「TARMAC(ターマック)」はスペシャライズドのレース仕様のロードバイクの中では、レースの質を問わないオールラウンドモデルです。
プロ選手にも提供されているモデルですが、インプレではガチガチに硬いという声は聞かれず、扱いやすさが強調されているように感じます。
今回は、そんなターマックについてお話していきます。
スペシャライズド「ターマック」はインプレで乗りやすさが評価されている
スペシャライズドの「ターマック」は、2017年のツール・ド・フランスで、スロバキアの英雄「ピーター・サガン」が駆っていたロードバイクです。
トッププロが使用する機体ですからレース色が強いのは当然なのですが、ターマックは乗り心地のよさがインプレで評価されています。
レーシングバイクはプロの脚力でもパワーロスをしない仕様にするため、剛性が高く乗り味が硬くなってしまいます。
しかし、ターマックはカーボンフレームの積層の厚みを変え、パワーロスをしてはいけない部分には厚く、そうではない部分は薄くしています。
また、フレームを形成するチューブの形状を工夫することで、地面からの突き上げをいなし、衝撃を吸収する仕様になっています。
そのため、高い剛性はそのままに、乗り心地のマイルドさと扱いやすさが加味されています。
ターマックはスペシャライズドの技術の結晶
スペシャライズドには「ルーベ」という、長距離や石畳コースを走るために開発されたエンデュランスモデルがあります。
近年のルーベは、MTBのサスペンションに似た衝撃吸収システムまで搭載していますので、乗り心地ではさすがにターマックもかないません。
しかし、ロードバイクは多少なりとも硬めで扱いが難しいくらいが醍醐味という意見もありますから、その中間を取るとターマックにたどり着くという感じです。
また、ターマックは近年エアロ形状を取り入れることにも力を注いでいます。
これはロードバイク界全体の流れでもありますが、空力性能を上げながら硬すぎないフレームを作る技術が発達しているということです。
あるプロショップの店員さんのブログには、スペシャライズドのエアロロード「ヴェンジ」との比較がされていました。
その中でも印象的だったのは、直線のスピードの伸び方はむしろターマックが有利であるというインプレです。
平坦向きとされるエアロロードに直線スピードで勝るというのは、万能型ロードバイクの極みとも言える域です。
スペシャライズド「ターマック」はヒルクライム向きとのインプレもある
冒頭でスペシャライズドの「ターマック」は、レースの質を問わないオールラウンダーという話をしました。
その中でも、ターマックは全体的に重量が軽いので、軽さが要求される登坂競技の「ヒルクライム」によく使用されているのが、インプレからも読み取れます。
実際にピーター・サガンも、2017年のツール・ド・フランスの山岳ステージでターマックを使用する予定でした。
しかし、山岳ステージの前に失格処分となり大会から退いたため、使用は幻に終わってしまいました。
いずれにしてもプロが山登りに使おうとした機体ですから、その適正は言うまでもありません。
ターマックが山にも強いということが分かりましたが、これから本格的にレースを始めようとするライダーさんは、ターマックでヒルクライムに挑戦してみてはいかがでしょうか。
また、ロードレースなどは基本的に集団走行になりますので、駆け引きなどもあり、慣れていないと落車の危険性もあります。
その点、ヒルクライムは脚力によって差が大きくつくので、集団走行になりずらいという特徴があります。
また、ヒルクライムは距離が短いので、レースに向けた体力が出来上がっていない内は、体力を身に付けることでも役に立ちます。
スペシャライズド「ターマック」のラインナップ
「ターマック」の全体的な特徴についてお話しましたので、ここからはラインナップをご紹介します。
ターマックは「ヴェンジ」「ルーベ」と共に、スペシャライズドのカーボン御三家と呼ばれる基本モデルです。
その中でプロチームに提供されているモデルを「S-Works」として差別化し、車体のロゴマークも「S-Works」としています。
「S-Works」ターマックの中でも「S-Works Tarmac Men Ultralight」は、フレーム重量が700g前半と言われています。(スペシャライズドは重量が未公表)
これは、特筆すべき軽さであり、クラス最軽量を謳うトレックの「エモンダ」との重量競争も話題になっています。
S-Worksターマックはその他にも2種類あり、完成車は全て100万円を超えますので、一般ユーザーのインプレは少ないです。
ここまで本格的なロードバイクになると、やはりプロ仕様という趣が強くなりますね。
ノーマル「ターマック」もS-Worksモデルに引けは取らない!
S-Worksは、スペシャライズドのフラッグシップモデルとして、ある意味広告塔の役目も果たしています。
そのため、販売の軸はノーマルモデルということになり、車体のロゴが「SPECIALIZED」のものがそれに当たります。
ノーマル・ターマックの2018年モデルは全6種類、S-Worksよりもカーボンのグレードは落ちますが、元の性能が高いので何ら問題はありません。
しかも、ジオメトリは変わりませんので、レースモデルと同じ形状のロードバイクに乗れるのは大きなメリットです。
特にノーマルでは最上位モデルの「Tarmac Men Expert」は、シマノ・アルテグラのフルコンポに、S-Works製のフロントフォークとシートポストを採用しています。
ホイールは手組みですが、軽量で名高い「Roval」製のリムに、回転力に優れる「DT Swiss」のハブで組んであります。
インプレでもこのホイールへの高評価が目立ちますので、「手組み=レベルに問題あり」と考える必要はありません。
43.2万円ですから簡単に手が出る金額ではないですが、よいものに長く乗るという考え方なら視野に入ってくる一台です。
ターマックのエントリーグレードのインプレ
「ターマック」のようなプロが使用するモデルに、ホビーライダーに手の届きやすいグレードが用意されているのはスペシャライズドのみならず、ロードバイクのよいところです。
ターマックにもエントリーグレードの「TARMAC MEN SPORT」「TARMAC MEN」が用意されています。
リア11速ならTARMAC MEN SPORT、10速ならTARMAC MENという違いですが、フレームは同じものが採用されています。
ターマックに乗り心地のよさがあるのは先述通りですが、上位モデルはそれでもレース色が濃い分、硬めであることは事実です。
ですから、乗りやすさに関してはこのグレードのフレームが、ターマックの中では一番というインプレの評価があるのは、筆者も同じ考えです。
筆者もTARMAC MEN SPORTに試乗したことがありますが、素直に反応してくれるレーシーさがありながら、驚くほど地面からの衝撃をいなすこのバランスに感心しました。
強いて言うならホイールに少し重さを感じましたので、そこを改善すれば筆者のようなホビーライダーでもレースを狙える機体ではないのかと思います。
ターマックはただ硬いだけのレーシングバイクではない!
今回はスペシャライズドの「ターマック」をご紹介しました。
インプレでは総合的な評価の高さと、乗り心地のよさが特に目立ちます。
トップライダーが乗るロードバイク特有の扱いの難しさが、緩和されている印象もあるので、最初の一台としてもおすすめ出来ます。