ロードバイクのタイヤサイズは数年前は23cが主流でしたが、最近のトレンドは25cになっています。
それに伴い、ホイールのリム幅もワイドリムと呼ばれるものが増えてきて、今ではほとんどのものがワイドリムになってしまいました。
そこで、そもそもなぜリム幅が変更されたのか、その理由は、などリムについて詳しくご説明していきましょう。
ホイールのパーツをおさらい
ホイールは様々な部品で構成されています。
ホイールの中心であり、回転体である「ハブ」。
ハブとリムをつなぎ、ハブとリムの力の伝達を行っている「スポーク」。
スポークの前後端で、ハブやリムと接続するための「ニップル」。
ホイールの外周部でリムブレーキの場合はブレーキ面も担い、タイヤを支えるための「リム」。
このように大きく4つの部品に分けられます。
それぞれが別々の役割を持っており、どれも欠かすことのできない部品です。
そして、ニップル以外の部品はグレードによって素材などが違います。
ハブのベアリングの素材は、下位がスチール、上位はセラミック。
スポークの素材は、下位がステンレス、中~上位はアルミ、上位はカーボン。
リムは、下位がアルミ、上位はカーボン。
このようにホイールもロードバイク同様に、基本的に上位のものはカーボンが素材となっています。
そして、リムはリム幅やリムハイトなど素材だけではない違いがあります。
今回は、その中でもリム幅について詳しく触れていきます。
ロードバイク用ホイールのリム幅とリムハイト
さて、リムのリム幅、リムハイトそれぞれについてみていきましょう。
まずはリム幅についてです。
一般的にリム幅と呼ばれるのは、リムの横幅のことです。
そして、リムの外側の寸法ではなく、内側の寸法をさします。
それはなぜかと言いますと、リム幅によって適正タイヤ幅が違ってくるからです。
少し前まで主流だった、今ではナローリムと呼ばれるリム幅15c、内幅はおおよそ数字通りの15mmになるのですが、その場合の適正タイヤサイズは23c~32cとなります。
そして、今の主流となっているワイドリムと呼ばれるリム幅17cの場合は、適正タイヤサイズが25c~35cとなります。
メーカーによっては『23cも大丈夫ですよ』とアナウンスしているところもありますが、ETRTO規格上では上記のように分けられています。
次にリムハイトについてです。
リムハイトはリムの高さのことです。
ほとんどが、24・35~40・50・60・75~80に分けられています。
同じ素材を使い、メーカーも同じであれば、リムハイトが低いほうが重量が軽くなります。
ヒルクライムに関しては、軽さを重要視される方が多いですが、実はそれだけが重要なわけではありません。
特に体重やパワーがある方は、重量よりも剛性の高いホイールを選んだほうがいい場合があります。
その場合は、ある程度リムハイトがあるものを選んだほうがいいです。
ロードバイクレースに出よう、またはすでに出ている方は、走るステージや状況によって、リム幅とリムハイトを考えるといいでしょう。
ホイールのリム幅が太くなることのメリット
では、数年前から世に出回り、今では主流になってきたワイドリムと呼ばれるリム。
このワイドリムのように、ホイールのリム幅が太くなったことによるメリットはどんなものがあるのでしょうか。
そもそも、ワイドリム化が進んだのは、タイヤ幅が関係してきます。
今もヒルクライマーの間では23cが主流ですが、世間の流れやプロの使用率は25cが主流になりつつあります。
それは
①転がり抵抗が低い
②振動吸収性に優れる
この2つが大きな理由になっています。
②はエアボリュームの増加ということで単純に説明がつくのですが、①に関して疑問を浮かべる方もいるでしょう。
それに関して簡単にご説明しますと、転がり抵抗というのはタイヤの幅方向への変形量と密接な関係があります。
物理の話にもなってきますが、かかる荷重と空気圧が同じである場合、設置面積は等しくなります。
そのため、タイヤ幅が細くなれば幅方向に地面と接触する面積が増え、路面からの抵抗が増えるという流れです。
数年前からこの話題が取り上げられ、タイヤ幅が太くなっていっているのは、今のロードバイク界でのトレンドとなっています。
ただ、今までのナローリムに25cを装着すると、タイヤ幅がリム幅より太くなり、設置面積も空気抵抗も上昇します。
これがワイドリムになると、タイヤ幅とリム幅が同じになり、設置面積の減少、エアロ効果の向上が図られます。
これがリム幅が太くなることのメリットになります。
ホイールのリム幅が太くなることのデメリット
では、リム幅が太くなることについてのデメリットはどんなものがあるのでしょうか。
それは
①リム重量の増加
②ロードバイクのフレームやブレーキキャリパーによっては装着不可能
大きなところは、この2点でしょう。
では、それぞれ個別にみていきましょう。
まず、リム重量の増加ですが、これは特にヒルクライマーの方にとっては最も大きな問題点でしょう。
ホイールにおけるリムは最も外側についています。
この部分の重量が増加すれば、慣性方向にかかる重量が増加しますので、漕ぎ出しに必要な力が増えます。
常に漕ぎ出し状態が続くヒルクライムでは少しの重量差でも、30分~1時間上り続けていると疲労度が違ってきます。
23cが主流ということから見ても、ナローリムホイールのほうが重宝されているのはこのためです。
次に装着不可能な点ですが、キャリパー側は今の世代のものであれば28cまで装着可能になっているため、問題ありません。
しかし、デュラエースであれば7900、アルテグラであれば6700世代以前はキャリパーの幅が狭いため、ワイドリムと組み合わせるタイヤによっては装着不可能です。
フレームに関しては、コンフォート系であれば問題ありませんが、2012年以前のレースフレームは特に23cタイヤに最適化されているため、装着不可能な恐れがあります。
ホイール購入を検討しているのであれば、自分のフレームをチェックしておいたほうがいいでしょう。
ロードバイクでの走行への影響
では、これらのメリット、デメリットも含めて、リム幅が太くなったことによるロードバイクでの走行の変化はどのようになるのか見ていきましょう。
ここでは、ナローリムに23cタイヤからワイドリムに25cタイヤへの変更を想定しています。
まずは、漕ぎ出しです。
先程も述べましたが、リム重量が増加したことにより慣性方向への力が必要になっていますので、漕ぎ出しは重く感じます。
カーボンリムであれば、太くなることへの重量増は大きなものではありませんが、アルミでは顕著に現れます。
では巡行はどうでしょう。
ここでは太くなったことでのメリットが出てきます。
転がり抵抗が低くなっているため、軽快な走行が出来ます。
それだけでなく、慣性方向にかかる力が増えているため、一度速度にのってしまえば楽になります。
エアボリュームの向上によって、振動吸収性と路面追従性も向上しているため、巡行時は楽になるでしょう。
そして、ヒルクライムです。
ここでは、漕ぎ出し同様に重さを感じることになります。
ただ、リム幅が太くなったことで剛性も向上しているため、パワー系ライダーであればこちらのメリットも感じられるかもしれません。
最後に、ダウンヒルです。
23cタイヤより25cタイヤのほうが幅方向に余裕があるため、倒し込んだときの安心感とグリップ感を感じられます。
以上のように、走行状況によってこのような変化が現れます。
今後予想されるロードバイク用ホイールの流れ
では最後に、今後のロードバイク界でのホイールの流れがどうなっていくのか考えてみましょう。
ホイール購入を迷っている方、検討している方の参考になればと思います。
まず、このリム幅の増大の流れからご説明しましょう。
これに関しては、さらに太くなる可能性があります。
と言いますのも、現在世界で戦うプロが重視しているのは、軽さよりも耐パンク性や衝撃吸収性と言われています。
毎日200km以上の行程を走り、ゴールスプリントでは70km/h以上で走らないと勝てないため、パンクしていては勝負になりませんし、脚を残す必要があります。
となると、それらが優先されるのも分かります。
そして、今は25cの最軽量クラスが220gですが、28cも同程度になり同じ空気圧での走行が可能になっていく可能性は十分に秘めています。
と言っても、まだ当分は今のリム幅になるでしょう。
そして、リムブレーキ排除、ディスクブレーキ化の流れです。
これに関しては、どちらも生き残っていくことになるでしょう。
ディスクブレーキはメリットは何点かありますが、当初言われていたホイールのリム重量の軽量化は全く進んでおりません。
ブレーキがないため外圧から耐える必要はありませんが、チューブ側からの圧に耐えるだけのリムを作ろうとすると、軽量化は相当難しいのでしょう。
また、ロードバイク全体の重量がリムブレーキに比べて500g程度増します。
これらは解消される流れが現状ないため、完全なディスクブレーキ化の流れはないと言えるでしょう。
ワイドリムと仲良く付き合っていこう
さて、ホイールのリム幅がなぜ太くなったのか、それがどのような影響を与えるかなどご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
現状、ホイールの流れはワイドリムになっており、これからはワイドリムと仲良く付き合っていく必要があります。
ワイドリムはデメリットもありますが、メリットも大きいです。
ホビーレーサー、ホビーライダーの方にとっては特にメリットを多く享受できますので、一度試乗などしてみてはいかがでしょうか。