ロードバイクのフレームに使用されている素材は、アルミ、カーボン、クロモリの3種類が主になります。
それぞれに特徴があって、おすすめは用途によっても変わってきます。
そこで今回は、それぞれの素材の特徴を説明していきながら、おすすめの車種などもご紹介したいと思います。
アルミ、カーボン、クロモリそれぞれの特徴
まず、ロードバイクのフレーム素材で、下位のモデルに多く使われているのはアルミです。
これは価格が抑えられることが大きく、各メーカーとも初心者向けのエントリーモデルは、ほぼアルミフレームを採用しています。
今のアルミフレームは改良が進んでいるので、かつてのように、振動を全て拾って衝撃を与えるようなことは、大分なくなってきました。
中位クラスから上位クラスになってくると、カーボンが圧倒的に多いです。
今は20万円台の完成車にもカーボンフレームが登場しているので、現在の主流と言っても良いでしょう。
金属ではないので、何より軽いことが大きなメリットで、「軽さは正義」なんて言葉は、カーボンフレームのためにあるようなものです。
また、加工がしやすいので、独創的な形状にできるのも、他の素材にはないメリットです。
クロモリフレームは扱っていないメーカーも多く、主流とは言えませんが、とにかく丈夫で耐久性はピカイチです。
同じ自転車に長く乗ろうと思ったら、まずクロモリを視野に入れた方が良いです。
丈夫なぶん、チューブを細くできるので、特有の細身でスタイリッシュな見た目になるのが、クロモリフレームのメリットと言えます。
アルミはカーボンよりも硬く、クロモリよりも軽い
では、素材ごとに詳しく特徴を見ていきましょう。
まずはアルミですが、クロモリなどの鉄に比べ、柔らかく耐久性に欠けるので、どうしても太いチューブを使用することになります。
そのぶん、見た目がごっつくなるのは、やむを得ないところです。
また、剛性が高いので乗り心地は硬めになりますし、大分改善されたとは言え、地面からの振動はそれなりに拾ってしまいます。
そのため、アルミフレームのエントリーモデルであっても、フロントフォークだけをカーボンにして、衝撃吸収を図っている車種もあります。
しかし、何よりリーズナブルですし、今はカーボン並みの軽さのフレームもあります。
エントリーモデルに多く採用されているから平凡だということは決してなく、強度やコスト面で優れているから、アルミフレームが多いと理解していただきたいと思います。
そのため、ロードバイクに初めて乗るという人は、アルミフレーム車から始めるのがセオリーと言えます。
カーボンキラー=アルミのCANNONDALE(キャノンデール)
では、アルミフレームの代表的なロードバイクを紹介します。
【CANNONDALE(キャノンデール):CAAD12】
昔は頑なにアルミフレームしか取り扱わなかったほど、アルミへのこだわりが強いのがアメリカのキャノンデールです。
「アルミのキャノンデール」の異名に恥じない、代表的なロードバイクが『CAAD12』です。
とにかく「カーボンキラー」と呼ばれるほどの車体の軽さが、キャノンデールならではの素晴らしい技術です。
なぜか車重を公式には発表していないので、詳しくは分かりませんが、インプレを見る限り、走りの軽さを絶賛する声が多いです。
特に、2017年にモデルチェンジを果たしたアルテグラR8000をメインコンポに据えた【2018 CAAD12 ULTEGRA】は、そのままレースに出ても恥ずかしくないほどのスペックです。
個人的な見解ですが、これで26万円(メーカー発表価格)なら、かなりコスパに優れていると思います。
他にも、コンポに105を採用しているモデルには、ディスクブレーキモデルもあります。
カーボンやクロモリにも全く引けを取らない性能の高さを、ぜひ実感していただきたい1台です。
クロモリフレームならこれしかない!
さて、ロードバイクのフレームの中では、少しマイナー的な存在なのがクロモリです。
クロモリは鉄がベースなので、カーボンやアルミに比べると重くなります。
しかし非常に強度があるので、細くしなやかなフレームが作れ、クロモリにしか出せない剛性のバランスが、マニアを生むと言われています。
そして、代表的なクロモリのロードバイクはイタリア・CINELLI(チネリ)の『スーパーコルサ』です。
実に、販売開始から40年以上が経過していますが、今でも変わらぬスタイリッシュなフォルムは健在で、クロモリファン垂涎のフレームです。
かつては自転車の教科書とまで言われた、典型的なダイヤモンドフレームで、真っ直ぐ伸びるトップチューブが本当にカッコいいです。
販売は、フレームセットのみとなります。
サイズが48から1cm刻みで17サイズ用意されており、1台に長く乗ってもらいたいというチネリのこだわりを感じます。
フレームセットのみで29万円(メーカー参考価格)と高価ではありますが、とにかくクロモリフレームは耐久性に優れていて長く乗れますので、長い目で見れば、決してコスパは低くないと思います。
カーボンは軽いが高価!
さて、残る素材はカーボンですが、アルミやクロモリと違いカーボンは金属ではありませんので、とにかく軽さが売りになります。
衝撃吸収に長けており、さすがに乗り心地の良さは、他の追随を許さないところです。
また、カーボンは自由自在な造形が可能なので、どんな複雑な形でも作れるのがメリットです。
極端に言えば、スピードや剛性もフレームの形状でコントロールできるということになるので、まだまだ将来の可能性を秘めているということになります。
その一方、デメリットとすれば、高価であることです。
ハイエンドモデルになると100万円を超えるような完成車もありますが、それはカーボンフレームにしかあり得ません。
また、傷に弱いのもカーボンのデメリットです。
へこんだり、曲がったりはしないので衝撃には強い素材ですが、傷が付くと、そこから一気に裂けてしまう可能性があります。
そのため、自転車を倒したりして縁石やガードレールに当たったとか、駐輪場で将棋倒しになり、隣の自転車のチェーンで傷が付いてしまったなんて話は良く聞くので、扱いに十分注意しなくてはなりません。
おすすめのカーボンフレームロードバイク
カーボンフレームはほぼ全メーカーが扱っていますので、「アルミのキャノンデール」、「クロモリならスーパーコルサ」のような異名を持つ存在は見られませんので、独断と偏見に基づくおすすめになります。
【Bianchi(ビアンキ):SEMPRE PRO(センプレプロ)SHIMANO 105モデル】
参考価格:¥210,000
イタリアの老舗メーカー・ビアンキのカーボンフレームロードになります。
カーボンフレームのエントリーモデルという位置付けですが、センプレシリーズはレース仕様とロングライド仕様のバランスが取れているというか、用途が片寄らないオールラウンダーなので、最初の1台におすすめしたいです。
【GIANT(ジャイアント):TCR ADVANCED 1 KOM】
参考価格:¥240,000
世界一の自転車メーカーである、台湾はジャイアントのカーボンフレームロードです。
何と言っても、この価格でシマノ・アルテグラ搭載は、さすがにコスパ最強を謳うだけのことはあります。
50-34Tのコンパクトクランクに11-32Tという、ワイドレシオのカセットスプロケットを採用しているので、少しこだわりが強すぎる、さながらヒルクライムの入門編といった趣です。
それぞれに良さがある
ロードバイクのフレーム素材は値段がまるで違うので、どうしても費用面で選ばざる得ないことが多いように感じます。
しかし、アルミやクロモリが、カーボンよりも安価であるから劣っているというわけではありません。
それぞれの素材の良さを理解して、選んでいただきたいと思います。