自転車に乗っていると、「異音」に悩まされることがあります。
中でも、ママチャリにありがちな「キーキー」音や、「シュッ」と擦れるような音はブレーキが原因と見られます。
また、違った音でもブレーキが原因であることが多いので、今回はブレーキ音の直し方についてお話します。
自転車のブレーキ音には直し方が無いものもある
まずブレーキ音の代表選手といえる、ママチャリの「キーキー音」についてお話します。
ママチャリは前輪用のブレーキと後輪用のブレーキに、全く別の種類のものを採用しています。
したがって、どちらのブレーキから音がしているのかが、すぐに分かります。
もし、ハンドル左側のレバーを引いた時に音がするのであれば、後輪用のブレーキが原因です。
昔からママチャリに採用されている「バンドブレーキ」は、通称「キーキーブレーキ」とも呼ばれています。
このブレーキは車輪中央のハブに取り付けられた「ドラム」の回転を、ゴム製のバンドで締め付けて止めるという仕組みです。
この制動動作を行う際に、構造上音が出てしまうのがバンドブレーキです。
そのため、これは故障や消耗品の劣化では無いので、直し方がありません。
しかし、誰もが構造上の音だと知っているわけでもないので、故障かと思って街の自転車屋さんに駆け込む人も少なくありません。
そこで毎回同じ説明をするのも骨が折れることなので、それを見越して最初からバンドブレーキを採用している自転車の販売をしないお店もあるくらいです。
ブレーキ音の直し方が無いバンドブレーキは交換するのが最善策
自転車のブレーキ音の中でも、ママチャリのバンドブレーキの「キーキー音」は直し方が無いと申し上げました。
音がしても構造上の問題なので制動力に問題は無いのですが、筆者も経験がありますがブレーキを掛けるのをためらうほどの凄い音です。
そのため、その音で悩んでいるようであれば、解消する方法はブレーキを交換するしかありません。
バンドブレーキと互換性があるのは「サーボブレーキ」で、ママチャリでも少しグレードが上がるとこちらが採用されています。
バンドブレーキの欠点を解消しているので、基本的にキーキー音は発生しません。
ブレーキ本体も安価ですから、精神衛生上からも交換をおすすめしたいところです。
ただし、交換を自力で行うとなると少しハードルが高いです。
ママチャリは車輪を本体から外すのがひと苦労ですし、元通りに組み直すのも骨が折れる作業です。
そして、交換にはバンドブレーキのドラムを抜く必要がありますが、これには専用工具がいります。
この工具はドラムを抜くためだけのものですが、約5000円程度します。
しかし、この工具を用意するのなら、調べてみたところ工賃は部品込みで約2000円程度でしたので、自転車屋さんに頼んでしまった方がリーズナブルです。
自転車のリムブレーキのブレーキ音の原因
ここまでは、ママチャリの後輪ブレーキである、バンドブレーキのブレーキ音についてお話しました。
次はママチャリでは前輪に採用されており、スポーツバイクでは主流となっている「リムブレーキ」についてです。
リムはホイールのタイヤをはめる部分で、ここに「ブレーキシュー」というゴムを押し当てて摩擦を起こすことで制動するブレーキです。
摩擦が起きるので多少の音は避けられないものですが、原因を探るのは大切なことです。
まず、自転車を購入してすぐに音が鳴るようでしたら、それはゴムが馴染んでいないだけなので少し待ってみてください。
次に考えられるブレーキ音の原因は、シューかリムの汚れや異物によるものです。
リムブレーキは地面と近いところで仕事をしていますので、汚れますし、シューはゴムですから金属片やガラスなどが刺さることもあります。
また、リムにはシューが摩擦熱によって溶けたカスがこびりついてしまうこともあります。
こういった、異物や汚れが金切音のような音の原因になります。
直し方としては、シューの異物を取り除くか、リムの清掃ということになります。
リムブレーキのブレーキ音の直し方
リムブレーキのブレーキ音はリムの汚れや、ブレーキシューに異物が挟まっている可能性が高いです。
そのため、直し方としては、まずリムの清掃をしてみましょう。
日常的な清掃なら中性洗剤で大丈夫ですが、それでも落ちない頑固な汚れは削ってしまうのが最善です。
特に黒っぽい汚れはシューのカスですので、なおさら削ってしまいましょう。
砂消しゴムや紙やすりを使う手もありますが、筆者の経験上工業用の砥石を使用するのが一番です。
「K-141」「K-142」で検索すると出てきます。
リムが削れて汚れが取れると研磨する感じが軽くなりますし、表面が輝いてきますのでそうなれば異音が解消される可能性は大きくなります。
それでもまだ音がする場合は、ブレーキシューに原因があると思われます。
可能性としては先述したように、異物が刺さっている場合と、根本的に摩耗してすり減ってしまっていることが考えられます。
いずれにしても一度取り外す必要がありますので、六角レンチやモンキーレンチなどの工具があるか確認してから行ってください。
もし工具が無い場合は自転車屋さんに行って、作業してもらってください。
自転車のブレーキ音の直し方の代表例「トーイン調整」とは
自転車のリムブレーキはブレーキシューとリムの当たり具合を調整することで、ブレーキ音がしなくなることがあります。
「トーイン調整」といいますが、ブレーキ音がする場合にブレーキシューの角度を見直す方法です。
簡単に出来るので、直し方をご説明します。
まず、ブレーキシューの固定ボルトを自由に動く程度まで緩めます。
シューとリムに1㎜程度の間隔があることを確認したら、シューの後ろ半分に1㎜くらいの物を挟みます。(普通紙を四つ折りにすると約1㎜の厚さになります)
この状態でブレーキレバーを握り、シューの前側がリムと接触したら固定ボルトを締めます。
最後に挟んだ物を抜き取り、正面から見てシューの後ろ側が少し広がり、カタカナの「ハ」の字に見えれば調整は成功です。
トーイン調整を行うとブレーキを掛けた際にシューの当たりに時間差が生まれるので、効き方が直線的では無くなります。
ワンテンポ置いてゆっくり効くような感覚になりますが、制動力に問題はありませんのでご安心ください。
走行中の異音もブレーキが原因かもしれない
自転車のブレーキを掛けた時にするブレーキ音は比較的分かりやすいといえますが、走行中に常時鳴っている音でもブレーキが原因の場合があります。
リムはスポークの張り具合によって真円形を保っていますが、走行中にスポークの張りが緩みリムが歪んでしまうことがあります。
リムは歪んでしまうと左右どちらかに引っ張られた状態になるので、常時ブレーキシューに接触します。
そうなると、「シュッシュッ」と擦れた音がしますので、非常に違和感が出てしまいます。
リムの歪みは「振れ」という現象で、ホイールのグレードに関係なく発生します。
直し方は、スポークの張り具合を修正するのですが、振れ取り台やニップルレンチなどの専用工具がいりますので、自転車屋さんにお願いするのが普通です。
単なるブレーキシューのズレかもしれませんので、確認してズレていないようならお店に持っていきましょう。
ブレーキ音は可能性を順番に潰しながら直していきましょう
今回は自転車のブレーキ音の直し方についてお話しました。
ブレーキ音は原因を特定するのが難しいのですが、今回お話したものを1つづつ潰していきましょう。
それでも直らない場合は、重大なトラブルに繋がる可能性もありますので、自転車屋さんに見てもらうことをおすすめします。