ロードバイクのタイヤは黒色が多いですし、ロードバイクに限らず、多くの乗り物のタイヤは黒です。
しかし、ロードバイク用のタイヤは赤、青、黄色などカラータイヤも市販されていますし、レースで使用している人もいます。
以前から安全性が疑問視される中で、市販が継続されており、レース使用も有るという事は問題が無い様に思いますがどうなんでしょうか?
今回は、そんなカラータイヤについて考えてみましょう。
ロードバイクに赤いタイヤは”あり!”
最初にタイトルで投げかけた「赤はダメなのか?」について先に結論を言いますと、「赤色のタイヤはロードバイクに”アリ”」です。
特に色によって機能が変わるわけではないので、厳密に言えばカラータイヤがありという意味です。
確かにロードバイクの多くの完成車のタイヤは黒色ですし、市販品でも恐らく90%以上は黒でしょう。
しかし、有名メーカーでも、種類は少なくてもカラータイヤがラインナップされていますので、需要がそれなりにあるという事です。
カラータイヤと一口に言っても、色が付いている物全てという事ではありません。
タイヤ全体が塗装されている物もあれば、サイドだけが着色されている物もあります。
一般的には、地面に接する部分まで全て黒以外の色になっている物を、カラータイヤと言います。
では、なぜカラータイヤが「あり」「なし」を議論されるのかというと、この接地面まで色が付いている事で性能が黒タイヤに比べて落ちるとされているからです。
後述しますが、タイヤの滑りにくさである「グリップ力」が、黒タイヤに比べてカラータイヤは低下するというのです。
ロードバイクのタイヤが黒い理由
ロードバイクなどの自転車のタイヤは「ケーシング」という繊維層の上に、「トレッド」と呼ばれるゴムを被せます。
そして、サイドにまた別のゴムを貼りつけてあるという構造です。
従って、赤色などのカラータイヤは、表面のトレッドが着色されているという事です。
タイヤのトレッドには様々な性質があるのですが、基本として滑りにくくする為のグリップ力は、一定レベルで備わっています。
グリップ力が弱ければ滑りやすいだけでなく、ブレーキの効きにも影響を及ぼすので使用できません。
その為タイヤはグリップ力を強化する為に、トレッドのゴムに「カーボンブラック」という炭素の粉を混ぜています。
その粉を混ぜる事で、タイヤは必然的に黒くなっています。
しかし、カラータイヤは黒く出来ないのでカーボンブラックは使えません。
しかも、カーボンブラックと同等レベルの物を配合するとなると、高額になり過ぎて自転車のタイヤにはコスト的には使えなくなってしまうのです。
よって、性能がカーボンブラックより劣る事は分かっていても、他の物質を使用するしか無く、結果として黒タイヤよりもグリップ力が落ちるとされています。
グレードの高い赤色のタイヤも有る!
前項のお話は、カラータイヤはトレッドのグリップ力を強化したくても、出来ない事情があるという事でした。
その為なのかもしれませんが、以前はカラータイヤと言えば安価で性能が良くないというイメージが先行していた様に思います。
しかし、現在は技術も向上し、カラータイヤでも十分に性能面で黒タイヤと肩を並べられるものも出てきています。
それは同じ種類のタイヤで、黒とカラータイヤの両方をラインナップさせている物が増えている事でも分かります。
イタリアの「ヴェロフレックス」というメーカーがあるのですが、レース用の決戦タイヤの趣が強い高級なタイヤを多くラインナップさせています。
そのヴェロフレックスの中では、最廉価モデルに当たる「マスター」に、トレッド全面が真っ赤なタイヤがあります。
最廉価モデルと言っても、定価1本7,500円のタイヤですが…
私の知人がこのタイヤを履いていますが、以前に履いていた黒タイヤよりもグリップ力は間違いなく強いと言います。
以前に履いていたタイヤは有名メーカーのミドルグレードだったらしいですが、その変化の度合いに感動していた事を覚えています。
ヴェロフレックスの様な高い技術を持つメーカーであれば、レベルの高いカラータイヤを製造する事も可能という事なのでしょう。
レベルの低いタイヤは黒でも赤でも危険性は同じ
私が友人や知人にタイヤの話をする時は、「ミドルグレード以上の物を履こう」と提案します。
なぜかと言うと、ロードバイクのタイヤは様々な性質が有って、それをバランス良く兼ね備えていくほどにグレードが上がっていくからです。
安価なタイヤは多くの性質が盛り込めないので、とりあえず耐久性と耐パンク性に特化させています。
表面のトレッドを分厚くして、密度の濃い耐パンクベルトで固めたりしますので、硬くて重いタイヤが多くなります。
その分、「転がりが悪くなってスピードが出ない」、「漕ぎ出しが重い」などとなる訳ですが、これは特にホビーライダーなら致命的ではありません。
しかし、滑りやすい、ブレーキが効きずらいとなると、レーサーであろうが、ホビーであろうが致命的です。
従って、黒タイヤであってもグレードが低い物は、危険性があるという事です。
ですから、赤や青などのカラータイヤだけを取り立てて、危険性が高いと言うのは筋が違うでしょう。
先述した通り、今は技術が革新されており、十分なグリップ力を持つカラータイヤも出てきているわけですからね。
ロードバイク用カラータイヤ
それではここから、評判の良いカラータイヤをご紹介します。
ネットや私の周囲の人の評価や評判を参考に取り上げさせて頂きます。
【Vittoria(ヴィットリア):rubino pro(ルビノプロ)】
イタリアの「ヴィットリア」のミドルグレードのタイヤで、トレッド面中央に細く黒部分がありますが、周囲は全て着色されています。
色は、赤、青、黄色、白で、黒一色もあります。
バランスの良さが売りのオールラウンドタイプで、犠牲になっている性質が一つもないのが人気を集めている理由でしょう。
私は現在このタイヤの赤を装着していますが、約3,000㎞走ってトレッドに細かい傷などはありますが、ノーパンクです。
また、今のところグリップ力が落ちた感じも無いので、ある程度の耐久性も確保していると考えられます。
【Panaracer(パナレーサー)クローザープラス】
25cで220gの軽量タイヤで、ロードバイク本来の走りの軽さを体感できます。
パナレーサーの上位モデルに採用されている、ハイエンドの耐パンクベルトを使用しており、普段使いにも安心です。
カラーバリエーションはルビノプロと同じで、こちらはトレッド表面にカラーのラインが入っているというイメージです。
赤を挿し色としてラインで使うタイヤ
ロードバイクのカラータイヤを紹介していますが、ワンポイントで挿し色程度に欲しいという人は【Michelin (ミシュラン)】がおすすめです。
多くのタイヤのサイドにカラーラインを入れており、特に赤などは本当に良く見掛けます。
とても鮮やかにラインが着色されていて、こんなところにもミシュランの技術が発揮されているのだなと感心した事がありました。
ミシュランはバランスというよりは性能を特化させるのが特徴で、その分大胆にカットしてしまう特性もあります。
その為に、以前は耐久性に難ありと言われていたのですが、現在は耐久性重視のタイヤも製造されています。
その他のメーカーでは、前出のパナレーサーもサイドラインのタイヤが多いですし、あの硬派なイメージの「コンチネンタル」にもちらほら見られる様になりました。
ドレスアップとまでは大げさですが、さりげないおしゃれに一考しても良いのではないでしょうか。
カラータイヤでも黒タイヤでも安全性重視が基本
今回はカラータイヤについて考えてみましたが、以前から有った酷いイメージは薄れてきていると考えて良さそうです。
何より、グレードが低い物は黒タイヤもカラータイヤも危険性は同じという事です。
タイヤは命に関わる事ですから、色も大事ですが、安全性重視で選ぶのが基本中の基本です。