マビックホイールのオーバーホールは自力でやれる?

ホイールのオーバーホールをしたことがありますか?

オーバーホールは、それこそ総点検ですから、ハードルが高いです。
しかし、ホイールは、重要度が高い部分であることは間違いありません。

その中で、マビックホイールは、メンテナンスが楽だなんて話を、よく耳にしますが本当でしょうか?

今回は、人気の高いマビックホイールについて、お話していきます。

マビックホイールはタイヤとチューブがセットに

ロードバイクのホイールは、軽量で高性能なものが多いです。

そのため、ユーザーさんの需要は高くなる、そして、また高性能なものが開発されていく。
正のスパイラルが出来上がっているのが、ホイール業界というわけですね。

その中でも「シマノ」、「カンパニョーロ」、「フルクラム」この3メーカーが、日本ではシェアが高いです。

そこに追いつきそうな勢いなのが、マビックホイールです。

マビックホイールの大きな特徴のひとつは、市販されているすべてのホイールに、タイヤとチューブが付属されていることです。

これは、どこのメーカにもない、マビックだけの特徴と言えます。

さすがに、全員がホイールとタイヤを同時に交換するとは限らないので、これが人気の秘訣ですとは言い切れませんが、面倒はないですね。

もちろん、購入後にタイヤとチューブを交換することもできますし、ホイールだけの重量も公表されていますので、あまり深く考える必要はないかもしれません。

タイヤとチューブが気になる人は、オーバーホールを兼ねて、交換しても良いんじゃないでしょうか。

マビックホイールはハブのオーバーホールに特徴が

そんなマビックホイールですが、ハブのオーバーホールが特殊なことで知られています。

メーカーでは、1000kmごとにオーバーホールを勧めているそうです。

マビックホイールのハブは、シールドベアリングを使用しています。

シールドベアリングは文字通り、シールでベアリングが覆われているために、基本的にベアリングはノーメンテナンスと言われています。

最近は、シールをはがしてグリスアップすることもあるようですが、何かあれば即交換の必要があるので、あまりおすすめしません。

カップ&コーン方式のように、玉押しの調整も要りませんので、機械いじりが苦手な方や、細かい作業が好きではない方には良いかもしれません。

ちなみにシマノとカンパ、フルクラムの中級グレード以上は、カップ&コーンです。

また、後輪のハブにはフリーボディ(以下フリー)という、大切なパーツが付属しています。

フリーの外側には、リアギアであるカセットスプロケットを装着します。

フリーの幅によって変速数が決まりますし、形状がカセットスプロケットのメーカーを決めます。

また、ピストやトラックレーサーなど一部の自転車を除き、フリーには「ラチェット機構」が組み込まれています。

これは、正方向にペダルを回したときにしか、ホイールに力が伝わらないようにする機能です。

自転車はペダルを逆回転させてもバックしませんし、坂の下りや押し歩きなど惰性で動いているときは、ペダルは回りません。

マビックホイールのハブのオーバーホール①~必需品はこれ!

では、マビックホイールのハブのオーバーホールに付いて説明します。

フリーが付属する後輪の手順さえ覚えれば、前輪はもっと簡単なので、今回は後輪のみ説明します。

必要なのは、ホイール購入時に付属していた専用工具と、専用の「純正ミネラルオイル」。
あとは、10mmの六角レンチです。

専用工具はハブの分解の他にも、スポークの調整や、タイヤを外すのにも使います。

もし、手元にないようであれば、アマゾンにラインナップされていましたので、参考にしてください。

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マビックホイールのグリスアップには、一般的な粘度の高いグリスではなく、サラサラの潤滑油が推奨されています。

シールドベアリングのシール性を高めるために、シールを内輪に接触させて隙間を作らないようにしています。

これが多少、回転を渋くしている原因なのですが、ここに粘度の高いグリスを使うと、回転がさらに渋くなります。

また、ペダルを回していないときに先述したラチェット機構が働かず、チェーンが外れる可能性もあります。

純正オイルは少し高価ですが、マビックホイールの宿命だと思って用意してください。

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マビックホイールのハブのオーバーホール②~手順

それでは、マビックホイールのハブのオーバーホールの手順を説明します。

なお、数種類のホイールのハブを見ましたが、どれも構造は同じように見えましたので、私が行ったことのある「キシリウム・エリート」の分解を説明します。

まず、フリーの先に付いているロックナットを専用工具と、六角レンチで時計回りに回して緩めます。

両側ともナットを外すと、シャフトが外せます。

次にフリーを外しますが、このときに勢いよく外すと、ラチェット機構の2枚の爪がバネで飛び出しますので、ゆっくりと外します。

フリーの中に見える緑(エリートは緑)の、リング状のシールで覆われているのが、シールドベアリングです。

フリーの内部は汚れているので、パーツクリーナーなどで拭き取ります。

ただ、このときにベアリング内のグリスが流れてしまう可能性があるので、シールドベアリングにはクリーナーが掛からないように注意してください。

外した爪に注油したら、フリーの内部とシャフトにもオイルを挿します。

グリスアップしたらフリーを被せますが、爪を押し込むようにしてはめますので、ゆっくりと回しながら入れていきます。

自転車のホイールの「振れ取り」とは

マビックホイールに限らず、ホイールのオーバーホールというと、ハブのメンテナンスと「振れ取り」が挙げられます。

ホイールの「振れ」というのは、スポークが緩んでしまったりすることで、リムが歪むことを言います。

スポークは長い間走っていると、必ず緩む方向に振れが発生します。
あまりに酷いと、ブレーキシューがリムが干渉したり、スポークが折れたりします。

これを「横振れ」と呼び、スポークをリムに支持しているニップルを締めることで解消します。

ブレーキから「シュッシュッ」とすれたような音が場合や、走っているときに左右にフワフワとホイールが動いているような感じがしたら、振れの確認が必要です。

自分で確認するには、リムとブレーキシューの間隔を見ます。

その際は、ブレーキのキャリパーがホイールに対して、真ん中に来ているかどうか確認してから行ってください。

この間隔が左右均等になっていない場合は、横振れの可能性があります。

振れ取りはショップにお願いする

しかし、そこからの作業は初めてであれば、ショップにお願いした方が良いと思います。

ヘタにいじって間違ったやり方をすると、余計におかしくなって混乱するだけです。

また、「ニップルレンチ」という専用工具が必要ですが、サイズがあるので、ホイールに合ったものを探すのが難しいです。

さらに、本格的に振れ取りを行おうと思えば「振れ取り台」もあった方が良いです。

左右の振れや、リムのセンターも測定できるものですが、これが1万円前後します。

一方、お店に振れ取りをしてもらう料金は一律ではありませんが、1本1500円~2000円というところです。

これならば、マビックホイール全体のオーバーホールとして、ハブのグリスアップまでお願いしても、自力で行うより安価に済みます。

そのため、最初はプロにお願いするのが賢明かと思います。

ホイールのオーバーホールは自力とお店を使い分ける

今回は、マビックホイールのオーバーホールを確認してきました。

ハブの分解・メンテナンスは専用工具と専用のオイルが必要です。

しかし、非常に簡単な構造なので、ぜひ自力でメンテナンスしてみてください。

一方、振れ取りはショップにお願いするのが賢明でしょう。