いきなりですが、ロードバイクのタイヤサイズは「700c」と覚えてしまってください。
これからお話していきますが、自転車のタイヤサイズは規格が入り乱れ、表記がまちまちなので非常に分かりづらいです。
そのため、自分が乗っている車種のタイヤの規格と、サイズの表記方法を覚えてしまうのが、最も間違いが少ないです。
ロードバイクのタイヤは「WO(ワイヤードオン)」
自転車のタイヤには規格が複数あり、それぞれが譲らずに主張を続けて、現在に至ります。
タイヤサイズに、26インチや700cという、異なる表記があるのはそのためです。
タイヤは単体では、ただのゴムの塊であり、ホイールにはまって、初めて車輪として機能します。
タイヤのホイールにはめる部分のことを「ビード」と言いますが、ビードの形が違うことから、規格の乱立が始まります。
現在は、イギリスやフランスで古くから用いられていたWO(ワイヤードオン)が、自転車全体の80%を占めています。
一方、アメリカで多く採用されていたHE(フックドエッジ)が20%となっています。
そして、WOでも、イギリス規格とフランス規格に分類がされています。
ママチャリなどのシティサイクルは、イギリス規格。
ロードバイク・クロスバイクは、フランス規格です。
また、HEは、MTBやミニベロに採用されています。
自転車のタイヤにはインチ表記とミリ表記がある
市販されているタイヤのサイズは、外径×幅で表されていますが、規格の違いによって、表記方法が異なります。
WOイギリス規格は外径・幅をインチで表記し、幅は整数で表せないサイズもあるので、その場合は分数で表記します。
例えば【26×1-3/8】という表記のママチャリ用タイヤは、外径26インチ・幅1-3/8インチという意味です。
ここで、1インチ=何センチという質問が良く出ますが、1インチは2.54センチです。
しかし、自転車のタイヤの場合は、インチをセンチやミリに換算すると、余計にややこしくなってしまいます。
そのため、インチ表記のものは、インチで覚えたほうが賢明です。
一方、同じWOでもフランス規格はサイズをミリで表記し、適応するホイールのリムの規格を表す記号が末に付きます。
ロードバイクの代表的なサイズである【700×25c】は、外径700ミリ・幅25ミリで、c規格のリムに適合するタイヤという意味です。
ロードバイクのホイールは一部を除き700cなので、タイヤも700cを選べば、ほぼ間違いありません。
MTBなどに採用されているHEは、外径・幅をインチで表記し、幅の整数以外は、小数点表記になります。
【27.5×1.75】などが一般的で、外径27.5インチ・幅1.75インチという意味です。
なお、WOイギリス規格と同じインチ表記ですが、例え同じインチ数であったとしてもビードの形が違うので、互換性は一切ありません。
ロードバイクのタイヤの互換性は「ETRTO」で確認する
自転車のタイヤについては、自分が乗っている車種の規格を把握してしまえば、間違いは少ないはずです。
ところが、最近は車種の垣根を超えたカスタマイズなども流行っており、MTBにロードバイク用のタイヤを履きたいというような要望もあります。
そうなると互換性を確認しなければいけませんが、その際に役立つのが、統一規格の「ETRTO」です。
ETRTOは、タイヤの外径ではなく、ビード径で表されます。
ETRTOのビード径が同じであれば、リムにはめられるという意味なので、互換性があることになります。(WOとHEは互換性無し)
ETRTOは、タイヤ幅-ビード径の順番で表され、単位はミリに統一されています。
例えば、ロードバイクの700×25cは、ETRTOでは「25-622」となります。
そのため、WOのETRTOのビード径622ミリのタイヤであれば、例え○○インチと表記されていても、基本的にはロードバイクに適合すると考えて大丈夫です。
現在は従来の規格の表記と共に、ETRTO表記も義務付けられていますので、互換性の確認が随分と行いやすくなりました。
MTBの26インチと27.5インチは規格が違う
ETRTOは互換性を見るうえでは、非常に便利な規格ですが、幅の表記が全てミリになるので、数字だけでWOかHEを判断することができません。
現在は、MTBやミニベロにもWO規格のタイヤが存在するので、間違いが起きやすくなります。
そのため、ETRTOでビード径を確認し、幅は従来の表記で確認するのが、間違いが少ない選び方になります。
具体的な例を挙げてみますと、MTB用のタイヤは26インチはHE、27.5インチや29インチはWOです。
そのため、26インチのMTB用タイヤは、WO規格のママチャリには適合しません。
また、今のMTBの主流である27.5インチはWOのため、650Bというサイズ表記も見られます。
しかし、ETRTOのビード径は584ミリ、しかもB規格のリムなので、ロードバイクには適合しません。
29インチ(29er)は、ビード径が622ミリでc規格リムのため、ロードバイクに適合しますが、問題は太さです。
従来のロードバイクのフレームは、20~25cのタイヤを履くことを前提に設計されています。
ところが、29er用のMTBタイヤに、そんなに細いものはありません。
そのため、MTB用のタイヤをロードバイクに履かせるのは、ほぼ無理と考えられます。
インチ分数表記と小数点表記は規格の違いと覚えてしまう
ここまでの話を、いったん整理してみましょう。
自転車のタイヤの規格は、まず、WO(ワイヤードオン)とHE(フックドエッジ)に分かれます。
これはタイヤをホイールにはめる部分のビードの形状の違いなので、2つの規格に互換性はありません。
WOは、イギリス規格とフランス規格に分かれ、サイズの表記方法が異なります。
イギリス規格はインチ分数表記、フランス規格はミリ表記です。
また、同じWOであれば、ETRTOのビード径が合えば、互換性があります。
一方、HEは、インチ小数点表記です。
小数点はHEだけの表記方法なので、この時点で、WOとの互換性無しと覚えてしまえば簡単です。
タイヤの互換性に関しては、ETRTOのビード径で分かりますが、幅に関してはフレームとの関係なので、また別問題です。
例えば、ETRTOが同じ622ミリでも、幅が35ミリもあるタイヤは一般的なロードバイクにはめることは、ほぼ不可能です。
しかし、市場には700×35cというタイヤが出回っていますので、間違いが起きる可能性があります。
これは主に、シクロクロスやツーリングバイクのもので、純然たるロードバイクのタイヤではありません。
こういった複雑さも、スポーツ自転車の難しいところです。
ロードバイクのタイヤが細い理由
ここまでの話でお分かりかと思いますが、タイヤの大きさはビード径で表されます。
ビード径=ホイールのリム径なので、タイヤの大きさは、ホイールを交換しなければ変えることはできません。
そのために自転車のタイヤは、幅(太さ)で性格をコントロールしているのです。
ロードレースの機材であるロードバイクは、軽量で加速力があり、パワーロスがないように変形率が少なくなければいけません。
そのため、あれだけ細いタイヤが採用されています。
一方、MTBは悪路を力強く走ることが前提です。
車体を安定させ、コーナーでの強いグリップ力も求められるので、太くてゴツゴツしたタイヤが採用されています。
このような性格が分かると、タイヤサイズからも、自分に適した自転車の機種が浮かび上がってきます。
例えば、ロードバイクとMTBの中間的なクロスバイクの主流のタイヤサイズは700×28cです。
ロードバイクと同じ外径ながら、MTBに近い太さを持ちます。
そのため、タイヤサイズだけを見ても、クロスバイクが中間的要素を持っているのが分かります。
ただ、クロスバイクにはHEの26インチやWOの650Bなどが混在していますので、注意が必要です。
タイヤの規格は難しく考え過ぎない方が良い
今回は自転車のタイヤのサイズについて、規格や表記方法を確認しました。
規格の統一は今後も望み薄なので、自分が乗っている自転車の規格を覚えてしまいましょう。
その上で車種を越えた運用を考える場合は、統一表記のETRTOを参考に、ビード径で確認してください。