ロードバイクのフロントフォーク塗装をやってみよう

自転車のフロントフォークは、ハンドルと前輪を繋いでいますが、フレームと一体化していると思っていませんか?

しかし、フロントフォークはどんな自転車であっても単体のパーツなので、外すことができます。

そのため、メンテナンスもできますし、塗装が剥げてくれば修復したり、塗り直すことも可能です。

自転車全体を塗装する前に、フロントフォークで試すなんてケースもあります。

そこで今回は、フロントフォークの塗装を考えてみましょう。

ロードバイクのフロントフォークの構造

ロードバイクのフロントフォークの塗装の前に、まずは構造からご説明します。

フロントフォークは、人間で言えば胴体の部分に当たる「フォークコラム」と、脚である「ブレード」で構成されています。

ブレードの先を前輪のハブに装着して、コラムをヘッドチューブに通します。

そして、ヘッドチューブから突き出した部分を、ハンドルを支持している「ステム」に通して固定します。

このようにハンドル周りはいくつかの部分が連動しているので、フロントフォークを外す作業はかなり大掛かりになります。

フロントフォークには「ベアリング」という、ハンドルの回転をスムーズにさせるものが取り付けられています。

このベアリングは定期的に潤滑油を挿す必要があるので、フロントフォークの分解は塗装時に限ったことではありません。

そのため、大掛かりにはなりますが、覚えておいて損はない作業です。

ロードバイクの塗装はコーティング剤でもある

この記事のテーマはロードバイクのフロントフォーク塗装になりますが、塗装はただの見た目の問題だけではありません。

塗装には、フレームを衝撃や水分から守るコーティングの役割もあります。

塗装が剥げてフレームが剥き出しになれば、フレーム自体が傷付いてしまったり、水気を帯びれば錆びることもあります。

ロードバイクのフレーム素材は、主にカーボン、アルミ、クロモリの3種類になります。

カーボンは繊維の集合体なので横からの衝撃に弱く、傷が付けばそこから破断してしまう可能性があります。

また、水分にも弱いので、水が浸入してしまうと劣化が早まってしまいます。

アルミやクロモリは金属なので多少の傷や衝撃は何てことはないですが、水が付けば当然錆びてしまいます。

そういったことを防いでくれるのが表面の塗装であり、フレームの寿命を伸ばすためにも傷や剥がれを放置しておいてはいけないのです。

フロントフォークの分解方法

それでは、ここからフロントフォークの塗装の話をしていきましょう。

まずは、塗装するためにフロントフォークを外す必要があるので、その方法をご説明します。

使う工具は六角レンチのみですが、サイズはロードバイクによって違います。

六角レンチは自転車のメンテナンスでは必需品ですから、何サイズかセットになっているものがあると重宝します。

上から順番に外していきますので、まずはステム上部のアンカーボルトを緩めてキャップごと抜き取ります。

フォークコラムがカーボンの場合は、カートリッジ式の「プレッシャーアンカー」が付属していますが、これは抜かなくても大丈夫です。

ステムの横にある締め付けボルトを緩め(外さない)、ステムをハンドルごと抜き取ります。

ハンドルの高さを調節する「スペーサー」や、その他のリング状の部品も全て外します。

フロントフォークにはブレーキも取りつけられていますので、この段階で外します。

六角レンチをコラムの根元にある穴に突っ込んで外してください。

ブレーキまで外れたら、車輪を外します。

ロードバイクは「クイックリリース機構」のため、レバーを緩めて数度回すだけで車輪が外れます。

これで付属しているものは全て外れましたので、後はコラムの根元を持って下に引けばフロントフォークが外れます。

ロードバイクのフロントフォーク塗装に必要なもの

ロードバイクのフレームからフロントフォークが外れましたので、ここから塗装の手順に入っていきます。

その前に大前提として、カーボン製のフロントフォークは塗装のやり直しに大変時間が掛かります。

フロントフォークやフレームの再塗装は、元の塗装をはがしてから行いますが、カーボンは剥離溶剤が使えないので、紙やすりなどではがします。

その工程で削りすぎてしまい、中のカーボンの繊維を傷つけてしまう可能性もあるので慎重な作業になることを覚悟しておいてください。

では、フロントフォークの塗装の話に入りますが、まずは必要なものを紹介します。

★塗料

ラッカーやウレタンのスプレータイプがおすすめで、フロントフォークだけなら1本で十分かと思います。

艶消しなら必要ありませんが、光沢を出したい色の場合は「クリアラッカー」があると仕上がりが美しくなります。

★下塗り塗料

塗料の付きを良くするための下塗り剤で、「プラサフ」と呼ばれています。

数回に分けて塗付しますので、スプレータイプが良いでしょう。

★剥離溶剤・紙やすり

先述通り、アルミやクロモリなら剥離溶剤が使用できますが、カーボンは紙やすりで地道に削っていきます。

★脱脂剤

塗装を剥離した後にフォークの表面から油分を抜いておかないと、塗装の乗りが悪くなります。

★マスキングテープ

塗装が付いて欲しくない部分を隠すためのテープです。

ロードバイクのフロントフォーク塗装方法

それでは、ロードバイクのフロントフォーク塗装の手順を説明します。

まずは元の塗装をはがしていきますが、剥離剤が使用できるのは金属製だけですので、くれぐれもカーボン製には使用しないでください。

剥離剤をハケで塗り少し待つと塗料が浮き上がってきますので、ヘラのようなもので剥がします。

それだけでは完全には落ちないこともあるので、金属製の場合もヤスリを掛けます。

目立つ傷やへこみがある場合は、パテで埋めるなどして修復した方が良いでしょう。

塗装が剥がれたら、表面を脱脂剤でくまなく拭きあげます。

その後、塗装が付いて欲しくない部分にマスキングテープを貼りますが、フォークコラムの根元にある「下ワン」は必ず隠すようにしてください。

次に下地塗料である「プラサフ」を吹き付けます。

表面の本塗装も同じですが、15~20cmほど離して薄めに数回に分けて吹きます。

1時間ほど置いて下地が乾いたら、本塗装をします。

塗料が垂れてしまうと美しくないので、薄く薄く塗っていくのがコツです。

あとは、乾かして終了ですが、急がないのであれば1日くらいは置いておきましょう。

ロードバイクのフレーム全体も塗装する

今回はロードバイクのフロントフォーク塗装の話をしましたが、もちろんフレーム全体の塗装に応用できる話です。

剥離剤や脱脂剤などはフロントフォークだけでは相当量が余りますので、これを機にフレームまで全て再塗装してしまっても良いでしょう。

ただし、塗装が多岐に渡るので、分解する箇所も多く作業はかなり大がかりになります。

以前カーボンフレームの再塗装を行った私の知人は、塗装をはがすだけで10時間以上も掛かっていました。

また、むやみに分解してしまうと、組み付け直すときに分からなくなってしまうので、元の姿を画像に収めておくことが重要です。

あとは、途中で塗料がなくなってしまうと塗りムラの原因になるので、フレーム全体の塗装の場合は、塗料を多めに用意しておいた方が良いです。

費用は塗装に必要な物一式で、約1万円といったところです。

塗装は見た目だけの問題ではない!

今回はロードバイクのフロントフォーク塗装についてお話しました。

塗装は見た目だけの問題ではなく素材を守る意味もあるので、剥げているのを見過ごしてはいけません。

作業はフォークをフレームから外すのと、元の塗装を剥がすのがひと苦労というところです。

また、丁寧な作業が求められるので、落ち着いて慎重に行ってください。