メリダのエースロードバイクは、平地も山も走れるオールラウンダー「スクルトゥーラ」になります。
201年のツール・ド・フランスでチーム総合2位に食い込んだ「バーレーン・メリダ」のメインバイクの一台でもあり、今後ますます注目が集まるはずです。
今回はそんなスクルトゥーラシリーズの中から、カーボンフレームのミドルグレード「6000」をご紹介します。
メリダ・スクルトゥーラ6000はシリーズの分岐点的存在
今回の主役であるメリダ・スクルトゥーラ6000は、シリーズの中では大きな分岐点になるモデルです。
スクルトゥーラのカーボンフレームには、バーレーン・メリダに提供しているチーム仕様と同じ「CF4」と、それに準ずる「CF2」があります。
CF2を採用しているモデルの方が価格が安くなりますので、カーボンの質が違うのは明らかですが、フレームのテイストも少し変えてきています。
これは乗り比べてみてのことであり、色々なインプレを参考にした方がよいと思いますので、後述します。
また、CF4を採用しているモデルでは6000が最も安価で約40万円、その上の「8000-E」は約70万円、チームと同じ仕様の「TEAM-E」は100万円を超えます。
この価格帯から見て、6000までが現実的で、8000-Eから上はかなりの高級バイクになってくるという意味もあり、6000を分岐点であると表現しました。
また、単純に6000より下位のグレードはフレーム自体が違うということでも、明確にそこに線が引かれていることになります。
同じスクルトゥーラでも「CF4」と「CF2」ではフレーム形状に違いがある
今は、どこのメーカーのロードバイクもジャンル分けがあり、大方はスクルトゥーラのような「総合レーシングバイク」、「エアロロード」、「エンデュランスモデル」この3ジャンルが主力になっています。
メリダもスクルトゥーラとエアロの「リアクト」が主力で、エンデュランスモデルの「ライド」が縮小気味なのは気になりますが、構成としては他メーカーと大差はありません。
スクルトゥーラは、総合レーシングバイクというカテゴリーで、レースに関しては平地もスプリントも山岳ステージも、こなすオールラウンドな性格です。
その中でも、フレーム別で見ると、CF4とCF2は少しジオメトリ(形状)に違いがあり、CF4はよりレース志向を強くしてあります。
CF4は紛れもないレースモデルで、気持ちがよいくらい攻めのジオメトリが貫かれており、中位グレードとはいえ、6000もそれは変わりません。
しかし、CF2はCF4を継承していますので基本はレーシーですが、そこにアップライドな姿勢や衝撃吸収性を取り入れた、少しマイルドな味付けがされています。
なお、CF2はスクルトゥーラの「5000」「4000」「4000-DISC(ディスクブレーキモデル)」「4100(4000ベースの小さいサイズ)」に採用されています。
スクルトゥーラ6000の「CF4」とはどんなフレーム?
先述通り、メリダスクルトゥーラ6000は「CF4」のフレームを採用しています。
例えば、チェーンステーは全サイズ400㎜ですが、これはエアロロード並みの短さで、オールラウンダーには見られないサイズです。
後ろ三角を小さくすることで、空気を受け流しやすくしてエアロ効果を高めるということになります。
また、チェーンステーが短くなると後輪のハブとペダルの距離が縮まりますので、クランクを回した力がストレートにホイールに伝わりやすくなり、加速力が増します。
さらに、6000はヘッドチューブが立ち気味の角度で付いており、その分ハンドルが遠目になるので前傾姿勢が深くなります。
このように、空気抵抗を削減して、よりスピードに特化させるジオメトリになっていますので、レース志向の強いフレームということは確かです。
メリダ・スクルトゥーラ6000のインプレ
筆者は、メリダのスクルトゥーラ6000には以前に一度だけですが試乗させて頂きました。
スクルトゥーラの上位モデルはフレームが「CF5」という時代にも試乗経験があり、高剛性のピュアなレースモデルという印象を受けたので覚悟して乗りました。
漕ぎ出しは確かに硬さを少し感じましたが、その後は踏んだら踏んだだけの反応の鋭さはあるものの、脚に過度な負担が来るほどの硬さは消え、ややしなりすら感じる快適な踏み心地でした。
また、前項でお伝えしたように攻めのジオメトリですから、扱いずらさもあるのかと思っていたのですが、ハンドル周りの剛性が高くややヘッドチューブが長めということもあり、安定感を感じました。
試乗では軽い傾斜の坂も登りましたが、驚くほどスムーズに軽く登っていき、下りでも思った以上に安定感があって、身体が前に出されるような感覚はほぼありませんでした。
地面からの衝撃はそれなりに伝わってきますが、前作のCF5に比べると衝撃吸収性を重視している感じで、ガチガチのイメージは消えています。
筆者が乗った感覚は以上ですが、ジオメトリから受ける印象よりは大分オールラウンダーに近いものがあり、少しパーツを見直せばロングライドも十分こなせるはずです。
メリダ・スクルトゥーラ6000のスペック
それではメリダのスクルトゥーラ6000、最新モデルのパーツスペックを確認しましょう。
コンポは、シマノのセカンドグレード「アルテグラ」のほぼフルコンポになります。(スプロケット以外)
中位グレードですと、単価の高いクランクや理由はよく分かりませんがブレーキがコストダウンの対象になりがちですが、ほぼフルなので評価してよいと思います。
しかも、プロチームからの要望でリアブレーキがシートステイに取り付けられる方式に戻りましたので、メンテナンスのしやすさも特筆ものです。
フレームやコンポのレベルに比べると、少し残念なのはホイールでしょうか。
イタリアの人気メーカー「フルクラム」製の完成車専用モデルですが、市場に出ている最下級と同等のレベルとされています。
その他のパーツに関してはメリダのオリジナルであり、あまり議題に上がらないので、可もなく不可もなく必要十分といったところでしょう。
ミドルレンジの50サイズで7.5㎏、価格は409,320円(税込)となります。
メリダ・スクルトゥーラ6000のライバルは?
最後になりますが、物を選ぶ際には比較対象が必要になってきますので、他メーカーでメリダ・スクルトゥーラ6000のライバルになってくるバイクをご紹介します。
フルカーボンで、価格帯が近いモデルを中心に選定しましたので、参考になさってください。
【GIANT(ジャイアント):TCR ADVANCED PRO TEAM】
参考価格:¥378,000(税込)
メリダと同じ台湾に本拠を置く、世界最大の自転車メーカーです。
シマノアルテグラのフルコンポにカーボンリムホイールでこの価格は、ジャイアントらしいコスパの高さですね。
【TREK(トレック):Émonda SL 6】
参考価格:¥320,760
メリダやジャイアントと並び、販売台数では世界トップレベルにあるアメリカの人気メーカーです。
Émondaシリーズは何より軽量化を売りにしており、中位グレードでコンポがアルテグラながら、大きめの56サイズで7.37㎏(トレック公表値)は破格です。
【CANYON(キャニオン):ULTIMATE CF SLX 8.0】
参考価格:¥389,000
ドイツの新興メーカーですが、既にプロレースでは欠かせない存在になっており、2018年のツール・ド・フランスでは総合優勝チームに機材を提供していました。
メーカ―直販のネット通販しか行わない代わりにコスパに還元しており、アルテグラのフルコンポに、市場価格20万円前後のカーボンリムホイールでこの価格は驚きです。
字面だけで判断せずぜひ一度試乗を!
今回は、メリダのスクルトゥーラ6000についてお話ししました。
プロ仕様のフレーム「CF4」を採用した最廉価モデルなので、プロレベルのフレームを幅広いユーザーさんに届けるという役割を担っています。
字面のジオメトリやスペックから受けるレーシー感は、実際に乗ってみるとそこまで強烈なことはなく、ある程度の経験がある方なら十分乗りこなせるレベルかと思います。