ロードバイクに乗る人は、誰しも一度は『レイノルズ』というメーカーを耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「聞いたことがあってもどんな性能なのか、よく分からない」という人のために、ここだけは押さえておきたいレイノルズについての知識をまとめました。
特に、レイノルズのホイールの中でも、『アサルト』のチューブラーモデルに焦点を当てています。
レイノルズってどんなメーカー?
まずは、レイノルズというメーカーについて、簡単にご説明していきます。
レイノルズは、今はホイールメーカーとして有名ですが、元々は自転車フレーム材料メーカーとして1989年にイギリスで設立したサイクリングパーツブランドです。
2006年にそこから独立し、アメリカにレイノルズサイクリング社を立ち上げ、カーボン製品の生産を開始しました。
特筆すべき点としては、世界初のカーボンフォークを手掛けたメーカーだということです。
2009年には高名なデザイナーである『ポール・リュー』氏を研究開発リーダーとして迎え、世界最軽量クラスの『RZR』ホイールを発表しました。
その後はホイールメーカーに転身し、現在に至ります。
このような経緯を見ていただければ分かるように、歴史は浅いですが、カーボン製品に対するノウハウは多く蓄積されていることでしょう。
そのレイノルズが作るホイールは『アサルト』含め数種類あり、チューブレスレディモデルとチューブラーモデルがあります。
レイノルズのホイールの凄さ
では、そんなレイノルズのホイールについてみていきましょう。
先ほどご紹介した通り、現在のレイノルズはホイールメーカーであり、蓄積されているノウハウを用いてカーボンリムのホイールを生産しています。
また、レイノルズのホイールは、日本製のカーボン繊維を自社独自の素材や技術を用いて加工しています。
「高品質なカーボン」というのは、納める場所や量などが決まっているものですが、レイノルズのカーボンはアメリカ国防総省にも提供していることから、その品質はうかがい知ることが出来ますよね。
その加工した素材を中国の自社工場まで運搬し、徹底された品質管理のもと、ホイールの生産を行っているのです。
さらに、生産量や品質、ノウハウの面から、レイノルズにリム生産を依頼するメーカーもあります。
最も有名なのが、シマノのホイールです。
新型のR9100シリーズは、はっきりしていませんが、9000シリーズのチューブラーモデルのホイールはレイノルズが生産したリムが使用されています。
ちなみに、クリンチャーに関してはアルミリムにカーボンで補強しているだけのため、レイノルズが生産しているものではありません。
このように、他社のホイールも手掛けるレイノルズが、自社生産しているホイールにはどのようなものがあるのでしょうか。
先ほど『アサルト』を含む数種類、と書きましたが、次はこれらのホイールについてみていきましょう。
気になるレイノルズのホイールのご紹介
レイノルズのホイールは、ディスクホイールを除いて、
①フラッグシップモデル『RZR46・92』
②2017年から販売されたディープリム『65・80エアロ』
③『Peformance』シリーズの『アタック』『アサルト』『ストライク』
と分けられます。
これらのうち②と③にはディスクブレーキモデルがあり、また『RZR』と『アサルト』にのみチューブラーモデルがあります。
今回はその中でもミドルグレードカーボンホイールの③『Peformance』シリーズについてみていきましょう。
同シリーズの3種のホイールはリム高の違いで分けられており、『アタック』は29mm、『アサルト』が41mm、『ストライク』が62mmとなっています。
また、それぞれ、2014年にモデルチェンジされ、ワイドリム化されているため、内幅19mm・外幅25mmとなっています。
それに伴い、25cのタイヤを使用した状態で最適化されるようクリンチャーフックを加工し、エアロダイナミクスの向上が図られています。
そして、クリンチャーフック・ブレーキ面・リムといった3箇所に、異なるカーボン素材を用いたり加工を行うことで、強度を確保しつつ軽量化を行っています。
『アサルト』チューブラーモデルの詳細
それでは、今回取り上げる『アサルト』チューブラーモデルについて詳しくみていきましょう。
『アサルト』はリムハイト41mmのオールラウンドモデルに位置します。
公式重量は1315gです。
参考程度に、カンパニョーロのボーラワン35のチューブラーモデルが1297gということを考えると、リムハイト41mmで1315gは軽量級のホイールになるでしょう。
スポークはフロント20本、リア24本でDTレボリューションを使用しています。
また、リムとスポークヘッド付近を突出させた形状になっており、渦を発生させ、空気抵抗の低減を図っています。
さらに、2014年にモデルチェンジしたものは突起の形状を改善し、従来の35%空力性能の向上が図られています。
そして、レイノルズ独自の「クライオブルーブレーキパッド」の使用が、公式ではおすすめされています。
これは、CTgブレーキングテクノロジーと呼ばれる独自のものと組み合わせることで、カーボンでよく問題視されるブレーキング時の熱の発生を抑制し、スムーズなブレーキングが可能になる、ということが理由です。
『アサルト』チューブラーモデルの利点
『アサルト』チューブラーモデルの良いところはどんなところでしょうか。
まずは、加速性能でしょう。
リムハイト41mmということで、見た目は重さを感じてしまいますが、リムが400g前半ということもあり外周部が軽く仕上がっています。
そのため、踏み出しやヒルクライムのような、常に加減速が続くような状態のときは、軽さを実感できることでしょう。
次に、リムの頑丈さが挙げられます。
やはり、レイノルズ社にカーボンのノウハウが蓄積されているおかげなのでしょう。
個人差はあると思いますが、私感としては、歩道や車道での段差を気にせず走行していても、ほとんど振れが出ません。
1年近く使用しても、縦・横それぞれ1mm以内の振れにおさまっています。
振れ取りに神経質な方でも多少ラフに扱っても問題ないのは大変ありがたいことです。
そして、ロングライドに適しているところも利点の一つです。
リムハイトが高いことから、多少の向かい風でもエアロ効果を活かして走行することが出来ます。
それにカーボンリムとステンレススポーク、さらに、チューブラータイヤのおかげで振動吸収性能が高いため、体に伝わる振動がマイルドになり、疲れが蓄積する量が少なくなります。
また、やわらかい乗り心地のため、ロングライドをする際は重宝するでしょう。
『アサルト』チューブラーモデルの気になるところ
では、逆にレイノルズのホイール『アサルト』チューブラーモデルの気になるところはどんなところでしょうか。
まずは、ブレーキ性能についてでしょう。
これは、カーボンホイール全般にいえることですが、効きがアルミリムモデルより弱くなります。
最近では、各メーカー様々な工夫がなされ、ドライ状態でのブレーキの効きは良くなっていますが、ウェット状態では、まだまだ改善する必要があります。
ただ、雨等の状態でリムブレーキをすると、リムのカーボンが削れたりするので、雨でのカーボンホイールのご使用は避けましょう。
また、レースには不向きと言えるかもしれません。
ロングライドには適しているのですが、その分、反応性に劣るところがあるからです。
なぜかというと、「ステンレススポーク」という点が関係しています。
アルミやカーボンスポークであれば弾性がないため、キビキビとした反応の良さがありますが、ステンレススポークは弾性があるため、反応性は劣ります。
そして、スポークの編み方によるところもありますが、スポークテンションが低いため、振動吸収性能には優れますが、溜めができるため反応性には優れていません。
加減速が繰り返されるレースで、それが繰り返されると体力の消耗につながりますので、不向きと言えるでしょう。
また、スポークの形状が丸のため、スポーク自体の空力性能は低く、高速域で単独走行となった場合に空気抵抗を感じてしまいます。
これらのことから、特に高速域でのレースではおすすめができないのです。
レイノルズのホイールはコストパフォーマンスが高い
さて、ここまで、レイノルズのホイール、特に『アサルト』チューブラーモデルについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
レイノルズのホイールは、カーボンホイールでありながら価格帯が10万円前半と、コスパの良い商品です。
気になるところは何点か挙げましたが、ホイール自体の完成度は高いです。
15万円出せばおつりが来る金額で、これだけの完成度があるカーボンホイールはあまりないでしょうし、初めてのカーボンホイールとして、トライしてみてはいかがでしょうか。