自転車でブレーキを掛けた時に、音が鳴るのを経験したことがある方は多いと思います。
原因は数多くありますが、中には構造的に避けられないものまであり、付きものと言ってしまってもよいくらいです。
そんなブレーキ鳴きですが、特にママチャリの後輪は尋常じゃない音がしますので、悩みが尽きないところです。
そこで今回は、特に後輪用のブレーキ鳴きについて考えてみます。
自転車の中でも特にママチャリは後輪のブレーキ鳴きが多い
まず今回なぜブレーキ鳴きのお話でわざわざ「後輪」に限定したかといいますと、とにかくブレーキ鳴きはママチャリの後輪で発生することが多いからです。
また、ママチャリは前輪と後輪で全く違うブレーキを使用しており、特に後輪の方に問題があることが多いという理由もあります。
ママチャリの後輪ブレーキは、「バンドブレーキ」という昔ながらのブレーキが使用されていることが多いです。
車輪中央のスポークの受けになっている「ハブ」に取り付けられた「ドラム」の回転を、ゴムバンドで締め付けることで車輪の回転を止める仕組みです。
そして、このブレーキは、バンドでドラムを締め付ける際に「キーィ」という甲高い音が鳴るのが特徴です。
これはドラムやゴムの劣化が原因かと思いきやそうとも言い切れず、購入直後から鳴き出すこともありますので、構造上の問題が大きいようです。
しかも、筆者が以前に知り合いの自転車屋さんに聞いた話では、どのタイミングでブレーキ鳴きが起きるのかは、製造しているメーカーでも分からないのではとのことでした。
ですから、一生鳴らないものもあるそうで、そうなると一種ギャンブルのような、時の運という感じです。
後輪用バンドブレーキのブレーキ鳴きはトラブルかどうかの判断がしにくい!
ママチャリの後輪はバンドブレーキが採用されており、ブレーキ鳴きの事例が多いとお伝えしました。
経験した方はお分かりかと思いますが、バンドブレーキが鳴く音は尋常な大きさではないので、故障しているのかと思ってしまっても無理はありません。
しかし、ブレーキ鳴きが発生していても制動力に問題がない場合もあります。
というのも、構造上の問題で鳴っているとすれば、ブレーキの効き目には関係ないからです。
そのため、バンドブレーキは音が鳴るものとあきらめて、自転車に乗っている方も少なくありません。
ところが、厄介なのはブレーキ鳴きが本当に故障の前触れである可能性です。
他のブレーキはブレーキ鳴きが起これば、すぐに異常だと判断して対処しますが、鳴きが常態化しているバンドブレーキは対処が遅れます。
そのため、ある日突然ぱったりとブレーキが効かなくなることがあるのです。
自転車のバンドブレーキでブレーキ鳴きが発生した際の対処法は?
ママチャリの後輪用であるバンドブレーキのブレーキ鳴きについては、「液体クレンザーを垂らす」や「研磨剤でドラムの表面を磨く」などの対処法が紹介されています。
筆者も試したことはありますが、一時的に音が止むことはあっても結局はまた鳴り始めるので、根本的な改善には至りませんでした。
また、ドラムを磨くということは削っているということなので、その内ブレーキの効きそのものに影響が出てしまいます。
ロードバイクなどのスポーツタイプの自転車に乗っている方は分かると思いますが、ブレーキは消耗品の交換で制動力をよみがえらせることができます。
消耗品は主に、ブレーキを動かすワイヤーや、ブレーキシュー(ブレーキを掛けるためのゴム)となります。
しかし、バンドブレーキはゴムバンドやドラムが単体では販売されていないので、消耗品の交換はできません。
したがって、鳴きには応急処置くらいしか対処法がなく、根本的な改善はブレーキの交換ということになります。
バンドブレーキ以外でママチャリの後輪ブレーキに使用できるものは?
自転車の後輪に多いバンドブレーキのブレーキ鳴きは、交換が根本的な改善方法であるとお伝えしました。
ブレーキ鳴きが故障や消耗品の摩耗によるというより、構造上の問題である可能性の方が高いので、別の種類のブレーキに交換をするのが賢明です。
バンドブレーキは「ハブブレーキ」の一種で、他には「サーボブレーキ」や「ローラーブレーキ」があります。
また、ママチャリも前輪は、車輪の外周である「リム」で制動を行う「リムブレーキ」なので、リムブレーキという選択肢もありです。
ただし、リムブレーキの取り付けには台座を設ける必要があるので、あまり現実的な手段ではありません。
そうなると、ハブブレーキとなりますが、ローラーブレーキはバンドブレーキと互換性がないので交換が難しくなります。
筆者は例を知りませんが、理論上は車輪ごと交換すればローラーブレーキ化できるのでしょうが、工賃が恐ろしく高そうなので止めておきましょう。
ママチャリの後輪ブレーキの交換は誰が行うのがよい?
前項のお話からすると、ママチャリの後輪にはサーボブレーキが適しているという判断になります。
サーボブレーキはバンドブレーキと違って、構造上の問題によるブレーキ鳴きは考えにくいものです。
価格も安価ですし、同じハブブレーキなので、バンドブレーキからの交換も工具さえあれば自力でも可能です。
ただし、工具が揃っている上に、ある程度自転車いじりに精通しているような方なら困難ではないですが、一般の方にはとてもハードルの高い作業です。
ママチャリの後輪にはブレーキの他にも、スタンド、ギアの歯車、荷台などが付属していますので、配置具合によってはこれらをすべて取り外す必要があります。
また、交換時はバンドブレーキのドラムを外さなければなりませんが、きつく締め込まれており素手ではとても外せません。
専用工具がありますが、これが5,000円前後しますし、オートバイ用のギア外し(プーリーホルダー)で代用もできるようですが、これも1,500円程度します。
ドラムを外すことにしか使わないと思われるものにこの投資は少し疑問があり、得策ではない気もします。
では、自転車屋さんで交換してもらうとどのくらい費用が掛かるのかといいますと、2,000円前後が目安でしょう。
これに部品代が別で必要になります。
最初からバンドブレーキ以外を使用している自転車を購入する手もある
今回はママチャリの後輪ブレーキのブレーキ鳴きの改善をテーマに、バンドブレーキの交換を推奨させていただきました。
交換にもそれ相応の費用と手間がかかることを考えれば、新しく自転車を購入する、もしくは買い替えるという際に、バンドブレーキを使用しているものを避けるという手もあります。
実際にバンドブレーキ搭載のママチャリを一切取り扱っていない自転車屋さんもあるくらいなので、最初から意識的にサーボブレーキやローラーブレーキ仕様を狙うのもありでしょう。
ママチャリは今や1万円以下でも購入できる時代であり、そういったものはほとんどがバンドブレーキを使用しています。
先ほども触れましたが、バンドブレーキは制動力自体に大きな問題があるわけではないので、安価な自転車に使用されているから否定するというものではないです。
しかし、いつブレーキ鳴きが発生してもおかしくないですし、鳴ってしまったらこの世のものとは思えないほどの爆音が響いてしまうこともあります。
中には音がうるさすぎてブレーキを掛けるのをためらうなどという、本末転倒な考えまで生まれてしまう始末なので、最初から避けるという手も大いにありでしょう。
バンドブレーキはブレーキ鳴きありきで考える
今回は自転車の中でも、特にママチャリの後輪に多く採用されているバンドブレーキのお話をしました。
ブレーキ鳴きは構造上の問題である可能性が高く、いつどのブレーキが鳴き出すかも分からない厄介さもあります。
鳴き出してしまったら交換するしか根本的な改善方法がなく、サーボブレーキへの交換が推奨されます。
また、今後は最初からバンドブレーキ以外を使用している自転車を購入するのが、賢明かと思います。