ロードバイクホイールのリムステッカーは剥がした方が良い?

ロードバイクのホイール、特にカーボンのディープリムなどは、メーカーロゴや商品名がデザインされたリムステッカーが貼ってあってカッコ良いですね!

特に、黒やシルバーなど、シンプルなカラーのホイールリムには、リムステッカーが貼ってあるようです。

しかし、このリムステッカー、レースとなると多くの人が剥がしてしまっています。

せっかくカッコ良いリムステッカーなのに、なぜ剥がしてしまうのでしょうか?

剥がした方が良い理由が何かあるのでしょうか。

少し考えてみましょう。

ロードバイクのホイールにリムステッカーが貼られる理由とは

ロードバイクのホイールに貼られているリムステッカーですが、なぜ、ほとんどのロードバイクのリムにはステッカーが貼ってあるのでしょうか?

少し思い出してみてください。

ママチャリのホイールにはリムステッカーが貼ってあるでしょうか?

ほとんど貼ってあるのを見たことはないかと思われます。

もう一つ、想像してみましょう。

ママチャリのパーツをバラバラに買って、一台のママチャリを組み上げることはあり得る話でしょうか?

こちらも恐らく、ないのではないでしょうか。

「完組み」の状態で購入することが多いママチャリの部品には、ステッカーやペイントでメーカーロゴや商品名がデザインされることはほとんどありません。

反対に、ロードバイクの場合はどうでしょうか?

一番はじめは「完組み」の「吊るし」自転車を買うかもしれません。

しかし、その状態で乗り続けるライダーは、少ないのではないでしょうか?

乗っていればすぐに「サドルが固い!」「ステムが長い!」といった不満が出てくるものです。

そこで、パーツごとに買いそろえてカスタムできるのが、ロードバイクをはじめとするスポーツ車の良いところですよね。

ただそうなると、パーツごとにメーカーロゴや商品名を入れなければ、実際に自転車に付いているパーツが何なのか、乗っている本人さえ分からなくなってしまいます。

それを防ぐのが、ホイールのリムステッカーに代表される、数々のステッカーやペイント類なのです。

ただ、その目的のためだけであるならば、カッコ良くデザインされている必要はありません。

メーカーとしては、そのデザインを含めてパーツを楽しんでほしいのでしょう。

なぜロードバイク乗りはリムステッカーを剥がしたがるのか?

ロードバイクの大会の様子を見ていると、ホイールに貼られていたであろうリムステッカーを剥がしてしまっているライダーが意外に多いことに気づきます。

もともと別売りパーツとして、それが何なのかをはっきりさせる目印として付けられているリムステッカーですが、マシンのデザインを決める重要な要素となっています。

ホイールリムという、大きな面積を占める部分のデザインですから、あるのとないのとでは、デザインがガラッと変わります。

あったらあったで、とても良いのではと思われますが、それでも剥がしてしまうライダーが多いのには、それなりの理由があります。

その最大のものは、リムステッカーの「重さ」です。

ホイールに貼り付けられているリムステッカーは、ホイール一本分を合計しても、大抵20gに届きません。

しかしながら、ロードバイクのホイールは、末端速度30~50km/h、あるいはそれ以上のスピードで回転しています。

そうなると、たかが数g程度の重さでも無視できなくなってきます。

例えば、登坂の多いコースを走るときなどは、1gでもマシンを軽くしたいものです。

ホイールのリムに貼ってあるシール一枚すら憎たらしくなってくるほど、真剣な方もいるのです。

それゆえ、リムステッカーを剥がすのです。

また、ものによっては、同じデザインのリムステッカーが片側だけで3~4枚貼られていることもあります。

剥がす派の人にとっては「同じものがいっぱいあって、(デザイン的に)うるさいから」というのも、ステッカーを剥がす理由になっています。

これでもう失敗はなし!ホイールのリムステッカーの剥がし方

「よし、ホイールのリムステッカーを剥がそう!」と思っても、上手くできるかどうか分からないと不安ですよね。

ここでは、ホイールのリムステッカーを綺麗に剥がし、且つリムそのものも傷めない方法をご紹介します。

【リムステッカーを剥がす】

ロードバイクに限らずですが、リムステッカーを剥がすときの一番のリスクは、ステッカーの下にある塗料がステッカーと一緒に剥がれてしまうことです。

特に、ブラックのような不透明なマット塗装になっている場合は、ステッカーと一緒に塗装がパキパキと割れながら剥がれ、見るも無残な姿になってしまいかねません。

そんなときにお勧めしたい方法が、シールされたステッカーをドライヤーで2~3分温める方法です。

温めることによって、ステッカーとリムをつなぎ留めている粘着剤が柔らかくなります。

そのため、粘着剤に負けて塗装が剥げてしまうのを防ぐことができます。

【剥がした後のベタベタの処理】

ドライヤーを当てて粘着剤を柔らかくしてリムステッカーを剥がした後、上手くいけば何の処理もいりませんが、場合によっては粘着剤が残ることがあります。

インターネットなどで調べてみると「ライターオイルを塗る」「パーツクリーナーで洗う」など、色々な方法が紹介されていますが、どちらもそれなりにコストがかかります。

そこでお勧めしたいのが、「消しゴムでこする」という方法です。

消しゴムなら、どのご家庭にもありますよね?

消しゴムの成分と粘着剤の成分は、とてもくっつきやすい性質があります。

そのため、消しゴムでこすると、文字が消えるのと同じようにゴムが粘着剤を巻き込んで、綺麗にベタベタをとることができます。

ただし、「砂消し」は紙の表面を削り取って文字を消す消しゴムであって、ベタベタと一緒にリム自体に傷を付けてしまいますから、使ってはいけません。

せっかく剥がすのならばホイール全体の重心バランスを考えて

リムステッカーを剥がす方法を一度身に付けてしまうと、ホイールを買うたびにすべて剥がしてしまいたくなりますが、せっかくなので「重心バランス」を考えてみましょう。

ロードバイクのホイールは、そうでなくても高速で回転するため、ほんの少しの重量バランスの狂いが回転に大きく影響します。

試しに、ホイールを地面から浮かせた状態で回してみてください。

驚くほどバランスが悪く、回転がブレることに気付くと思います(ハイクオリティなものは、重心のバランスが崩れないように調整されていることもあります)。

走行中は体重が乗っているので全く気付きませんが、ホイールの回転に余計な力がかかっていると、走行性能は大きく損なわれてしまいます。

これは、リムの板金をつなぎ合わせるときに「ダボ(つなぎの役割をする短い金属棒)」を入れるのが原因ですが、これ一つでも10g程度はあります。

ホイールの回転が終わるまで待って、いつも同じ場所が下になるのであれば、そこはリムの中で一番重さがある部分です。

そのため、その近くのリムステッカーのみを剥がせば、重量バランスをいくらか整えることができます。

ただし、以前はバランスが取れていたのに、タイヤを変えたらバランスが狂った、ということはよく起こります。

新品のタイヤを履くときは、改めてバランスを見てくださいね。

リムステッカーを剥がしたロードバイクはオシャレにカスタム

リムステッカーを剥がしてしまったロードバイクのホイールは、たいてい黒一色かシルバー一色のように、地味なものになってしまいます。

中には、地金がメタリックカラーに塗られているものもありますが、それでも派手さはグッとなくなってしまいます。

だからこそ最近では、黒以外のカラータイヤがたくさん出回ってきているわけです。

しかし、ハイクオリティになればなるほどロードバイクのタイヤは黒ばかり、どんどん「品質本位」になっていきます。

そこで、せっかく余計なものがなくなって、シンプルになったホイールですから、何か描いたり貼ったりしてみましょう。

例えば、ディープリムのエアロホイールであれば、自分のサインを白いペンで書いてみてはどうでしょうか。

それだけでも、アピール度抜群のホイールができ上がります。

また、好きなアニメキャラクターのステッカーを作って貼り付ければ、それだけでもう「痛車」ならぬ「痛チャリ」の完成です。

ただし、ブレーキシューが触れる部分(ここだけは必ず地金の色です)だけは、ブレーキ性能に影響し、またすぐに剥がれてしまうので、塗ったり貼ったりしてはいけません。

また、せっかくリムステッカーを剥がしてから、わざわざ重さのあるステッカーや塗料を乗せることは「リムステッカーを剥がした」という努力が無駄になる行為でもあります。

なので、あくまで「自己主張のためのオプション」と考えましょう。

ロードバイクは何も飾らないマットホイールも意外にオシャレ

リムステッカーを剥がしてしまったロードバイクのホイールは、本当に何の自己主張もなく、「ただの輪っか」でしかなくなってしまいます。

ただ、そんな全く自己主張のないホイールであるからこそ、タイヤのカラーリングや、ボディの美しさに目が向くことになります。

マットなホイールは、クロモリのシンプルなデザインのロードバイクフレームに合わせたら、より全体が締まってカッコ良いのではないでしょうか?

また、ごまかしの利かない機能面を前面に押し出すことになるため、より本質的・直接的な武骨さを持った美しさのあるマシンに仕上げることができます。

勝てる脚を持ったライダーと実用本位の「勝つための」マシンの組み合わせは、主張なんてしなくてもレースで十分に目立つことでしょう。

それに、若者のようにアイテムをどんどん足し算していくのもオシャレかもしれませんが、敢えてアイテムを減らしていく引き算のオシャレも、余裕が見えて良いものです。

そういった意味では、一切の飾りを排したロードバイクのマットホイールは、究極のオシャレの形、ということもできるかもしれません。

若者には分からない、そういった余裕のあるオシャレを楽しむことができるのも、リムステッカーを一切排したマットホイールがあればこそです。

リムステッカーを剥がしてオシャレを楽しもう!

ロードバイクのライダーの多くがリムステッカーを剥がすのは、車体を軽くするためであったり、カスタムして個性を出すためなのですね。

リムステッカーは貼りっぱなしでも良いですが、剥がせるものは全て剥がしてシンプルにすると、また違ったカッコ良さが出ます。

リムステッカーを上手に剥がして、ぜひ自分の美学に見合ったマシンを作ってみましょう。