一時期ほどではありませんが、カスタムの素材として人気なのがピストバイクです。
構造がシンプルで、パーツも豊富なので、カスタム初心者でもとっつきやすいのが特徴です。
ピストバイクの改造でポイントになるのが、実はハンドルの幅といったら意外でしょうか?
カスタム化する時には、コンセプトを決めたら、まずハンドル幅を決めることが大事です。
今回は、ハンドル幅をキーワードにして、ピストバイクのカスタムについてご紹介していきます。
ピストバイクはこんな自転車
ピストバイクとは、別名トラックレーサーともいい、もともとは競技用の自転車です。
そのため、フレーム構成などは一見、ロードレーサーによく似ています。
特徴は、変速機がない点、そしてフリーホイール機構がない固定ギアという点です。
特に固定ギアがないために、ペダルを回したフィーリングはとてもダイレクトで、さらにペダルを逆に回転させることで、バックまでできてしまうのです。
競技用でトラックの中を走行するための自転車なので、ブレーキは基本付いていません。
そのため、減速したり停車したりするためにはペダルを逆に回すか、タイヤをスライドさせて無理やり止めるという方法しかありません。
もちろん、街中を走行する際にはブレーキを追加することが必要です。
かつて、某スポーツメーカーがピストバイクを使用したCMに、「ブレーキなし、問題なし」というキャッチコピーを付けてかなりの非難を浴びるという事件がありました。
そういったこともあり、現在完成車として販売されているピストバイクには、補助ブレーキが追加されています。
ハンドルについても、もとが競技用だったので、かつてはドロップハンドルが主流でしたが、現在はバーハンドルも多く、ハンドル幅が狭いものから広いものまでさまざまです。
ピストバイクはカスタムに最適
ピストバイクは、もともと競輪選手がレースで使用する競技用の自転車だっただけに、非常に軽量です。
重量は8kg程度なので、変速機がなくても、フラットな路面ならかなりのスピードが出せます。
競技用の自転車が街乗りでも使われるようになったのは、NYのメッセンジャーの影響が大きいでしょう。
シンプルでメンテナンスが容易で価格も比較的リーズナブル、それに加え速いピストバイクは、坂道の少ないNYの街を駆け抜けるメッセンジャーにはぴったりな自転車だったのでしょう。
NYのメッセンジャーは、やがてカルチャーとなって、そのスタイリッシュなファッションは日本のストリートファッションの雑誌などでも取り上げられるようになりました。
そして、なんといってもシンプルな車体構成は、カスタムのベースにも最適です。
人気が高まるにつれ、カスタムパーツも数多くリリースされました。
好みのフレームを見つけてきて、それに好みのパーツを組み合わせて自分だけの一台を仕上げることも、比較的容易にできてしまうのです。
ハンドルについても、ロードバイクのようなドロップからハンドル幅の広いMTB用のライザーバーまでと、さまざまで、必ず自分の好みにあったパーツが探せるでしょう。
ハンドル幅がピストバイクのポイント
ピストバイクのカスタムのポイントは、実はハンドル幅にあります。
ハンドル幅を変えることで、操縦性は驚くほど変化します。
簡単にいえば、スピードを重視ならハンドル幅を狭く、低速でのコントロール性を重視するのなら、広めにします。
ハンドル幅をせばめることで、前傾が深くなり、空気抵抗が減少するポジションを取ることが可能になります。
また、ハンドル幅が狭くなることで、街中での取り回し性も向上します。
とはいえ、やはりなんでも限度はあって、狭くしすぎると逆に操縦しづらくなるので要注意です。
一時期、ピストバイクでハンドル幅を、肩幅よりもはるかに狭くするようなカスタムが流行りました。
見た目はともかく、操縦性という点では百害あって一利なしです。
さすがに、乗りにくさに気が付いたのか、そういったカスタムは下火になっているようです。
広めのハンドル幅で快適性アップ
狭いハンドル幅が下火になるのと時期を同じくして、流行り始めたのが、広めのハンドル幅をもつピストバイクです。
この流行も、もともとはアメリカからもたらされたもので、ハンドルには、クロスバイク用のストレートバーよりもはるかに幅広な、MTB用のライザーバーが人気になりました。
もともと、ライザーバーはオフロードでの衝撃吸収性の向上や、悪路でのコントロール性の向上を目的としたハンドルです。
取り回しの良さという点ではやや劣りますが、それを除けば、街中を走る際にも非常に有効なアイテムだったのです。
それまでの肩幅よりも狭いハンドルと比較すると、圧倒的に乗りやすくなります。
このため、ハンドル幅の広いピストバイクが一気に街中にあふれることになったのです。
ピストバイクはハンドル幅の変更も簡単
ピストバイクはシングルギアで、シフターも付いていないので、ハンドルを交換してハンドル幅を変更するのも簡単です。
比較的お手軽な改造なので、ピストバイクの愛好者なら、複数のハンドルバーを所有して、時々交換する、という人もいるぐらいです。
ハンドルの素材は、フレームと同様に、クロモリ、アルミ合金、それにカーボンと様々ですが、前傾姿勢を強めてスピードを強化したい、という場合であれば、剛性を重視してクロモリを選ぶ方が多いようです。
クロモリのハンドルは比較的リーズナブルで、加工がしやすいという特徴もあります。
単純にハンドル幅を広くしたいのであれば、ハンドルからブレーキ類などを外した上で、ハンドルパイプごと交換することになります。
ハンドル幅を広くした場合、ブレーキのケーブルの長さが足らないことがあるので、あらかじめケーブルの長さを考慮して、交換するハンドル幅を決めましょう。
現在の流行りは、先にも述べたとおり、MTB用のライザーバーですが、トレンドは常に変化しています。
幅の広いピストが増えていくと、また狭いハンドルに変更する方も増えていくかもしれませんね。
ハンドル幅を狭くするには
ハンドル幅を狭くするために必要な道具は、パイプカッター、やすり、それに洗剤(中性のもの)だけです。
パイプカッターは、その名前のとおり鉄のパイプをきれいにカットするのには欠かせない道具で、ホームセンターなどで簡単に入手できます。
価格も2千円以下と手軽なので、ピストバイクのカスタムを考えている人は購入しておいても、損はないでしょう。
まず、ブレーキレバーなどをあらかじめ外しておいた上で、ハンドルグリップを外します。
自転車専門店などではコンプレッサーを使って、グリップ内に空気を送り込んで抜きやすくします。
コンプレッサーのない自宅で行う場合には、ハンドルとグリップのすき間に中性洗剤をたらし、潤滑剤がわりにします。
洗剤をよくなじませるようにグリップを回していくと、少しずつグリップが抜けていきます。
もし、グリップを再利用しないのであれば、カッターなどを使ってグリップを切ってしまっても良いでしょう。
グリップが外れたら、カットする位置を決めてマーキングしておきます。
あとはマーキングした位置にパイプカッターでハンドルパイプを挟み、パイプカッターを一周させてパイプを切るだけです。
切った跡口はどうしてもギザギザになってしまうので、やすりを使ってなめらかに仕上げておきましょう。
ピストはハンドル幅変更で大きく変わる!
いかがでしたでしょうか。
ピストバイクは構成もシンプルなので、ビギナーがカスタムにチャレンジするにはうってつけの存在です。
特にハンドル幅の変更はその第一歩として、誰もがトライしてみたくなるでしょう。
ただし、ピストバイクのカスタムは、やや極端から極端に走りがちな傾向が見られます。
やはり自分のポジションにあった自転車が一番なので、いたずらにトレンドばかりを追うのではなく、しっかりとどんな自転車が良いか見極めることが大事です。