冠のバイクを最廉価のグレードまで製造しているメーカーは少ないので、そこも大いに評価したいポイントです。
メリダ・スクルトゥーラ100の試乗インプレの評価
続いては、メリダ・スクルトゥーラ100についての試乗インプレの評価を確認してみます。
超軽量というわけではないですし、ホイールがかなりのヘビー級なので、漕ぎ出しは重くスピードに乗るまでには時間が掛かります。
しかし、乗車姿勢が深めの前傾になりますし、、硬めでシャキッとした仕上がりなので、スピードに乗れば踏んだら踏んだだけ前に進んでいってくれます。
また、レースモデル特有のハンドルが神経質な取り回しになるようなことがなく、安定感があって乗りやすいという評価が多いです。
しかし、地面からの突き上げに対しては、衝撃を和らげてくれている感じはありますが、コツコツとした振動は感じます。
これはタイヤやホイールにも原因がありますので一概には言えませんが、乗り心地のよさという点では少し劣ります。
また、勾配のきつい登り坂ではある程度までいくと進みが悪くなりますし、ギアが少ないので少し厳しいかもしれません。
メリダ・スクルトゥーラ100は「買い」か?
今回はメリダのスクルトゥーラ100について、購入するに当たってポイントなる部分の評価をまとめてきました。
最終的な結論ですが、10万円前後のアルミ車としてはフレームが秀逸で、個人的には購入の本命候補としたいですね。
世界で活躍するプロチームモデルと同じコンセプトという付加価値も評価したいですし、何より上位グレードと同じフレームというのが一番の評価ポイントです。
例えば、一つ上のグレードである「400」との差額は約5万円ですが、これを少し上質なホイールへのカスタム代と考えます。
ホイールはグレードの高い物ですと走りが軽くなりスピードが出ますので、ホイールを交換すればスクルトゥーラ100は、上位グレードの400をスピードでは上回ることになります。
そのため、もし予算が15万円あるとすれば、スクルトゥーラ400という選択も否定できませんが、スクルトゥーラ100+5万円のホイールという選択もあるということです。
このことからも言えますが、、パーツは後からいくらでも交換できるので、完成車はまずフレームのレベルを確認するのが先決です。
メリダ・スクルトゥーラ100はエントリーグレードの本命!
本文で結論を出しましたが、メリダのスクルトゥーラ100は10万円前後のロードバイクでは、購入の本命と考えてよいレベルと思います。
何よりフレームがこの価格にしてはあり得ないほどレベルが高く、しかもプロ仕様のコンセプトまであるのですから、コスパの高さは疑いようがありません。
また、パーツをカスタムすれば上位モデルにも引けを取らないものになっていきますので、育てていく楽しみもあります。