メリダのロードバイクにはいくつかのカテゴリーがありますが、今回は「エンデュランスモデル」に注目をしてみます。
メリダのエンデュランスモデルといえば「ライド」シリーズですが、プロレースでの使用機体からは外れ、ホビーライダー向けのモデルになっています。
特にアルミフレームの「400」はコスパが高いとされていますので、他メーカーの同グレードと比較しながら確認をしてみましょう。
エンデュランスモデルの開発経緯
ご存知の方も多いかと思いますが、ロードバイクはプロレースの機材として開発されているものです。
実際にプロが使用するのは、カテゴリーのハイエンドモデルですが、その仕様をどこまで保ちながら、ホビーユーザーの手に届きやすい価格にすり合わせていくかが、メーカー側の試行錯誤のしどころです。
ロードバイクはレースのものという認識は依然として強く、ロングライドやツーリング向きとされている「エンデュランスモデル」も、ある種のレースを戦う機体として開発されたものです。
ある種のレースというのは、「パヴェ」と呼ばれる石畳が敷き詰められたオフロードコースを走るものです。
「パリ~ルーベ」や「ロンド・ファン・フラーンデレン」というワンデイレースが世界的に有名です。
特にパリ~ルーベなどは、あまりにも過酷なコース形態や、リタイア者が続出するために、「北の地獄」「地獄の日曜日」などという怖いニックネームがあるほどです。
メリダの「ライド」もそのようなレースを戦うために開発されたエンデュランスモデルであり、実戦に投入された実績もあります。
しかし、2018年のラインナップにはプロ仕様のハイエンドモデルはなく、カーボンの「3000」はリア10速ですし、アルミの「400」はコスパ重視、そして最廉価の「80」はメリダのロードバイク中唯一の税込10万円を切るモデルです。
エンデュランスモデルはどんな状況向きか?
メリダの「ライド400」などのエンデュランスモデルは前項でお話ししたように、過酷なレースをこなすために開発されています。
そのため、路面からの突き上げをいなし、衝撃を吸収する必要がありますし、ホイールベースを長く取り、バイクの重心も下げ気味にして、車体を安定させる必要があります。
ライド400のフレーム形状(ジオメトリ)はのちほどお伝えしますが、上記のような条件を満たすジオメトリにすると、必然的に上体が起き気味になるアップライドな乗車姿勢になります。
アップライドな姿勢は身体に掛かる負担が少ないですし、視界が開けますので安全性も高まります。
反面、走行中は身体全体で風を受けることになりますので、スピード面では若干劣ります。
そのため、根はレースモデルですが、ロングライドや街乗り車として評価される面もあり、メリダで言えば「スクルトゥーラ」や「リアクト」などのピュアなレースモデルとは一線を画します。
したがって、ロードバイクに初めて乗るという初心者の方や、レース志向の薄いライダーの方は、エンデュランスモデルですと満足できる可能性が高くなります。
メリダ・ライド400のフレーム
それではここから、メリダのライド400についてお話しします、
ライドシリーズでは中核を担うアルミフレームモデルで、アルミではハイエンドモデルになります。
メリダ独自の「ハイドロフォーミング」の技術を用いて、チューブの厚みを3種類に分ける「トリプルバテッドフレーム」に仕上げています。
応力が掛かる場所はチューブを厚くしてパワーロスをしないように剛性を高め、掛からない部分は薄くして軽量化を図っています。
アルミ素材も以前はレースにも使用されていた「6066」という上質のものなので、上記の技術と相まって、アルミの概念を覆す自由度が高く、美しい造形のフレームになっています。
ただし、ライドシリーズは他のメーカーのものよりは、少しリアの三角をコンパクトにしています。
これは、ペダルとハブの距離を短くしてパワーの伝達率を高めるという発想ですが、レースに主眼を置くメリダらしいところとも言えるでしょう。
リア三角を小さくするとその分衝撃吸収性に欠きますが、ライド400は非常に細いシートステイのしなりで衝撃をいなし、バデッドさせたチェーンステイで吸収します。
それに加え、カーボン製のフロントフォークとシートポストがさらに衝撃吸収を助けますので、とてもバランスよく仕上がっています。
メリダ・ライド400のパーツスペック
前項では、メリダのライド400のフレームについてご紹介しましたので、次は組み合わされているパーツのスペックを確認します。
コンポは「シマノ・105」をメインに、クランクとブレーキがシマノ製ではありますが、ノングレード品になります。
筆者は短い距離の試乗経験しかないので、正直クランクやブレーキの真の性能までは把握していませんが、ブレーキは即交換レベルなどというインプレも見られます。
ブレーキは命に関わる部分であり見逃せない話なので、少しでも制動力に不安を感じたら交換を考えましょう。
クランクについては105グレードとは明らかに仕様が違うので、比較をすれば差はあります。
しかし、それは比較をして初めて分かることであり、最初から交換ありきと考えるほどのレベルではないでしょう。
あとはホイールですが、イタリアの超人気メーカー「フルクラム」製で、完成車専用のモデルが付属しています。
フルクラム製というだけで評価できるのですが、アルミフレームに付属してくるホイールのレベルはコスト的に期待薄なので、いずれは交換したくなるそれなりのレベルと考えてください。
ライド400の価格は172,692円(税込)、重量はミドルレンジの50サイズで8.7㎏となります。
メリダ・ライド400のライバル①
メリダのライド400のお話を一通りさせて頂きましたが、20万円前後のアルミロードは各メーカー共に強い部分であり、ライバルも多く存在します。
そこでここでは、ライド400のライバルと思われるバイクをいくつかご紹介しますので、検討する際の比較の参考になさってください。
なお、ライド400と同じ、アルミフレームのエンデュランスモデルを対象としています。
【GIANT(ジャイアント):CONTEND(コンテンド)SL1】
参考価格:¥162,000(税込)
メリダと同じ台湾のメーカーで、世界最大の販売台数を誇ります。
このモデルはメーカー側はオールラウンドと位置付けていますが、ジオメトリを見るとライド400と似通っており、エンデュランスモデルと考えてよいでしょう。
コンポはシマノ・105をメインにクランクはライド400と同じ、ブレーキは「テクトロ」製です。
ホイールはジャイアントのオリジナルなのでレベルは分かりませんが、インプレを見る限りはそこまで特筆するレベルでもないようです。
メリダ・ライド400のライバル②
前項に引き続きここでも、メリダ・ライド400ライバル機をご紹介します。
【Bianchi(ビアンキ):Impulso(インプルソ)Shimano 105】
参考価格:¥186,840
イタリアの老舗ブランドビアンキのエンデュランスモデルで、ライド400と共通点が非常に多く、これが一番のライバルと感じます。
ハイドロフォーミングでトリプルバテッドのチューブを作っている点、後ろ三角がコンパクトな点、メインコンポが105で、クランクも同じものとなります。
ジオメトリを見るとわずかではありますが、こちらの方がよりアップライドな乗車姿勢になるかと思います。
【FELT(フェルト):VR30】
参考価格:¥213,840
ドイツの新興メーカー「フェルト」のエンデュランスモデルで、ディスクブレーキ仕様です。
フレームの魔術師とも言われる創業者ジム・フェルトが今でもバイクの設計に関わっており、フレームの成形技術を売りにしているメーカーです。
そのため、このモデルもフレームのアルミ素材はライド400より少し質が落ちますし、パーツもコストダウンが目立ちます。
しかし、成形技術はさすがのものがあり、筆者の個人的な感覚ですが、デザインに関してはライド400よりも優れていると感じます。
アルミのエンデュランスモデルを希望するならぜひ一考を
今回は、メリダのエンデュランスモデル「ライド・400」をご紹介しました。
フレームの素材、成形技術、組み合わされてパーツ、これらを総合的に見てコスパの高い一台に仕上がっている印象が強いです。
ライバルも強力なゾーンではありますが、アルミのエンデュランスモデルであれば、選択肢に必ず入れたいモデルかと思います。